でんし‐こくばん【電子黒板】
電子黒板

電子黒板とは、一般的にホワイトボードや薄型ディスプレイなどに記した文字や図形などを電子データに変換できる情報機器のことをいいますが、機能や価格はさまざまです。ホワイトボードの上をスキャナーが左右に移動して手書きの内容を一括で読み取ってプリンタに出力するスチールボードタイプから、フィルム状のホワイトボード部を巻き取ることで複数面を使用できるフィルムボードタイプ、プロジェクタを使ってパソコンの画面をスクリーンに投影するインタラクティブボードタイプ、プラズマディスプレイやカラー液晶など薄型テレビ形式の大画面を備え、パソコンや映像機器が一体化した高機能タイプまであり、これらを総称して電子黒板といいます。
日本製で販売台数トップは日立ソフトの「Star Board(スターボード)」。世界70カ国で使用され、約13万台の販売実績があります。なかでもプラズマディスプレイを採用した高機能タイプ(学校ICT対応モデル)は、画面タッチ機能によりパソコンが苦手な人でも簡単に操作できるのが特徴。テキストや手書きの言葉の意味を詳しく知りたければ、パソコンを介してインターネット検索も可能。電子ペンや指タッチにより2人同時に書き込む機能もあり、計算問題を競わせるなどで学習への参加意欲や集中力を高められます。また実物投影機で映した教科書や地図、立体物(草花や昆虫など)を画面に映し出し、その上から書き込みができます。さらにネットワークを介して遠隔地にある学校と教材を交換することもできます。
パイオニアは2月10日にマイクロソフトのウィンドウズ7に対応した新製品2機種を発売しました。残しておきたい画面を保存して次の授業で再生する「振り返り授業」が可能な機能や、タッチ機能などを搭載しています。パナソニックも豊富な品ぞろえで普及に力を入れています。
高機能の電子黒板を用いた授業は、アナログの黒板では得難い、臨場感や想像力を高める効果が期待できます。また教師は板書に費やす時間が短くて済むため、生徒との対話により多くの時間を割けます。授業で強調したいポイントはアナログの黒板に書き出し、そのイメージづくりは電子黒板でといったアナログ・デジタルの併用も効果的のようです。
電子黒板は、前政権が提唱した「スクール・ニューディール」構想を追い風に、小中学校への導入が進みました。平成21年度補正予算は昨年9月の政権交代に伴い見直されましたが、文部科学省のデータをみると、「電子黒板」については予算額約98億円のうち約18億円が執行停止され、約80億円が交付決定・交付内定済みとなっています。日立ソフトによると、2009年度(09年4月から今年3月末)の販売見込みは国内外で4万2200台。このうちスクール・ニューディールによる内需は7200台とのことです。
平成22年度は「電子黒板を活用した教育に関する調査研究」が本格的に全国のモデル校で始まります。文科省では学校への導入効果を見て、今後の施策の参考にします。
(掲載日:2010/02/26)
電子黒板
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/26 15:21 UTC 版)

電子黒板(でんしこくばん)または、インタラクティブ・ホワイトボード(英: Interactive Whiteboard(通称:IWB)、または 英: Interactive board または 英: Smart board)とは、1991年にSMART Technologies Inc.(カナダ)が発明したコンピュータのデスクトップを投影する2次元表面型のデバイスであり、ユーザーがその表面上に行ったことをコンピュータに入力する機能を備えている。電子黒板としての利用も可能だが、プロジェクターと共に使用することにより汎用的な対話型コンピュータスクリーンとなる。
様々な場面で利用可能であり、学校、ビジネスでのプレゼンテーション、共同作業などが主な用途とされる。
- 大スクリーン上で接続されたPCにあるソフトウェアを直接操作する。例えばウェブブラウザなども利用可能。
- ホワイトボード(あるいは似たような表面)にユーザーが描いたものをソフトウェアに直接取り込む。
- 手書き文字認識と組み合わせた利用も可能。
類似のシステムとしてタッチパネルがあるが、ホワイトボード並みの大きさではかなり高価になる。
入力方式
インタラクティブ・ホワイトボードは、1991年にカナダのスマート・テクノロジーズ社[注釈 1]が開発した。USBやシリアルポート、あるいはBluetoothなどの無線でコンピュータと接続する。このためのデバイスドライバを接続するコンピュータにインストールしておく必要がある。このドライバは指やスタイラスの位置やホワイトボード表面への接触状態をマウスの動きかデジタルインクに変換する。このため、ホワイトボード表面が感圧式になっているか、赤外線を使った位置検知システムなどを使用している。以下、インタラクティブ・ホワイトボードの5種類の方式を解説する。
- デジタル感圧型
