創価学会との関係、政教分離問題
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「公明党」の記事における「創価学会との関係、政教分離問題」の解説
公明党は公式HPにおいて創価学会の仏法の理念に基づいて活動してきたことを明記している。 公明党の草創期はあくまで創価学会の所轄内にあったことや、創価学会と一体となった活動が行われた経緯から、「憲法に定められた政教分離原則に反する」「公明党と創価学会は政教一致」という批判がマスコミや有権者から上がったことがある。1970年(昭和45年)の「言論出版妨害事件」に端を発した公明党と創価学会との「政教一致」批判に対し、制度的分離を明確化して以降(詳細後述)も同様の批判はある[要出典]。一方で、日本国憲法の定める「政教分離」とは、国家の宗教的中立性を定めたものであり、宗教団体の政治活動を否定したものではないということには留意を要する。 「政教分離」を明言した1970年(昭和45年)5月3日の党創立者・池田大作の講演では、「創価学会の役職を兼任している公明党議員では創価学会の役職は段階的にはずすなど、創価学会と公明党を制度の上で明確に分離していく」「会員個人の政党支持について、会員の自由意思には、全く干渉しない」「選挙活動は党組織の仕事とし、創価学会は支持団体として『地域ごとの応援』をする」などの方針が明らかにされた。同年の公明党大会では「政教一致」を意味すると見られてきた「王仏冥合」という宗教用語を公明党綱領から削除して宗教色を薄めたしかし、創価学会員による選挙違反の摘発、逮捕がたびたび発覚していることから、批判者の間では上記条項が守られていないのではという批判がある[要出典]。 1993年(平成5年)、細川内閣発足前日に公明党が大臣ポストを獲得したと池田が発言したことで、池田が細川内閣の人事に影響力を及ぼしているのではないかと衆議院予算委員会で自民党の委員が問題視したことがある。当時創価学会会長であった秋谷栄之助は国会で、「当日の新聞の閣僚予想記事の内容を話したのであって、党から何か事前に連絡や相談があったのではない」という旨の説明をした。 公明党元委員長の竹入義勝は1998年(平成10年)9月、『朝日新聞』に連載した回顧録『秘話・55年体制のはざまで』で、「公明党・創価学会の関係は環状線で互いに結ばれているのではなくて、一方的に発射される放射線関係でしかなかったように思う」「委員長を引き受けるときから人事権は(創価)学会にあると、明確にされていた」「公明党は財政、組織の上で創価学会に従属していた」などと述べた。この連載の直後、公明党の機関紙『公明新聞』では『竹入義勝の謀略と欺瞞』と題する連載が始まり、竹入の主張に対する反論が展開された。 羽田内閣で総務庁長官を務めた公明党委員長の石田幸四郎は国会で、「公明党の最高人事は池田の意向、指示で決まるのか」との質問に「公明党の人事は公明党でやっており、(池田からの)指示はない」「人事、政策というのは党大会を通して決める」と答弁した。 1997年、内閣法制局は「政教分離原則は宗教団体が政治的活動をすることを規制しているものではない」との旨を答弁している。 選挙期間になると、「創価学会の施設」を「全面的にフル動員して活用して」いることに対し、衆議院予算委員会で自民党の委員が問題視したことがある。自民党の委員の質問に対し、公明党委員長の石田幸四郎は「もしそれが憲法に触れる問題となるのであれば、特定の政党に対して特定の宗教団体が支援・支持をすることについてもまた同じ疑点が出てくる」と答弁し、内閣総理大臣の細川護煕も「公明党も信教の自由を大綱の中で謳っているのだから、その方針に沿って政治活動をしていると理解している」と答弁した。 2007年(平成19年)10月16日の参議院予算委員会で、民主党の石井一が「公明党と創価学会は表裏一体ではないか」「元公明党所属の議員から得た情報によると、国政選挙で公明党議員が当選した場合に衆議院議員は300万円、参議院議員は600万円の献金がなされ、その献金がどこへ入ったかは不明になっている」と主張した。石井は「公明党議員などからの創価学会への献金(P献金)の存在」も主張するとともに、公明党の歴代代表が結党以来40年以上に渡って無投票で選出されてきたことについても言及した。また、創価学会の関連施設で「法敵菅直人が来た」などという政治的活動が行われていたとも主張し、証拠となる録音テープを予算委員長に提出した。公明党の山口那津男は質問に抗議し、公明党に所属する国土交通大臣の冬柴鐵三も「P献金」「創価学会関連施設での政治的活動」をともに否定した。 2014年(平成26年)6月、内閣官房参与飯島勲は、公明党と創価学会の関係が憲法の「政教分離原則」に反しないとしてきた従来の政府見解について、「もし内閣が法制局の答弁を一気に変えた場合、(公明党と創価学会は)『政教一致』が出てきてもおかしくない」と述べ、従来の政府見解が変更される可能性に言及した。 日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」によると、公明党の中央委員と党福井県本部長であったAは創価学会福井池田文化会館に呼び出され、十人の学会幹部から「党県本部長として今やらなければならないことは日顕を徹底して攻撃することだ。党の政策なんかどうでもいい。」と吊るし上げられ「脱会していった元学会員をあらゆる手を使っていじめぬけ、追い詰めろ」と強要された。Aは「創価学会から私にはどうしてもできない二つのことをやれと命じられた。世間の常識からも憲法の上からも絶対にできないことであり、離党を決意せざるをえなかった」と語り、創価学会を脱会、公明党を離党した。 身内である創価学会員からの反発も存在する。2018年9月の沖縄県知事選で、公明党は自民党が擁立した佐喜眞淳を全面支援したが、対立候補の玉城デニーに惨敗。関係者に衝撃を与えたのは、公明党支持者の3割近くが玉城に投票していたという、マスコミ各社の出口調査結果であった。実際に選挙中、玉城陣営には公明党の母体である宗教団体・創価学会のシンボル「三色旗」がひるがえり、それを持ち込んだ創価学会員たちはマスコミの取材に「現在の公明党の姿勢は創価学会の平和思想に反する」「創価学会が自公の集票マシンに使われている」などと、公明党中央の方針に対する不満を打ち明けた。また現在全国各地で行われている「反安倍政権デモ」などの現場にも、そのような主張を叫ぶ創価学会員たちが少なからず加わっている事実があり、それらは広く報道もされている。公明党は元来、中道左派的なポジションの政党であり、池田大作名誉会長も護憲や反核兵器など、リベラル寄りの発言を行い続けてきたことを受け公明党を支持している学会員も多い。しかし現在の公明党は、自民党・安倍晋三政権の改憲や原発再稼働といった政策を容認している流れがあり、一部の創価学会員らが公明党不信に陥っているという。沖縄創価学会壮年部に所属していた野原善正も、上述の沖縄県知事選で玉城を支援した他、第25回参議院議員通常選挙では公明党代表山口の選挙区である東京都選挙区より対立候補としてれいわ新選組より立候補した。沖縄創価学会は、野原のこれらの言動や行動を理由として2021年1月付で野原を除籍した。
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