音楽・演劇・舞踊・落語
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『胡飲酒』(こんじゅ)(雅楽) - 唐楽で、天平年間に 林邑僧仏哲が伝えた「林邑楽八曲」の一つ。胡 (西域) 人が酒に酔ってこの曲を演奏する様を舞にした、一人舞の舞楽でもある。 『猩々』(しょうじょう)(能) 『安宅』(あたか)(能) - 山伏に身をやつした義経主従が奥州平泉へ逃げのびる際、北陸道安宅の関を通ろうとすると、怪しまれて止められる。弁慶は関守の富樫と山伏について問答をし、偽の勧進帳を読み上げ、必死で危機を乗り越えようとする。その姿に感銘を受けた富樫は、義経主従とは知りつつも関の通過を許し、詫びのしるしとして一行に酒を振る舞う。その酒を豪快に飲み干した弁慶は、お礼にと延年の舞を披露しつつ一行をせき立て、奥州へ落ち延びていく。歌舞伎『勧進帳』の原作。 『棒縛』(ぼうしばり)(狂言) - 主の留守に、家来の太郎冠者、次郎冠者が酒を盗み飲みするので、ある日主人は外出に際して、太郎冠者を棒に縛り付け、また次郎冠者を後ろ手に縛って出かける。二人は縛られたまま、何とか酒を飲もうと色々と工夫してついに酒のふたを開け、互いに飲ませ合い、すっかり酔って歌うは舞うはの騒ぎとなり、主の悪口を言い合っている所に当の主人が帰ってくる。歌舞伎にもほぼ同じ筋書きのまま取り入れられたほか、宝塚少女歌劇で最初に飲酒がテーマになった演目としても著名。 『笹の露』(地歌・箏曲) - 文化文政時代に、京都で活躍した盲人音楽家菊岡検校が地歌として作曲、八重崎検校が箏の手付をした手事もの(てごともの)の大曲。和漢の様々な故事から、酒にまつわる箇所を色々引いて酒の徳を讃えた曲。「笹の露」とは酒の美称でもあり、またこの曲の別名を「酒」ともいう。2ヶ所の長大な手事 (楽器だけで奏される長い器楽間奏部) は技巧に富むかたわら、三味線と箏の掛け合いが非常に多く、これは酒を差しつ差されつするさまを表しているといわれる。 『勧進帳』(歌舞伎および長唄) - 1840年(天保11年)初演。四世杵屋六三郎作曲。歌舞伎十八番の一つで人気が高い。内容は能の『安宅』に同じ。また長唄の曲としても知られ、演奏会で長唄のみ演奏されることも多い。 『新版酒餅合戦』(しんぱんさかもちがっせん)(長唄・常磐津節・義太夫節 掛け合い曲) - 昭和40年代、現代邦楽の作曲家、杵屋正邦の作品。酒をはじめとする食品を擬人化した曲。きな粉元年あずきの末、自慢のし合いがもとで、酒一族と餅一族が座敷が原で合戦を繰り広げる。それを聞きつけた白大根練馬介の御台所・白妙の方が、人参の赤姫、ゴボウの黒姫などの女武者を引き連れて仲裁に入り、争いも治まり平和になる。 『黒田節』(福岡県民謡) 『禁酒番屋』(落語) - 酒の持込禁止をするために設けられた番屋の目をごまかそうと努力する様子が面白い。 『試し酒』(落語) - 「うちの下男、久蔵は大酒飲みで5升は飲み干せる」と自慢する近江屋の主人に、尾張屋の主人が本当に久蔵が5升飲めるかどうかの賭けを持ちかける。当の久蔵は戸惑って「少し考えるので待っていてほしい」と言い残して表に出て行く。しばらくして戻って来た久蔵は見事に5升の酒を1升ずつ飲み干してみせる。賭けに負けた尾張屋が「どうしてそんなに酒が飲めるのか。さっき出て行った時に何かしたのか」と尋ねると、久蔵は「酒を5升も飲んだことがなかったので、表の酒屋で試しに5升飲んできた」 『親子酒』(落語) - 酒好きの親子。息子の酒癖の悪いのを憂えた父親の提案でが二人で禁酒するが、ある日、息子が出かけている間に父親は酒を飲み始めてしまう。そこに帰ってきた息子も取引先に勧められるままに酒を飲んで酔っている。口論の挙句、父親は女房に向かって「婆さん、こいつの顔はさっきからいくつにも見える。こんな化け物に身代は渡せない」。息子も負けずに「俺だって、こんなぐるぐる回る家は要らねぇ」。 『二番煎じ』(落語) - 寒い冬の晩、夜回り当番の面々が番小屋で鍋をつつきながら禁止されている酒を飲んでいると突然廻り方同心(侍)がそこを訪れる。あわてた一同は鍋と酒を隠そうとするが酒だけは隠し切れない。とっさに「これは煎じ薬でございます。」というと「そうか、身共(わたし)もここのところ風邪気味じゃ。町人の薬を吟味したい」といって酒を口にする。「うむ、結構な薬だ。もう一杯ふるまわんか」と、結局同心は鍋も見つけ、酒も鍋もすっかり平らげてしまう。「もう煎じ薬がございません」と告げると「しからば、いま町内をひと回りしてまいる。二番を煎じておけ」。 『芝浜』(落語) - 魚屋の勝は大の酒好きで仕事もろくにしない。ある朝、女房に叩き起こされて渋々市場に向かったが、浜辺で大金の入った革の財布を見つけ、飛んで帰って大宴会を開く。翌日、二日酔いで起き出した勝は女房に、こんなに呑んで支払いをどうする気かと言われる。拾った財布の金のことを訴えるが女房は、そんなものは知らない、金欲しさのあまりに酔って夢を見たんだろと言う。勝は愕然とするがついに納得。つくづく反省して断酒を決意し死にもの狂いで働き始める。三年後の大晦日の晩。今では表通りに店を構え、生活も安定するまでになった。妻は「話しがある」と、三年前の財布の件について真相を勝に話した。十両盗めば首が飛ぶといわれた当時、拾った金の横領が露見すれば死刑だ。勝が酔い潰れている間に長屋の大家と相談し、大家は財布を役所に届け、妻は勝の泥酔に乗じて「財布なぞ最初から拾ってない」と言いくるめることにした。落とし主が現れなかったために役所から下げ渡された財布を見せられた勝は、道を踏み外しそうになった自分を立直らせてくれた妻の機転に強く感謝する。妻は懸命に頑張ってきた夫をねぎらい、久し振りに酒でもと勧める。はじめは拒んだ勝だったが、やがておずおずと杯を手にする。「うん、そうだな、じゃあ、呑むとするか」といったんは杯を口元に運ぶが、やはり飲まずに杯を置いてしまう。「どうしたの?」「よそう。また夢になるといけねえ」
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