ら行 ら行の概要

ら行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/15 07:21 UTC 版)

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ら行音のローマ字表記は日本式ヘボン式ともに ra ri ru re ro であり、りゃ行のローマ字表記は日本式・ヘボン式ともに rya ryu ryo である。

発音

ら行・りゃ行の音の頭子音はいずれも有声音であり、清音濁音の区別は存在しない。

ら行音の頭子音音素(通常 /r/ と書かれる)は、聴覚印象により流音に分類されることがある。頭子音の音声学上の実際の発音は、「り」を除く「ら」行音の場合は一般的に、語頭や撥音)の後では歯茎側面はじき音 [ɺ]そり舌側面接近音 [ɭ] または有声そり舌破裂音 [ɖ] に発音され、撥音(ん)の後を除く語中・語尾では歯茎はじき音 [ɾ] またはそり舌はじき音 [ɽ] に発音される。

「り」の場合は、他の「ら」行音に比較して頭子音が硬口蓋化するため、語頭や撥音(ん)の後では歯茎硬口蓋側面はじき音 [ɺʲ]硬口蓋側面接近音 [ʎ] または有声硬口蓋破裂音 [ɟ] に発音され、撥音(ん)の後を除く語中・語尾では歯茎硬口蓋はじき音 [ɾʲ] または硬口蓋はじき音 [ɟ̆] に発音される。

拗音

「り」を第1字とする開拗音は「りゃ」「りゅ」「りょ」である。

りゃ行「りゃ」「りゅ」「りょ」の頭子音の音素は /rj/ であり、その音声学上の実際の発音は「り」の頭子音と同じである(上記参照)。

ら行始まり

もともと日本語には「ら行」で始まる語がほとんど無かったと考えられ、時代を経るに連れて、アイヌ語や「/r/音」始まりが比較的多い漢語中国語)を始めとする外国語から「ら行」に繋がる音素をもつ語が流入し続けることで「ら行」の語が増えていったとみられるが、それでも未だに少ない。

日本語において「ら行」音で始まる単語は、ほぼ全てが以下のいずれかに該当する。

アイヌ語由来については、北海道地名に少なからず見出すことができ、北海道庁のアイヌ政策推進局アイヌ政策課 (OAMP) がリストを公表している[2]。このリストに挙がっている地名は、「ラ」音が「ラウス(羅臼)」「ラッコ(楽古。※動物名 rakko に由来する同根語[3])」「ランコシ(蘭越)」など10例[3]、「リ」音は「リクベツ(陸別)」「リシリ(利尻)」など8例[3]、「ル」音は「ルスツ(留寿都)」「ルベシベ(留辺蘂)」「ルモイ(留萌)」など8例[4]、「レ」音は「レブン(礼文)」など6例[4]、「ロ」音は「ロクシナイ(六志内)」など3例[4]で、合計35例である。なお、東北地方を主として本州にもアイヌ語由来の地名が多く見られるものの、「ら行」始まりを確認することは難しい[注 2]。地名のほかにも、"rakko" 由来の「ラッコ[3]がアイヌ語由来であることは広く知られている。「ルイベ」にはロシア語起源説と定説とも言えるアイヌ語起源説があるが、後者はアイヌ語 "ru-ipe(ルイペ/ルイベ)"[ ain: ru-ipe(融ける魚)< ru(融ける)+ ipe(魚)]に語源を求めている[5]
以上、各種資料で見る限り、ここで挙げた地名のほかには「ラッコ」だけが確定的なアイヌ語由来語であり、ほかには、可能性の非常に高いものとして「ルイベ」があるのみということである。

すなわち、付属語・擬音語以外の和語で「ら行」音で始まるものはほとんど存在しない。これは、確認し得る最も古い日本語(上古日本語)の時代からの極めて古い特徴である。また、朝鮮語アルタイ諸語トルコ語モンゴル語満州語など)に共通する特徴でもあり、これを一種の地域特徴として捉えたり、言語の系統論に関連づけようとする試みもある。

「ら行」で始まる和語の数少ない例外かも知れないものに、サメ(鮫)の一種の名称「ラブカ(羅鱶)」があるが、この語は明治時代以前には見られない語であり[要出典]、和語と外国語のいずれに由来があったとしても経歴的に異色である。皮膚が滑らかで肌触りが毛織物ラシャに似ていることからそのように呼ばれ始めたとする説[6]が有力ではあるが、「鰓(えら)の目立つ、フカ(鱶。大型サメ類の俗称)」を意する「エラブカ」から語頭音が落ちたものとする異説もある[要出典]
  • ラシャブカ説の語構成[ ja: ラブカ(羅鱶。生物和名の一つ) < ラシャブカ(含意:羅紗のような肌触りの鱶)< ラシャ(羅紗。ポルトガル産の毛織物[7]。< pt: raxaラサの、ラサ産の})+ フカ{大型サメ類の俗称[8] }) ][6]
  • エラブカ説[要出典]の語構成[ ja: 羅鱶(当て字)< ラブカ(生物の和名の一つ) < エラブカ(含意:鰓の目立つ鱶)< エラ(鰓)+ フカ(鱶) ]

ら行の元号

「ら行」で始まる日本の元号は「霊亀」「暦仁」「暦応」「令和」の4例しかなく、非常に珍しいものとなっている。2019年平成31年)5月1日に行われた改元では新元号が「令和」になったが、これは「暦応」以来680年ぶりの「ら行」始まりの元号であった。


注釈

  1. ^ 字引:るんるん”. コトバンク. 2020年4月12日閲覧。
  2. ^ 青森県八戸市にある「ルイケ(類家)」(江戸時代における陸奥国三戸郡類家村、幕藩体制下の奥州八戸藩知行類家村)を挙げる資料もあるが、典拠不明である。

出典

  1. ^ 小学館『デジタル大辞泉』、小学館『精選版 日本国語大辞典』. “ら行”. コトバンク. 2020年4月12日閲覧。
  2. ^ 北海道庁 アイヌ政策推進局 アイヌ政策課 (OAMP) (2018年4月4日更新). “アイヌ語地名リスト”. 公式ウェブサイト. 北海道. 2020年4月12日閲覧。
  3. ^ a b c d 北海道庁 アイヌ政策推進局 アイヌ政策課 (OAMP) (2018年4月4日更新). “モク~リ - アイヌ語地名リスト (PDF)”. 公式ウェブサイト. 北海道. 2020年4月12日閲覧。
  4. ^ a b c 北海道庁 アイヌ政策推進局 アイヌ政策課 (OAMP) (2018年4月4日更新). “ル~ワ - アイヌ語地名リスト (PDF)”. 公式ウェブサイト. 北海道. 2020年4月12日閲覧。
  5. ^ 更科源蔵・更科光 1976, pp. 447-448.
  6. ^ a b 日立デジタル平凡社世界大百科事典』第2版. “羅鱶”. コトバンク. 2020年4月12日閲覧。
  7. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』. “ラシャ”. コトバンク. 2020年4月12日閲覧。
  8. ^ ”. コトバンク. 2020年4月11日閲覧。


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