国境なき記者団による評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 08:55 UTC 版)
「報道の自由」の記事における「国境なき記者団による評価」の解説
世界報道自由度ランキングにおける日本の順位年順位当時の首相2002 26 小泉純一郎 2003 44 2004 42 2005 37 2006 51 2007 37 安倍晋三 2008 29 福田康夫 2009 17 麻生太郎 2010 11 鳩山由紀夫 2011 N/A 菅直人 2012 22 野田佳彦 2013 53 安倍晋三 2014 59 2015 61 2016 72 2017 72 2018 67 2019 67 2020 66 2021 67 菅義偉 小泉政権期(2002年 - 2006年)国境なき記者団による世界報道自由度ランキングにおいて、日本の順位は、小泉政権が発足した翌年の2002年には26位であったが、その後小泉政権期を通じて44位、42位、37位と推移した後、2006年には51位にまで落ちた。この年の報告書では「アメリカ合衆国、フランス、日本において報道の自由が着実に侵食されていることにも警戒すべきである」と、日本が名指しで非難されている。 小泉政権以降(2007年 - 2012年)2007年の報告書では、「日本(37位)は軍事的ナショナリストによる報道に対する攻撃に鎮まりが見られる」と書かれ、順位は51位から37位まで回復した。 翌2008年の報告書では日本は「民主主義が深く定着している国」の一つにあげられており、順位も29位に浮上している。 2009年の報告書でも「アジアの数少ない民主主義国」の一つに日本があげられており、「報道の自由が尊重され、ジャーナリストを狙った暴力が存在しない」として、順位は17位にまで上げられた。 2010年にはさらに11位まで順位を上げ、北欧諸国などに次ぐ高い評価を受けた。 2012年の報告書では、22位にまで順位が落ちた。その理由として、報告書では「津波や福島原発事故の報道が過度な制限をもたらし、日本の報道の多様性が制限されていることが明らかとなった」と述べられている。 福島原発事故の報道と記者クラブ(2013年)第2次安倍政権が発足した後に出た2013年の報告書ではさらに53位まで順位を下げた。「22位から53位まで転落した日本は、アジア諸国で最も急激な下落を記録した」と報告されている。その理由として、「当局が福島第一原子力発電所における事故に直接的または間接的に関連するテーマを独立して報道することを禁止する措置をとっていること」があげられている。さらに、「公の場での議論が抑圧されていることを訴えるフリーランスのジャーナリストは、検閲や警察による威嚇、司法による嫌がらせのもとに置かれている」と報告されている。また、記者クラブが存続し続けていることも問題視されており、記者クラブが存在するために近い将来日本の順位が飛躍的に上昇することはない、と述べられている。 特定秘密保護法の成立(2014年)2014年にはさらに59位まで順位を下げた。報告書では、その理由として前年末に制定された特定秘密保護法があげられている。この法律により、福島原発や日米関係などの重要なテーマがタブーとして公開されなくなるとし、さらに「調査報道、公共の利益、情報源の秘匿が全て犠牲になる」としている。加えて、福島原発事故に関連して、以下のように報告されている。 福島の検閲逮捕、家宅捜索、国内情報機関による取り調べや司法手続きの脅威 ― 2011年の福島第一原発の事故が日本のフリーランス記者にとって多大なリスクになると、誰が考えていただろう。福島の事故以来、『記者クラブ』という日本独特のシステムによって、フリーランスや外国人記者への差別が増えている。 『原子力村』として知られている原子力産業の複合体を取り上げようとするフリーランスの記者は、政府や東京電力が開く記者会見への出入りを禁じられたり、主要メディアならば利用できる情報へのアクセスを禁じられたりするなどで、手足を縛られている。 今、安倍晋三首相が『特定秘密保護法』という法律で縛ることで、彼らの闘争は、更に危険なものになってきた。 — 国境なき記者団、World press freedom index 2014 Asia-Pacific さらなる下落(2015年 - 2016年)日本の順位はさらに61位(2015年)、72位(2016年)と下がった。国境なき記者団は「2012年12月に安倍晋三が再び首相になって以降、日本のメディアの自由が衰退していることを言論の自由・表現の自由に関する国連特別報告者のデービッド・ケイが懸念している」ことをあげ、さらに『クローズアップ現代』(NHK総合)の国谷裕子、『NEWS23』(TBSテレビ)の岸井成格、『報道ステーション』(テレビ朝日)の古舘伊知郎が相次いて降板したことは「政府の圧力の不穏な徴候」であるとしている。さらに国境なき記者団のアジア太平洋担当のトップは、「安倍政権は報道の自由や国民の知る権利をますます軽視しているようだ」と述べている。加えて、高市早苗総務相が電波停止を命じる可能性に言及したことや、政府が籾井勝人をNHK会長に任命することでNHKの「報道をコントロールしようとしている」ことも問題視している。さらに、自民党の憲法草案に「〔国民は〕常に公益及び公の秩序に反してはならない」という条文が含まれていることも「言論の自由と報道の自由を抑圧するメカニズム」であるとして非難している。 その後上昇し、据え置き。その後の菅政権誕生以降(2017年 - 2021年)2017年4月26日のランキング発表では、前年と同一である72位と言う結果であった。一方、G7の国の中では52位のイタリアに抜かれ最下位となり、その後も最下位から抜け出せない状況が続いている。 2018年では67位に順位を上げている。だがグローバルスコアは微減しており、順位向上の理由についてレポートに中に言及されていない。また、"記者クラブがフリーのジャーナリストや外国人記者に対して、差別的な対応をしている"、"ソーシャル・ネットワーキング・サービス上においてネットユーザーが、反政権、脱原発、沖縄本島のアメリカ軍反基地運動活動家に寄添う報道をしているジャーナリストや報道機関を「反日的」とみなしている"、"菅義偉官房長官が「特定秘密保護法」に関するデービッド・ケイの報告に対し、「回答を差し控える」と発言した"と非難している。 2019年、デービッド・ケイは2017年の勧告を日本政府がほとんど履行していないと批判する、新たな報告書をまとめた。「政府はどんな場合もジャーナリストへの非難をやめるべきだ」としている。 2020年8月、安倍が持病の悪化に伴い、首相から退任し、官房長官であった菅が2020年自由民主党総裁選挙を勝ち抜き、新総裁に選出後、首班指名選挙で選出され、首相に就任。就任後に当たる2021年のランキングでは、安倍の右腕である菅が首相に就任し、安倍政権の閣僚布陣と変化が無いナショナリスト政権に対して、ジャーナリストに対して監視する自由を制限を掛けてると評し、ランキングのポイントが0.02ポイント微増したがランキングは1つ下がった。
※この「国境なき記者団による評価」の解説は、「報道の自由」の解説の一部です。
「国境なき記者団による評価」を含む「報道の自由」の記事については、「報道の自由」の概要を参照ください。
- 国境なき記者団による評価のページへのリンク