作詞法とは? わかりやすく解説

作詞法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 19:11 UTC 版)

吉田拓郎」の記事における「作詞法」の解説

字余りの作詞法 曲作り多用した"字余り、"字足らずという作詞法は、日本に於けるその元祖といわれ、後のシンガー・ソングライター多大な影響与えたそれまで日本の歌謡曲ポップスは、音譜1つ1つの字、とぴったりハマっており、多少字余り字足らず気にしない言葉自由にメロディ載せる、あるいは日本語の歌を強引に捻じ曲げるという手法当時革命であり、これは拓郎によって始まったのである字余りソング当時顰蹙買ったが、それはメロディ超えて訴えたいことがたくさあったからである。そのオリジナリティ半世紀近いキャリア経た現在でも、全く衰えことはない。 拓郎はこの字余り字足らず詞の創作について1974年芸能誌で言及しており、「言葉七五調すっぽりおさまっちゃうというのは、どこかにインチキがあるんじゃないかな。それには当てはまらない心のつぶやきとか、はみ出してくる感情のたかまりというものがあるはずでしょう。それは字余り字足らずでなきゃ表現できないと思う」などと述べている。 小田和正は「昔は見よう見まね歌詞書いていた。でもある時、字余りソングみたいなものが出てきた。その象徴吉田拓郎で、新しいものが出てきた瞬間だったと思う」などと述べている。ミュージカル・ステーションの創業者金子洋明は、1991年インタビューで「日本オリジナル曲充実してきて、日本語海外サウンドという問題についていえば、日本語の壁は破れたんじゃないかと思います拓郎歌ってた時は"字あまり"っていわれてたけど、今、サザン歌っても"字あまり"っていわないでしょう」と述べている。 小林亜星は、阿久悠著書内の歌謡曲のことば」というテーマ作曲家から客観的に見た歌詞ルール歌詞メロディー結びつき、という考察において、「ニューミュージック隆盛期以来日本語の扱いが随分変わりました。これは日本歌謡史上大革命だったんです。吉田拓郎井上陽水がやった革命なんですそれまで日本の歌は、一つオタマジャクシ一つ日本語発音がはめ込まれていた。日本語って随分不便な言葉だなあ、と吉田拓郎あたりが考えて一つオタマジャクシで『私は』と言ってしまった。こんな歌い方はそれまで日本にありませんでした日本人感覚にないんですね、これがニューミュージックです。ニューミュージック以後、こんなふうにして言葉扱い変わってきたんですね。日本語ロックポップス歌ってもかっこよくなりました。ですから拓郎さんなんかの努力で、歌謡曲が非常にカッコよくなりましたニューミュージック革命以後日本語発音は英語風になっているんですよ」と論じている。 音楽とされる志村けんは、「日本語って、やっぱりロック合わないんだろうねえ。でも、日本語を英語っぽく歌って成功したのは吉田拓郎じゃないかと思うんだよね。桑田佳祐よりも前ですね。それと、拓郎のほうがビートルズっぽかったですね」と論じている。 赤坂泰彦は「言葉詰め込むというか、むしろ字余り的な、拓郎さんが書く曲から日本語の歌が変わっていって、後のサザンオールスターズ長渕剛さんなども影響受けていると思う」などと評している。 拓郎の"字余り字足らずソング"については、同業者中に批判する者もあり、赤い鳥1974年インタビューで「ただ言いたいことを言いたいだったらシャベればいいんであって音楽使ってやっているだったら、それは音楽対す冒涜」、成毛滋は「だいたい"字余りソング"なんていうのはリズム音痴だから平気でできるんで、リズム感いい人だったら気持ち悪くて聞いてられない。だけど、それをお客やる方喜んでやってるんだから、リズム音痴向いて音楽じゃないかって思う」などと批判している。 です・ます調普及作詞ラジオパーソナリティとして多く用いた「〜なのです」「〜なのだ」「〜であります」「〜でありまして」「〜でありました」などの言い回しは、です・ます調デス・マス調)と呼ばれ松本隆とともにその"普及者"といわれる拓郎場合は、曲作りだけでなく、多くラジオレギュラーでもこのような言い回し多用し当時フォーク少年にこの口調真似られた。 