- 2枚の電気伝導性のシートの間に微妙な空隙がある。これに触れると表面のシートが接触し、その部分で通電する。シートの電気抵抗値によって接触した座標がわかる。つまり、この方式では指でもスタイラスでも使うことができる。ボード上に指やスタイラスで圧力を加えると2枚のシートが接触して電気信号が発生し、コンピュータに渡される。
- 電磁気型
- タブレットと同じ方式。ボード表面の直下にX軸方向とY軸方向のワイヤが埋め込まれていて、コイルを埋め込んだスタイラスとの電磁誘導で接触位置がわかる。スタイラスは電源供給型(バッテリー内蔵か、ホワイトボード本体から有線で電源供給)と電源を使用しない型(ボード側で電気信号を発生)がある。動きを伴うような部品が存在しない。専用の電子ペン/スタイラス以外のもの、たとえば指などは使用できない。正確度はプロジェクターの解像度に依存する。ボード内の磁気センサーが磁気ペンによって活性化され、信号をコンピュータに送る。この場合、マウスを浮かせた状態の効果や右クリックを含めたマウス機能全てをサポートすることが多い。
- レーザー型
- ホワイトボードの上辺の両端に赤外線レーザーが設置されている。レーザー光線がホワイトボード表面を灯台の光のように監視している。スタイラスやマーカーについている反射板がレーザー光線を反射することで、その位置を検知する。マーカーあるいはスタイラスは電源不要だが、反射テープを使用する方法や、CMOSカメラを使用したDViT方式(特許成立済)が最初に登場した。CMOSカメラを使用し、指やスタイラスで位置検出を行う方法がある。
- 赤外線、超音波型
- 上下左右に赤外線発光素子を置き、縦横斜めに赤外線を走らせ 遮られた位置を検出することにより、座標を拾う方式。ホワイトボード表面を押すと専用電子ペンが超音波を発し、2個の超音波マイクロフォンがそれをキャッチし、音の到達時間の差から三角法的に位置を計算することにより検出位置の精度を上げているものもある。
- この場合もホワイトボードの表面は何でもよいが、指やスタイラスで位置検索を行う。特殊な例としてマーカーまたはスタイラスには電源が必須なものもあり、それ以外のものでは位置を検出できない。
- 光学・赤外線型
- ホワイトボード表面を指やマーカーで押すとボード上の表面を監視している赤外線発光装置とCMOSカメラなどの受光装置によって三角法的に位置を計算するDViT方式や赤外線イメージセンサ方式がある。この場合もホワイトボードの表面は何でもよく、指で操作でき特別なペンは不要である。また、赤外線イメージセンサ方式では、複数点のタッチができるなどの利点がある。
デジタル感圧型機種以外は、電子黒板ソフトウェア自体が特別なアプリケーションであり、電子黒板ソフトウェアにWindowsの方式を採っていないためWindowsのメニューやタスクバーは使用できない。
コンピュータ画面の投影
コンピュータ画面の投影には以下の方式がある。
- フロントプロジェクション
- ホワイトボードの前方からプロジェクタで投影する方式。この方式の欠点は、操作者がスクリーンの前に立つと体の影ができてしまう点である。感圧式では、指や通常の指し棒をスタイラスとして使えるものもある。
- リアプロジェクション
- プロジェクタがボードの後方から透過的に投影する方式。操作者が観客や生徒に向きあったときにプロジェクタの光で目が眩むことがない。しかし、フロントプロジェクションよりも高価で大型であり、後方に広いスペースが必要などの問題がある。2008年になり、リアプロジェクションは家庭用も業務用も含めソニー、JVRをはじめ各社がこの事業から撤退している。
- 短焦点プロジェクション
- 一部メーカーから短焦点プロジェクションが可能なシステムが発売されている。この場合、プロジェクタはホワイトボードに投影が可能である。これにより、影の問題も軽減される。ホワイトボードとプロジェクタを一体化した機種もある。
位置合わせ
多くの場合、ボード表面とコンピュータ画面の表示位置との位置合わせが必要である。例えば、一連のドットを表示して、ユーザーがそのドットを押していくことで位置合わせが行われる。一般的ではないがホワイトボード表面に仕込まれた光センサで自動的な位置合わせを行う方式もある(特許 7,001,023)。ただし、この方式ではボード表面に光センサーを埋め込むため、通常の表面に何箇所か穴が開いたような状態になるので通常の電子黒板としては使いづらいと思われる。
学校での利用
欧米ではインタラクティブ・ホワイトボードの学校への導入が進んでいる。教育ソフト、Webサイトなどコンピュータの画面上に表示できるものなら何でも表示し生徒に見せることができる。プロジェクタはコンピュータと接続すればインタラクティブ・ホワイトボードとして使用でき、「オブジェクト」を使用できる機種では教材作成がきわめて容易であり、極めて効果的な授業が可能である。DVDプレイヤーなどと接続することも可能である。 さらに、授業でホワイトボード上に教師が描いたことを記録しておき、後で生徒に配布することもできる。これは復習の意味もあるし、授業を休んだ生徒にとっても有用である。さらに記録を印刷しないで時系列的なデータとし、同時に教師の音声を録音して付与することで授業を再現することが可能となる。
