「キャスト」の雇用環境
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 02:50 UTC 版)
「オリエンタルランド」の記事における「「キャスト」の雇用環境」の解説
TDRで働く多くのキャストは、OLCの準社員(パートタイマー、アルバイト)・テーマパーク社員(契約社員)、いわゆる非正規雇用の従業員である。時給制契約により雇用される。パーク内の多くの職種に配され、ゲストが出会うキャストの多くはこの準社員である。当初はパーク内で働くキャストに占める正社員の割合は少なくなかったが、現在はその多くを準社員に行わせている(準社員だけでパークは動かせるとまで評されている)。 福利厚生面で見ると累積勤務時間による昇給制度や優待パスポート、シルク・ドゥ・ソレイユ シアター(廃止)、東京「ZED」鑑賞券、賞与の支給や社会保険への加入(厚生年金及びオリエンタルランド健康保険組合。法令に基づき、週労働時間が正社員の4分の3以上のキャストは雇用形態に関わらずすべて対象である)、そしてクリスマスや正月など深夜開園がある際の仮泊所、OLCの福利厚生施設の特典(浦安市内や首都圏には社員証提示で料金割引き等がある店舗が多数存在する)利用権利、年に一度閑散期にある“勤労感謝の日(サンクスデー)”は、パークは閉園後キャストに開放される(この日のみ19時で早終いとなり、開放中の運営は正社員によって為される。時間は20時15分から22時45分)などがある。アルバイト従業員は、ディズニーパークの一員として仕事ができる環境に魅力を感じ、採用希望を抱く人が応募するため、前述の待遇に満足感を覚える従業員が多い。ただ、その仕事内容は多岐に渡り、担当する通常業務に加え、案内・清掃・遺失物・迷子の対応、さらには厳しい管理下の接客姿勢など、会社側のキャスト1人に対する仕事の量・質の要求は非常に高い。そのため離職者も数多くおり、会社側は、アルバイト従業員の確保に常に力を置いている。 UAゼンセン傘下の「オリエンタルランド労働組合(オリエンタルランド・フレンドシップ・ソサエティー、略称:OFS)」が組織されている。OFSは従来正社員をその組織対象とする労働組合で、2007年(平成19年)3月31日現在の組合員数は1,950名となっていたが、2017年4月より非正規労働者も対象とする労働協約の改定を行い、2万人以上いる従業員のうち約8割を組織するようになった。OFSはUAゼンセンの方針により労使協調路線を採り、どちらかといえば社員会に近いスタンスで運営されている。グループ内の連結子会社で組合は組織されていない。一方、通告無しの解雇や偽装請負疑惑との訴えもある。2014年3月にはついに、「なのはなユニオン」傘下の“闘う”労働組合「オリエンタルランドユニオン」が結成された。 なお、準社員は5段階の職級に分けられ、下から M / A / G / I / C(メイク、アクション、成長、進歩、キャプテンの略と説明されている)と区分されていてそれぞれ○キャストと呼称されている。新規入社の準社員はMキャストとされ、OJT(研修)を約2-5日行いデビューという形になる。Mキャスト期間(入社日の翌月末まで)を過ぎると原則的にAキャストに昇格する。最上位職級のCキャストに関しては時給制であるという以外は、ほぼテーマパーク社員や正社員と同じ業務を行っている部署もある。全てのキャストの頂点にあるのが「東京ディズニーリゾート・アンバサダー」である。 同じ職種の場合、人員確保のため一定期間においてロケーションの変更は容易である。また、規定の勤務をこなしながら異なる職種の体験をできる制度も存在する。例えば、アトラクション担当のキャストが商品販売担当のキャストを同時期にこなす、というものである。 また、当初は一部の職種にのみ存在したが、後に適用される職種が拡大された「テーマパーク社員」制度もある。テーマパーク社員は、準社員の監督・指導など、パーク運営業務の第一次的責任を担う「スーパーバイザー(Superviser―監督者。略名SV)」の候補(I-A区分)として採用されワーキングリード (Working Lead) として勤務に就く、その後選考により昇格した場合はスーパーバイザー(II区分)として、原則1年間の月給制契約により雇用される(更新等に所定の条件がある)。また、「専門業務従事者」として「ファイヤー(防火管理者)」や「ナース(看護師)」などの職種もスーパーバイザーとしての契約があるが、こちらはII区分へのステップアップはない。 準社員からテーマパーク社員や正社員に雇用される場合もあるが、テーマパーク社員へは G / I / Cキャストで正社員からの推薦が必要になる。正社員への登用に至っては I / Cキャストでマネージャー職の正社員からの推薦が必要と非常にハードルが高く、ごく一部だけの実績があるだけである。2008年(平成20年)に正社員にまで昇り詰めた準社員は数名程度である。そのため、テーマパーク業務の知識を持たない正社員が増えてしまっている現状がある。しかしながら、東証一部上場企業の正社員にアルバイトからなることを考えれば相応のハードルであり、ファーストフード店やコンビニエンスストアなどといった、数千から数万規模の店舗を有し、店舗数に応じて社員が必要不可欠である上場企業とは単純に比較できない。 OLCが公表している、2007年(平成19年)4月1日現在のテーマパーク社員・準社員数は16,200名。職種による差はあるが、準社員の入れ替わりは激しい。入れ替わりが激しい理由としては、仕事の負担感に比して時給が安いなどの現実的な面と、学生の場合は授業やゼミなど学業、そして就職等との兼ね合いで辞めざるを得なくなるケースも多い。 ただ、一旦辞めても期間を置いて「再入社」という形で戻ってくるキャストも多く、中には退職・再入社を何度も繰り返す者もいる。これは、退社後一年以内の再入社は、以前の累積勤務時間が引き継がれ、時給の昇給や前述の職級等で有利になるためである。また、他の職種に鞍替えしたい場合には一旦退職して、面接からやり直さなければならないことも退職・再入社が多い一因となっている。 コスチュームはワードローブ(衣装箪笥)ビルですべて貸し出しとなっており、イシュー・カウンターよりコスチュームを借り(人手を介する煩雑さを解消するため、RFIDが導入されて、一旦貸与がされたら後は保管所から自分で手続きして返還・帯出ができる様になった)、イシュー・ロッカー内のドレッシング・ルーム(この場合は更衣室)で着替えて仕事に就く。なお、コスチュームに着替えて勤務するキャストには「着替手当」が付く。 また、ショー出演者(エンターテイナー)の着替えや着付け等は、エンターテイナー専用のドレッシング・ルーム(楽屋)でおこなわれているため、通常のキャスト(準社員、テーマパーク社員、正社員のすべてを含む)は担当部署のキャスト(エンターテイメント関連)でなければ見ることも関わることもできない。これにより、多くの他の部署の準社員が入れ替わりが頻繁に行われても、エンターテイメント関連の秘密が流出せずに保持されるよう徹底した管理が行われている。
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