創世以前のSFとは? わかりやすく解説

創世以前のSF

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 06:19 UTC 版)

サイエンス・フィクション」の記事における「創世以前のSF」の解説

最初SF作家として普通認知されているのは、ジュール・ヴェルヌもしくはH・G・ウェルズである。しかしそれ以前にもSFではないがSF的な文学存在した。おそらく最古SF小説は、2世紀古代ギリシア作家ルキアノス書いた本当の話』と『イカロメニッパス』であろう。『イカロメニッパス』では、主人公のメニッパスが両手に翼をつけてオリュンポス山の上からイカロスのように(イカロ)飛び立って月の世界行き、そこで月の哲学者と会う。そしてかれに、目を千里眼にしてもらって地上見て世界小ささ実感する日本竹取物語平安時代)では月から人が来るし、浦島太郎室町時代)では時間の流れ歪み描かれている。8世紀アラビアンナイトにもSF的なストーリー含まれる14世紀ダンテ・アリギエーリによって書かれ『神曲』も、当時科学的知見盛り込まれ天国篇では、主人公ダンテ天動説宇宙基づいて構想された天界遍歴し、恒星天の上にまで昇っていく。 神話まで遡ると、エジプト神話ではすでに月や太陽の神などが登場するギリシア神話月の女神太陽の神など天界の神々チャリオット戦闘用馬車)に乗って天上世界宇宙)を自在に行き来する。また古代インド叙事詩マハーバーラタ」の登場人物(神)が使う超兵器インドラ」が、核兵器想起させる描写であったり、『ラーマーヤナ』には大気圏外航行可能なヴィマナ呼ばれる乗り物登場するなど、古典神話表現が、現代ではファンタジーSFとして見えることもある。さらにヴィマニカ・シャストラ呼ばれる文献には他の叙事詩とは違いヴィマナ詳細な解説や、操縦方法のみが記述されているなど、現代でいうSF作品とその設定資料集の様な関係を持つ作品群存在している。日本神話においても、天孫降臨伝説は高度な文明を持つ異星人文字通り天から来た”と例えれば不自然ではなくSF的な設定含んでいる。 科学的に厳密には、コペルニクス地動説唱える以前天動説信じられていたり宇宙天界ヘブン)と混同していた時代書かれ物語神話は、宇宙旅行コンセプト含んでいたとしても「科学的フィクションとは言えない。 17世紀天動説主流であった当時1620年代ごろに天文学者ヨハネス・ケプラー地動説考え基づいて書いた小説ケプラーの夢』(ラテン語 Somnium)がある。この小説は、アイスランド人ドゥラコトゥスが地球ヴォルヴァ)と月(レヴァニア)を自由に往復する精霊に連れられて月世界へと旅行する物語である。シラノ・ド・ベルジュラック1657年に「月世界旅行記」を出版した。これは、ロケットによる月旅行描いた最初作品とされている。また、北極異世界存在するという設定en: The Blazing World1666年)に、地球内部空洞であり異世界存在するという設定en: Niels Klim's Underground Travels1741年)に描かれている。ヴォルテールによるen:Micromégas1752年)は、シリウス周回する惑星土星からの来訪者地球やってくるというストーリーである。 ジョナサン・スウィフトガリヴァー旅行記には科学者が住む飛行するラピュータ登場する。島は底部天然磁により磁鉄鉱豊富な土地の上空を自在に移動できるなど科学的な設定があり、地上に住む人間押しつぶすなど兵器として使われるシーンもある。 さらに、1816年当時19歳メアリー・シェリー書いたフランケンシュタイン-あるいは現代プロメテウス』がある。科学者ヴィクター・フランケンシュタイン死体集めて繋ぎ合わせ人造人間作ることに成功する。しかし、その醜さゆえに彼は、人造人間(”怪物”)を放棄する造られた”怪物”は「こころ」を持ち幾度か人間交流試みるが、醜い容姿のせいでことごとく拒絶される絶望した怪物”は自らヴィクター元に現れ自分伴侶なり得る女性の”怪物”を一人造るように要求する。彼は一度約束したが、女性完成間近になってそれを破る。怒った怪物”は、ヴィクターの妻や友人殺害ヴィクターの方もその死に怒り、”怪物”を殺すために追跡始める。しかし、長い追跡の末、北極海ヴィクター衰弱し死亡する。”怪物”は彼の亡骸の前で、複雑な心境語った後、自ら焼死するために北極海へと消えた。 この小説は、メアリー・シェリーが夫(パーシー・シェリーと共にバイロン別荘(ディオダティ荘)に行った際の構想元に書かれたものであるディオダティ荘の怪奇談義)。ある日バイロン怪奇小説書いて互いに見せ合う事を提案したパーシーバイロン途中で小説投げ出したバイロンがこの時書いた構想借りて彼の主治医であるジョン・ポリドリが『吸血鬼』を書いた)が、メアリーはこれを仕上げたメアリーの『フランケンシュタイン』はSFテーマ扱いながらも「怪奇小説」であり、科学小説書こうというモチベーションによって書かれわけではないが、ブライアン・オールディスはじめとする後世多く作家評論家たちがメアリー先駆的な業績認めSF先駆者あるいは、創始者であると捉えている。一方で、『フランケンシュタイン』は確かに重要な作品ではあるが、SF起源とすることはSF領域拡張させ過ぎている、という意見存在する19世紀前半作家エドガー・アラン・ポーも、SF開祖一人である。彼の作品人間心理異常性踏み込んだ怪奇恐怖小説が多いが、『鋸山奇譚』・『大渦呑まれて』・『ハンス・プファールの無類の冒険』など、科学知識応用した作品見られる。特に『ハンス・プファールの無類の冒険』は、気球による月世界旅行描いたもので、当時最新科学知識用いた、まさに正統派SFであったヴェルヌウェルズポー影響受けており、現代SF発展功績があったといえる

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