地球
『奇蹟を起こした男』(H・G・ウェルズ) フォザリンゲイは突然、あらゆる奇蹟を起こすことができる超能力を授かった。彼はさまざまな奇蹟を楽しんだ後に、地球の自転を止めてみる。とたんに人間も動物も、慣性の法則で地上から放り出され、全滅してしまった。フォザリンゲイは反省し、すべてを、超能力が授かる前の状態に戻す。だから、この物語を読む読者も、本来なら死んでいたところなのだ。
★1b.地球の自転が遅くなり、つねに同じ面を太陽に向けて公転する。
『地球の長い午後』(オールディス) 遠い未来。月の引力の変化で地球の自転がしだいに遅れ、地球は片面が永遠の昼、片面が永遠の夜になった。それからさらに20億年後。昼の世界の気温上昇によって、樹木は空へ向けて無限に成長し、月にまで達する。その頃、月は地球から遠ざかり、同じ面を地球に向けて運行する惑星となったが、植物の巨大な束が、この2つの天体を結びつけていた。人類は文字を失うまで退化し、森の中に暮らしていた。
★2.地球を逆回転させる。
『スーパーマン』(ドナー) 悪人ルーサーの発射したミサイルが西海岸を直撃して大地震が起こり、ロイス・レーンが地割れに呑みこまれて死ぬ。スーパーマンが地球の周囲を自転方向と反対に超高速で飛び、地球を逆回転させる。こうして時間を地震発生前に戻し、スーパーマンはロイス・レーンを救い出す。
『ザ・スター』(H・G・ウェルズ) 20世紀初頭。暗い宇宙空間に新惑星が現れ、太陽系に侵入して海王星と衝突した〔*この当時、冥王星はまだ発見されていない〕。衝突時に生じた熱によって、2つの惑星は白熱光を発する1つの巨星に変身し、しだいに地球に近づいて来る。火山の噴火、地震、洪水などのために、多くの人々が死ぬ。さいわい、巨星は地球に衝突することなく、遠り過ぎて行った。その後、世界の気候は以前より温暖になった。
『地球最後の日』(ワイリー&パーマー) かつてどこかの恒星を巡る惑星だった2つの星(アルファ星とベータ星)が、何らかの原因で軌道を離れ、宇宙を放浪したあげく、太陽系へ向かって来る。計算の結果、アルファ星は地球と衝突し、ベータ星は地球のすぐそばを通過することが明らかになる。各国はそれぞれ宇宙船を建造し、アルファ星との衝突の直前に地球を脱出して、ベータ星へ向かう。僅かな数の人々が生き残り、ベータ星を第2の地球として新たな生活を始める。
『妖星ゴラス』(本多猪四郎) 直径=地球の4分の3、質量=地球の6千倍、という黒色矮星ゴラスが、太陽系へ向かって来る。このままでは、1982年2月に地球と衝突する。ゴラスの爆破は不可能なので、南極に巨大なロケット推進装置を建設し、地球の軌道を変えることとなる。ゴラスの引力により海面が上昇し、多くの都市が水没したが、地球はゴラスとの衝突を免れた。ゴラスが遠ざかった後、今度は北極にロケットを設置し、地球の軌道をもとに戻す仕事が残っていた。
*→〔惑星〕1bの『さよならジュピター』(小松左京)では、ブラックホールの進路を変えて、ブラックホールと太陽の衝突を回避する。
*暗黒星雲が、太陽系内へ侵入する→〔日食〕7の『暗黒星雲』(ホイル)。
*小惑星が地球に衝突する→〔惑星〕5の『アルマゲドン』(ベイ)。
『神曲』(ダンテ)「地獄篇」第34歌~「煉獄篇」 イタリアに生まれ育った「私(ダンテ)」は35歳の時、詩人ヴェルギリウスに導かれて地獄へ降り、最下層に到る。そこで氷漬けになっている悪魔大王ルチーフェロの腰のあたりが地球の中心で、重力が集まっている。「私」たちはルチーフェロのわき腹の毛を伝って下へ降り、重力が逆転する箇所で身体の向きを変え、今度は地表へ向けての道を登る。「私」たちは南半球へ出、そこから煉獄の山に登る。
