3代目 K12型系(2002年 - 2010年)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 00:08 UTC 版)
「日産・マーチ」の記事における「3代目 K12型系(2002年 - 2010年)」の解説
2002年2月、2度目のフルモデルチェンジを受ける。生産は引き続き追浜工場で行われ、コンセプトは変わらず3ドアと5ドアのハッチバックのリッターカーであったが、日本市場では、2003年夏には1Lエンジンのグレードが消え、2005年のマイナーチェンジを機に、3ドアモデルは廃止された。欧州市場向けは英国日産自動車製造での生産となり、クーペカブリオレの「マイクラC+C」も発売され、日本にも2007年7月に導入され1,500台が限定販売されている。 技術面ではルノーと共同開発した「アライアンス・Bプラットフォーム」が初めて採用された。日本仕様車では新開発の1.0/1.2/1.4LのCR型エンジンを搭載、5速MT/4速ATを組み合わせていた。欧州では1.6Lモデルも存在する。駆動方式はFFに加え、電動式四駆「e-4WD」も用意された。尚、e-4WDに用いられる後輪用モーターは日立製作所の業務用洗濯機のものを流用していて、後にマツダのデミオとベリーサのe-4WDにも供給された。また、燃費の向上を目的に、全車に電動式パワーステアリングが採用されている。2代目の特徴の一つであったCVTは供給していた富士重工業(現・SUBARU)が日産の傘下から離れた関係上供給を受けられ無くなった事から、ラインナップされていなかったが、2005年のマイナーチェンジを機に1.5LのHR型エンジン+CVT搭載のモデルが復活した。CR、HRのいずれのエンジンも電子制御スロットル仕様となる。 くりくりしたヘッドランプとカエルの顔をイメージさせる特徴的なエクステリアデザインは、NTC内デザイン本部第一プロダクトデザイン部(担当:猿渡義市)によるもの。欧州向け日産車に共通するウイング型のグリルをはじめ、丸くラウンドしたルーフや、わずかに残されたリアノッチ、ショルダー部分のキャッツウォーク形状には2代目の面影を残す。競合車種と比較した場合、全長が短いことや、後ろ下がりのルーフ形状のため、後席居住性やラゲッジスペースは若干劣ることが多い。また、日本仕様車では多彩に用意された個性的な内外装色も特色であり、自動車の優れたカラーデザインを顕彰する「オートカラーアウォード」を3度(内グランプリ2度)受賞している。ちなみに、初期型に設定されていた内装色の「シナモン(オレンジ)」は開発段階で微妙だという意見が出たものの、当時最高経営責任者だったカルロス・ゴーンの「いいじゃないか!」という一言で市販が決定した。 ゴーンCEO着任後、初めて開発された車種として、その売れ行きには注目が集まったが、発売初年度の日本市場では月販目標台数8,000台を大幅に上回る月平均14,000台を販売した。その後、他社から競合車が続々と発売されたこともあり、販売実績は低下傾向となった。しかし近年では他社の競合車種がモデルチェンジするたびに車両のサイズを拡大する傾向にあるなか、マーチは車幅などのサイズが比較的小さい車種ということもあり、発売後4年を経過した2006年時点でも月5,000台程度をコンスタントに売り続けていた。 このモデルから、車両の構造上字光式ナンバープレートが装着できなくなった。 K12は、同一プラットフォームを利用する他のメーカー車がある他に、スタイリング改造メーカーが利用する種車にもなっている。代表的なところでは、光岡・ビュートは、リアオーバーハングを延長し、独立したトランクを備えたセダンである。以前はK11ベースであったが、2005年9月の13年ぶりとなるモデルチェンジでK12系ベースに移行した。ビュートの妹分といった位置付けの、キュートもある。他にもビートル風やセイチェント風などといったモデルがある。 改造車では、トミーカイラ「m13」もK11型に続いてK12型ベースとなった。 マーチ12SR 形式:DBA-AK12 ベースモデルのK12マーチの変化に合わせて初期型-中期型-後期型がある。