日本では、プロジェクタタイプだけでなく、大画面薄型テレビ形式のディスプレイを使用したシステムの学校への導入が進んでいる。
多くの業者がインタラクティブ・ホワイトボードに加えて教室での応答システムを提供している。例えば、何らかの問題を表示し、その答えを全生徒から得るといった使い方ができる。
また、黒板とは違い、チョークを使用しないので、気管支炎などチョークの粉塵が原因で起こる人体への影響をなくすことができる。
2013年11月、沖縄県石垣市は公立の小中学校全校(小学校20校及び中学校9校)の全ての教室に電子黒板を導入することとなった[1]。
オフィスでの利用
オフィスでは、議事録の代わりとして、コピーボードやインタラクティブ・ホワイトボードを使うことが多い。
インタラクティブ・ホワイトボードの活用
プレゼンテーションでは、プレゼンテーションソフトウェアと組み合わせて使い、その場での手書き要素も用いることで単なるスライドショー以上の効果を発揮する。スライドショーへの直接手書きを保存できる機種もある。インタラクティブ・ホワイトボードと遠隔データ会議も活用すれば出張も減り、CO2削減にも貢献できる。
脚注
注釈
出典
- ^ “石垣市教委、電子黒板 全教室に 授業分かりやすく”. 琉球新報. (2013年10月19日) 2013年10月22日閲覧。
参考文献
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。
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- Dostál, J. Reflections on the Use of Interactive Whiteboards in Instruction in International Context. The New Educational Review. 2011. Vol. 25. No. 3. p. 205 – 220. ISSN 1732-6729.
- Beauchamp, G and Parkinson, J (2005) Beyond the wow factor: developing interactivity with the interactive whiteboard. School Science Review (86) 316: 97–103.
- Glover, D and Miller, D, Averis, D and Door, V. (2005) The interactive whiteboard: a literature survey. Technology, Pedagogy and Education (14) 2: 155–170.
- Smith, H.J. , Higgins, S., Wall, K., and Miller, J. (2005) Interactive whiteboards: boon or bandwagon? A critical review of the literature, Journal of Computer Assisted Learning, 21(2), pp.91–101.
- 清水康敬(著)『電子黒板で授業が変わる・電子黒板の活用による授業改善と学力向上』高陵社書店、2006年11月6日、ISBN 4771106576
- 中川 一史 (著), 中橋 雄 (著) 『電子黒板が創る学びの未来―新学習指導要領 習得・活用・探究型学習に役立つ事例50』 出版社: ぎょうせい (2009/3/7) ISBN 978-4324085929
- 岡澤永一(著)『小学校英語 with 電子黒板』《意味あるやりとり》のための31活動案 出版社:ドリマジック、2010年8月1日 ISBN 978-4990527402
関連項目
電子黒板
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 05:32 UTC 版)
1983年12月、通常のホワイトボードの利用価値を高めるため、コピーを可能とする書き消し可能なシートを利用した、5面巻き取り式電子黒板『かわら版』が誕生した。これが、現在のファックス方式電子黒板の草分けとなった。 1986年、以前の5面巻き取り方式の欠点を改良した、画期的な4面エンドレス方式の『メディアボード』をはじめ、大手家電メーカーが続々と電子黒板市場に参入した。これ以降各社の商品は、多機能タイプと単機能廉価タイプに2分されていった。 1988年以降、次第に激化する価格競争の中、メーカー側は余分な機能を削除した電子黒板を発売した。そして、4面エンドレス及び2面式廉価版が主流となっていった。 1996年まで、全体的な市場規模は、毎年着実に伸びていったが、製品上・販売上弱い部分を持った企業は次第に減少していく半面、コンピュータと接続可能で、用紙も普通紙に印刷可能な電子黒板が誕生した。
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