3代目 JY32型系(1992年 - 1996年)
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「日産・レパード」の記事における「3代目 JY32型系(1992年 - 1996年)」の解説
ベースとなったスカイラインがR32型へ世代交代する中でレパードの開発は中止となったが、日産店のラインアップに穴が開くことに対する販社の抵抗も大きく、「インフィニティ・J30」の国内投入で継続されることが決まった(当初、J30は日本導入の予定は無かった)。この結果、4ドアセダンのみの設定となり、車名もレパード J.フェリー(LEOPARD J.FERIE)へと改称され、車の性格が変わったことをアピールした。キャッチコピーは「美しい妻と、一緒です」。 インフィニティブランドで初のEセグメントセダンであり、日本国内に於いては、後述のV8エンジンも搭載されていた事から、クラウンのみならずセルシオをもライバルとしていた車格であった。 フェラーリやマセラティにも収められているイタリア、ポルトローナ・フラウ製(表皮のみ)の本革シートをオプションで用意する。このシートの価格は約80万円もしており、普通の本革シート(オーストリアのシュミットフェルトバッハ製。初代マツダ・センティアも採用していた)も約50万円など、セドリック/グロリアと比べても、よりパーソナルな高級車としての印象が強く、またこれまでのモデルと較べてもスポーツ性が大幅に抑えられ、完全なラグジュアリー志向となっている一方、英国車ジャガーを意識したという足回りのセッティングやエンジンの味付けはむしろスポーティで走りはセドリック/グロリアのグランツーリスモと同様の活発なものであった。特にV8エンジン搭載車は車重が1,650kgと日産のV8エンジン搭載車の中で一番軽量(同エンジンを搭載するFY32型シーマより90kgも軽い)な為、見た目からは想像できない強力な動力性能である。 エンジンは、シーマ用のV型8気筒 DOHC 4.1L VH41DE型(270ps・37.8kgm)と先代F31型にも設定されたV6 3.0L VG30DE型(200ps・26.5kgm)の2種類で、それぞれに電子制御の4速フルオートマチックミッションが組み合わされる。セドリック/グロリアとは異なりインフィニティQ45 と同様のカギ型ゲートとロックボタンを併用したシフトレバーを備える。ABSとビスカスLSDがタイプF-e以外の全車に標準装備である。VH41DEモデルのみSuper HICASが装備される。VG30DEモデルは容量可変マフラーを備える。シーマ・セドリック/グロリアとは異なり、ターボ仕様は設定されておらず、北米向けインフィニティ・J30にはV6のみであった。J30のエンジンはJ.フェリーとは型式は同じVG30DEであるがエンジンのインマニ形状などが異なるフェアレディZ系の仕様であり最大出力も210psと少し高いものとなっている。 グレード構成は発売当初はV8エンジン搭載のタイプX(469万円)とV6エンジン搭載のタイプL(386万円)・タイプF(358万円)の3種。タイプFはタイプLからキーレスエントリーやクルーズコントロールを省いたものでエンジンや足回りなどの走行性能はタイプLと全く同じである。1993年6月にタイプX・Sパッケージ(474万円)とタイプL・Sパッケージ(391万円)・タイプF-e(332万円)が追加された。Sパッケージにはインフィニティ・J30と同じ形状でエンブレムのみ日産CIマークに変更された台形格子グリルとフロントスポイラー・フォグランプが装着されている。なお、この台形格子グリルは取り付け部の形状が異なるため標準仕様の横桟グリル装着車には無加工では取り付けできない。タイプF-eはタイプFからさらにABSやビスカスLSDが省略されている。 同時期のY32型セドリック/グロリアのVG30DE型搭載車に関しては、国内ユーザーの声を反映した5速ATが組み合わされているが、J.フェリーではインフィニティ・J30からの大きな変更は見送られ、4速ATのみとされた。 エクステリアデザインは北米専売車種のアルティマを含む同時期のブルーバードセダン(U13型・SSS/EEXシリーズ)同様、カリフォルニアデザインセンター(NDI)の意見を大幅に取り入れた、リアエンドの下がった、いわゆる「尻下がり」「垂れ尻」の特徴あるプロポーションとなった。 インテリアデザインは主に曲線と曲面で構成されエクステリアと共通のイメージとなっている。センターコンソールと運転席ドアスイッチ周辺は全車本木目パネルで仕上げられている。ボディーカラーによっては追加料金無しでベージュ内装からブラック内装へ変更できた。グレードやオプションにより助手席中折れシートが設定される。パーキングブレーキは踏み込んだ際にカリカリと音がしないサイレントタイプでリリースは電磁スイッチ式である。なおJ30は機械式リリースとなる。各操作系、スイッチ類は上質さを演出するために操作感がチューニングされている。セドリック/グロリアのような間接照明はないがセンターコンソール周辺を微灯で照らすなど夜間の演出も考えられている。当時としては珍しく照明つきのバニティミラーが前席の両側のサンバイザーに装備されている。 日本車としては初めて、助手席エアバッグを全車に標準装備した(レスオプションも選択可)車でもある。またR134a冷媒を使用する「オゾンセーフエアコン」も当初から採用された。 専用グリル・専用オーナメントなどを備える「オーテックリミテッド」もごくわずかに販売された。 雑誌NAVIや、一部好事家での評価は高かったが、北米仕様の尻下がりのデザインがあまり受け入れられず、日本国内では月平均の販売台数はおよそ100台前後と低迷が続き、総販売台数も約7,300台に終わった。一方で企画の段階から北米での販売を意識したこともあり、米国市場は月平均3,000台以上と安定した売り上げを保持していた。 『はぐれ刑事純情派』(テレビ朝日系)で劇中車として使用された。 1991年10月 - 第29回東京モーターショーにレパードJ.フェリー出展。 1992年6月 - レパードJ.フェリー発売。 1993年6月 - 「タイプX Sパッケージ」「タイプL Sパッケージ」「タイプF-e」追加。 1996年2月 - 生産終了。在庫対応分のみの販売となる。生産台数は7411台 1996年3月 - 4代目と入れ替わる形で販売終了。
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