開発担当者はオーテックジャパンの中島繁治氏。 初期型 2003/10〜2005/8 2003年10月15日、K12シリーズのスポーツモデルとして発売される。5MT設定のみラインナップ。ボディ補強による捻れ剛性アップ・専用スポーツサスペンション・専用エキゾーストシステム・専用15インチアルミホイール(エンケイ製)+185/55R15 81Vブリヂストン ポテンザRE-01 エンジンはCR12DEをベースにオーテックにより徹底的なチューニングが図られており、高回転型カムプロフィール・バルブスプリング・専用ピストン・軽量フライホイール・専用チューニングコンピューターなど多岐にわたる。最高出力は108PS(79kW)/6900rpm 最大トルク:13.7kgm(134N-m)/3600rpm タンク容量:41L・無鉛プレミアムガソリンを使用する。 インテリアにおいては専用スポーツシート(黒×オレンジ)・本皮巻き3本スポークステアリング・専用本皮シフトノブ・専用アルミペダル・カーボン調フィニッシャーなどを装備。外観はエアロパーツを標準装備している。初期型のみ3ドア(1,520,000円)と5ドア(1,545,000円)の設定がある。 カラーはダイヤモンドシルバー/シトロンイエロー/キウイグリーン/クリスタルブルー/スーパーブラック/ホワイトパール(オプション) 中期型 2005/8〜2007/6 2005年8月、K12(標準車)シリーズのマイナーチェンジに合わせて改良が施され、各部が一新された。専用エアロパーツやグリルの形状なども標準車に合わせて変更がされている。標準車の3ドアグレード廃止により5ドア(1,764,000円)のみの設定になった。専用スポーツチューンドサスペンション仕様変更・ブレーキローター径258mmにアップ。専用15インチアルミホイールデザイン変更(エンケイ製)+ブリヂストン ポテンザRE-01R エンジンのヘッドポート加工・専用ステンレス製エキゾーストマニホールド・専用チューニングコンピューターの仕様変更。インテリアにおいては専用スポーツシート(黒×グレー)・ステアリングのステッチカラー変更(グレー)クスコ製専用ストラットタワーバーがオプション設定で追加される。 最高出力が110PS(81kW)/6900rpmと初期型より若干パワーアップした。 カラーはダイヤモンドシルバー/スーパーブラック/ホワイトパール(オプション) 後期型 2007/6〜2010/4 K12(標準車)シリーズのマイナーチェンジに合わせた最後のマイナーチェンジが行われる。標準車に準じたフロントウインカー位置変更に伴うヘッドライトデザインの変更(ヘッドライトとウィンカーが一体になる)。専用スポーツシート(黒×ブルー) 前期型・中期型で6:4分割式だったリアシートが一体型へ変更。 その他の仕様は中期型に準ずる。価格は1,782,900円 カラーはダイヤモンドシルバー/パシフィックブルー/スーパーブラック/ホワイトパール(オプション) 2010年4月19日をもって生産終了。 受賞歴 2002年10月 - 経済産業省選定グッドデザイン賞を受賞。 2002年11月 - 「パプリカオレンジ×シナモン」の内外装色組合せと5色の外装色(コミュニケーションカラー)が第5回オートカラーアウォードのグランプリを受賞。 2003年7月 - ドイツのレッド・ドット・デザイン賞受賞。 2003年12月 - 外装色「ショコラ」が第6回オートカラーアウォードのファッションカラー賞受賞。 2005年12月 - 「チャイナブルー×アイスブルー」の内外装色組合せが第7回オートカラーアウォードで2度目のグランプリ受賞。 2007年12月 - 「サクラ×カカオ」の内外装色組合せがオートカラーアウォード2008で3度目のグランプリ受賞。同時にオートカラーデザイナーズセレクション・インテリア部門賞も受賞した。
※この「3代目 K12型系(2002年 - 2010年)」の解説は、「日産・マーチ」の解説の一部です。
「3代目 K12型系(2002年 - 2010年)」を含む「日産・マーチ」の記事については、「日産・マーチ」の概要を参照ください。
- 3代目 K12型系のページへのリンク