政治任用職者への不信任決議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 06:28 UTC 版)
「不信任決議」の記事における「政治任用職者への不信任決議」の解説
衆議院において内閣全体ではなく個々の閣僚に対して不信任決議がなされることもあるが、法的に辞職を強制するものではなく憲法第69条のような効果も生じない。ただし、個々の閣僚に対する不信任決議であっても、内閣はこれを内閣全体の基本政策に対する不信任の意思表示であるとみて衆議院を解散しあるいは総辞職することは可能と解されている。なお、参議院では政治任用職にある者(国務大臣・副大臣等)に対しては問責決議が行われている。 1992年のPKO国会では、PKO法案の採決引き伸ばしを狙う野党が、議事妨害の一環として、先決問題である閣僚不信任案を全員分一件ずつ提出してはその度に討論と記名投票を行わせる構えを見せた。これに対して与党は内閣信任決議案を提出し可決させた。その上で、内閣信任決議が行われた以上は、個別の閣僚に対する不信任案の審議は一事不再議の慣例に抵触するため不要であるとした。 衆議院本会議での国務大臣等への不信任決議議決例本会議採決日対象者役職採決可否票差備考 1948年(昭和23年)6月24日 にしお/西尾末広 国務大臣 否決 178 209 031 日本国憲法下初の閣僚不信任決議採決。いわゆる無任所大臣(副総理) 1949年(昭和24年)11月25日 もり/森幸太郎 農林大臣 否決 120 239 119 他に同種1案あり。一事不再議により採決せず。 1950年(昭和25年)3月4日 いけた/池田勇人 大蔵大臣通商産業大臣 否決 099 178 079 他に同種1案あり。一事不再議により採決せず。 1951年(昭和26年)03月29日 よした/吉田茂 外務大臣 否決 少数 多数 不明 起立採決。 1951年(昭和26年)03月31日 おおはし/大橋武夫 国務大臣法務総裁 否決 少数 多数 不明 起立採決。 1951年(昭和26年)11月8日 いけた/池田勇人 大蔵大臣 否決 少数 多数 不明 起立採決。議事日程上1案。(個別2案の一括採決ではない。) 根本龍太郎 農林大臣 1952年(昭和27年)02月27日 おかさき/岡崎勝男 国務大臣 否決 少数 多数 不明 起立採決。補職は賠償庁長官。 1952年(昭和27年)06月10日 きむら/木村篤太郎 法務総裁 否決 少数 多数 不明 起立採決。 1952年(昭和27年)11月28日 いけた/池田勇人 国務大臣 可決 208 201 007 翌日辞任。補職は通商産業大臣・経済審議庁長官。 1953年(昭和28年)8月3日 おかさき/岡崎勝男 外務大臣 否決 133 193 060 1954年(昭和29年)3月20日 おおたち/大達茂雄 文部大臣 否決 134 268 134 1954年(昭和29年)4月10日 いぬかい/犬養健 法務大臣 否決 123 236 113 1955年(昭和30年)07月25日 すきはら/杉原荒太 国務大臣 否決 132 228 096 補職は防衛庁長官。 1955年(昭和30年)12月16日 しけみつ/重光葵 外務大臣 否決 135 259 124 1956年(昭和31年)03月20日 おおた/太田正孝 国務大臣 否決 141 237 096 補職は自治庁長官。 1956年(昭和31年)03月22日 しけみつ/重光葵 外務大臣 否決 139 249 110 副総理 1956年(昭和31年)04月19日 きよせ/清瀬一郎 国務大臣 否決 146 234 112 補職は文部大臣。 1956年(昭和31年)04月29日 こはやし/小林英三 国務大臣 否決 153 254 101 補職は厚生大臣。 1956年(昭和31年)05月23日 ふなた/船田中 防衛庁長官 否決 137 208 071 1956年(昭和31年)05月23日 いちまた/一万田尚登 大蔵大臣 否決 137 227 090 1956年(昭和31年)11月26日 くらいし/倉石忠雄 労働大臣 否決 139 247 108 1957年(昭和32年)5月14日 まつうら/松浦周太郎 労働大臣 否決 141 216 075 1958年(昭和33年)04月9日 いちまた/一万田尚登 大蔵大臣 否決 116 219 103 1958年(昭和33年)12月23日 なたお/灘尾弘吉 文部大臣 否決 145 227 082 1959年(昭和34年)02月17日 なかの/永野護 運輸大臣 否決 135 239 104 1959年(昭和34年)11月27日 ふしやま/藤山愛一郎 外務大臣 否決 133 198 065 1961年(昭和36年)6月6日 すとう/周東英雄 農林大臣 否決 132 216 084 1962年(昭和37年)4月5日 こさか/小坂善太郎 外務大臣 否決 148 236 088 1962年(昭和37年)4月28日 やすい/安井謙 自治大臣 否決 099 180 081 1963年(昭和38年)3月1日 おおひら/大平正芳 外務大臣 否決 122 259 137 1963年(昭和38年)6月22日 おおはし/大橋武夫 労働大臣 否決 118 199 081 1964年(昭和39年)4月28日 かや//賀屋興宣 法務大臣 否決 107 229 122 1965年(昭和40年)02月23日 しいな/椎名悦三郎 外務大臣 否決 148 248 100 1965年(昭和40年)11月10日 しいな/椎名悦三郎 外務大臣 否決 134 159 025 否決例における最小の票差。 