『ほらふき男爵の冒険』(ビュルガー)「世界の真ん中をつっきった旅」 「ワガハイ(ミュンヒハウゼン男爵)」は、イタリアのエトナ山の火口へ飛び込み、鍛冶の神ヴァルカンの仕事場に着いた。「ワガハイ」はヴァルカンの妻ヴィーナスと仲良くなったので、ヴァルカンは怒り、深い井戸のような所へ「ワガハイ」を突き落とした。「ワガハイ」はどこまでも堕ち、やがて大海原の真ん中にポチャンと出た。そこは南太平洋だった。「ワガハイ」はエトナ山から地球の中心を通って、南太平洋に落ちたのだ。
★5.第二の地球。
『モモ』(エンデ)5章 昔暴君コムヌスが「地球とまったく同じ大きさの、新しい地球を作れ」と命じ、人々はこの大事業に従事した。新しい地球を作る材料は、現在の地球から取るしかないので、新しい地球ができあがるに連れて、古い地球はやせ細っていく。人々は皆新しい地球に移住し、新しい地球が完成した時、古い地球はすっかりなくなってしまった。だから、今われわれがいるのは新しい地球の上なのだ〔*観光ガイドのジジが語る物語〕。
*「第2の地球」がカット・アンド・ペーストならば、→〔地図〕1の『博物館』「学問の厳密さについて」(ボルヘス)の「原寸大の地図」は、コピー・アンド・ペーストの物語である。
『ロストワールド』(手塚治虫) 太古、混沌としていた地球からちぎれて、宇宙の彼方に飛び去ったママンゴ星が、5百万年ぶりに地球に接近する。地球から10数人を乗せたロケットが、ママンゴ星に飛ぶ。ママンゴ星ではまだ恐竜が栄えており、人類発生以前の若い星であることがわかる。10数人の地球人たちは、争ったり恐竜に食われたりしてほとんどが死ぬ。敷島健一少年と、植物から作られた少女あやめがママンゴ星に残り、ママンゴ星のアダムとイブになる。
★6.地球は生きている。
『火の鳥』(手塚治虫)「未来編」 西暦3404年。人類の滅亡は目前に迫っていた。人工生命の研究をしてきた猿田博士の前に火の鳥が現れ、「地球は生きものです」と告げる。「太陽も星も生きています。それは宇宙生命(コスモゾーン)です(*→〔生命〕1a)。宇宙生命も病気になり、死んでいきます。本当なら、ずっとずっと長く生きられるのに。地球は1千年ほど前から病気にかかりました。動物は死滅し、人間の進歩も止まりました」。
『オオカミそのほか』(星新一『おかしな先祖』) 「おれ」は狼にかまれ、満月の晩に狼になってしまった。次には蛇にかまれ、満月の晩に「おれ」は蛇になってしまった。どうやら、かまれたものに変身する体質らしい。動物にかまれるだけではない。ベッドに手をはさまれ、「おれ」はベッドに変身した。この前は地面の割れ目に足をはさまれた。つまり地球にかまれたわけだ。満月の晩にはどうなるのだろう。
『地球になった男』(小松左京) 平凡な三十男のサラリーマンである「彼」が、突如、何にでも望むものに変身できる能力を得た。「彼」はゴジラになったり、超巨大な性器になったりした後、どこかの宇宙の、どこかの太陽系の地球になった。あなたのいる地球は、「彼」が変身したものかもしれない。いや、「彼」は地球になるとともに、その上に生じた一切のものになったのだから、犬も猫も、そしてあなた自身も、すべて「彼」なのだ。
*「犬も猫もあなたも、すべて彼=地球」という発想は、大地母神の神話と同様である→〔母なるもの〕3の『なぜ神々は人間をつくったのか』(シッパー)。
『午後の恐竜』(星新一『午後の恐竜』) 核戦争が始まろうとしており、地球上の全生命の死滅が目前に迫った。その時、生命発生以来の歴史をふり返るパノラマ視現象が、地球全域で発生し、人々を驚かせた。三葉虫をはじめとする古生物がまず現れ、次いで恐竜が現れる。いずれも幻影だから、手で触れることはできない。マンモスが現れ、原始人が現れ、やがて人類の歴史が展開して行く。まもなく現代人たちが現れ、一切が終わるのだ。
*死に瀕した人が、自分の全人生をふり返る→〔死〕10の『かいま見た死後の世界』(ムーディー)。
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