1965年(昭和40年)11月10日 さかた/坂田英一 農林大臣 否決 088 137 049 1965年(昭和40年)11月10日 ふくた/福田赳夫 大蔵大臣 否決 126 164 035 1965年(昭和40年)11月10日 みき/三木武夫 通商産業大臣 否決 090 148 058 1967年(昭和42年)8月4日 ほう/坊秀男 厚生大臣 否決 143 202 059 1967年(昭和42年)8月6日 ふしえた/藤枝泉介 自治大臣国家公安委員会委員長 否決 150 221 071 1967年(昭和42年)8月6日 みすた/水田三喜男 大蔵大臣 否決 124 210 094 1967年(昭和42年)8月7日 きむら/木村俊夫 国務大臣 否決 112 216 104 補職は内閣官房長官。 1969年(昭和44年)7月12日 さいとう/斎藤昇 厚生大臣 否決 121 180 059 1969年(昭和44年)7月29日 さかた/坂田道太 文部大臣 否決 118 218 100 1971年(昭和46年)10月27日 ふくた/福田赳夫 外務大臣 否決 169 274 105 1971年(昭和46年)10月27日 たなか/田中角栄 通商産業大臣 否決 171 280 109 1973年(昭和48年)9月21日 やまなか/山中貞則 防衛庁長官 否決 161 241 080 1973年(昭和48年)9月21日 おくの/奥野誠亮 文部大臣 否決 161 230 069 1975年(昭和50年)07月1日 ふくた/福田一 自治大臣 否決 少数 多数 不明 起立採決。他の補職は国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官。 1975年(昭和50年)07月1日 おおひら/大平正芳 大蔵大臣 否決 少数 多数 不明 起立採決。 1975年(昭和50年)10月25日 むらかみ/村上勇 郵政大臣 否決 160 222 062 1975年(昭和50年)10月25日 おおひら/大平正芳 大蔵大臣 否決 160 217 057 1977年(昭和52年)5月11日 みはら/三原朝雄 防衛庁長官 否決 147 232 085 1977年(昭和52年)5月11日 ふした/藤田正明 総理府総務長官沖繩開発庁長官 否決 167 228 061 1987年(昭和62年)4月23日 みやさわ/宮澤喜一 大蔵大臣 否決 191 282 091 1997年(平成9年)04月22日 ちかおか/近岡理一郎 科学技術庁長官 否決 少数 多数 不明 起立採決。 1997年(平成9年)11月25日 みつつか/三塚博 大蔵大臣 否決 214 259 045 2002年(平成14年)2月5日 たけへ/武部勤 農林水産大臣 否決 186 276 090 2004年(平成16年)8月5日 さかくち/坂口力 厚生労働大臣 否決 185 279 092 2007年(平成19年)5月31日 やなきさわ/柳澤伯夫 厚生労働大臣 否決 131 333 202 2010年(平成22年)05月31日 あかまつ/赤松広隆 農林水産大臣 否決 141 306 165 2010年(平成22年)11月15日 せんこく/仙谷由人 内閣官房長官 否決 152 314 162 2010年(平成22年)11月15日 まふち/馬淵澄夫 国土交通大臣 否決 151 316 165 2014年(平成26年)6月20日 いしはら/石原伸晃 環境大臣 否決 142 326 184 2016年(平成28年)11月10日 やまもと/山本有二 農林水産大臣 否決 125 323 198 2016年(平成28年)11月29日 しおざき/塩崎恭久 厚生労働大臣 否決 122 338 216 記名投票における最大の票差。 2017年(平成29年)5月18日 かねだ/金田勝年 法務大臣 否決 125 334 209 2018年(平成30年)5月22日 もてぎ/茂木敏充 国務大臣 否決 135 320 185 補職は経済再生担当大臣・経済財政政策担当大臣。 2018年(平成30年)5月25日 かとう/加藤勝信 厚生労働大臣 否決 130 300 170 他の補職は拉致問題担当大臣。 2018年(平成30年)6月15日 いしい/石井啓一 国土交通大臣 否決 131 322 191 他の補職は水循環政策担当大臣。 2018年(平成30年)11月27日 やました/山下貴司 法務大臣 否決 139 309 170 2019年(平成31年)3月1日 ねもと/根本匠 厚生労働大臣 否決 132 317 185 他の補職は働き方改革担当大臣。 2019年(令和元年)6月21日 あそう/麻生太郎 財務大臣 否決 132 317 185 他の補職は金融担当大臣・デフレ脱却担当大臣 2020年(令和2年)2月27日 もり/森まさこ 法務大臣 否決 136 319 183 2021年(令和3年)4月1日 たけだ/武田良太 総務大臣 否決 130 322 192 ※太字は不信任決議可決例 ※役職欄に記載の職名は当該不信任決議案の題名に用いられた表記による(必ずしも法的に正式な表記ではない)。 ※これらのほかにも、決議案提出後(撤回、会期終了等により)採決に至らなかったものが多数ある。
※この「政治任用職者への不信任決議」の解説は、「不信任決議」の解説の一部です。
「政治任用職者への不信任決議」を含む「不信任決議」の記事については、「不信任決議」の概要を参照ください。
- 政治任用職者への不信任決議のページへのリンク