拓郎自身自著で「深夜放送でのシャベリ口調言葉遊びとしてやたら連発した」「その後歌謡曲小説誌面見出しなどに"です・ます調"が増えた」「僕は音楽シーンにおける"です・ます"はひとつの革命信じる。確実に歌の世界広くなった」 などと述べている。 こうした言葉の使い方歌謡界職業作家にも影響与えた穂口雄右が手がけたキャンディーズ「春一番」は、他の穂口作品の中で色合いが違う"です・ます調"で作られており、拓郎からの影響指摘する論調出た。 その他 他の作詞法として、平坦な話言葉使い歌詞組み立てる、起承転結形式解体し独特の言葉反復リズムをつけていく、といった方法論斬新画期的であった。他に「コードリズムの上に、歌詞をのせていくような」「メロディを歌うというよりも、詩を語っているような」「アドリブ歌っているような」という表現もされた。南こうせつは「僕らが『ああ夕日綺麗だね、君のこと愛してるよ』とかという詞が多かったのに『これこそはと信じられるものがこの世にあるだろうか!?~』って初め聴いて、そんなことを詞に平気にして歌うっていう、カッコ良かったし、ショックでした。衝撃シンガーソングライターでした」などと拓郎評している。 小西康陽は「拓郎さんの『今日までそして明日から』をはじめて聴いたときのインパクト凄かったです。ほかの作品とは比べものにならないくらい、言葉入ってきたんですよ。僕はザ・フォーク・クルセダーズジャックス岡林信康聴いていたんですが、それらとはまったく違うインパクトありました」などと述べている。 [[ROLLY山本恭司は「『青春の詩』を初め聴いた時、心の深いところに突き刺さった」等と述べている。 かまやつひろしは「日本人は特にサウンド志向だから、僕なんかサウンド志向でした。だからフォークはあまり知らなくて、60年代中頃流行していたカレッジ・フォーク大嫌いで、いとこの森山良子に『ヤメロ』と何度言った分からないんです。ところが吉田拓郎さん以後フォークの詞ってちょっとブラックでね、苦笑しちゃうような。そこに惹かれたんだな。だけどフォークメジャーになるとは思いませんでした」などと述べている。 鮎川誠は「高田渡吉田拓郎友部正人たち、フォークの人たちが日本語歌いよるの見とってね。僕らブルース深くまでかじって、これを生かして日本語オリジナル曲作った」等と述べている 小室哲哉は「英語を使わず自由に表現する歌詞何もかもかっこいい」と評している。 拓郎篠島ライブ控えた1979年夏の芸能誌のインタビューで、当時世間からニューミュージックが「軟弱」とか「クラい」などと叩かれていたことに腹を立て、「篠島でやるのは、一晩誰も知った奴のいない離れ島来れば、少しは親や家族など周囲との関係も変わるんじゃないかと思ったことだ。篠島って海の中の小島から日本ってモンもう一度見直せば、考え方にも何かの変化起きるだろう。ようは自立しろ!ってことだ。若い連中、特に男が軟弱になっちまってるコトイライラするんだ。今のニューミュージックっていわれてる連中コンサートだって、聴き来てるのは圧倒的に女だろ。男はどこへ行っちまったんだよ。そうしちまったのは、ミュージシャン側にももちろん責任はある。今のニューミュージックといわれる連中の歌の世界には、"ボク"と"アナタ"しか出て来ない。"オメエラ"の世界がないんだよ。それは主張、つまり主義イズムが歌う側にないからだろ。イズムのない歌は演歌だよ。特に男の歌手が何で女言葉で歌うんだ?それは昔の演歌だよ。オレ聴いてられない。ニューミュージック何て名前が泣くよ。別に男だ女だとこだわるつもりはない。今はもう男も女も一緒よ。男が女性化してるんだ。だから"やさしさ"しかウケないんだな。この前『セイ!ヤング』女の子からハガキがあって『拓郎さんのはウルサイ最初から最後まで叫んでかりいる』って書いてあってな。オレ納得しちゃったけどな。結局、快いやさしい声や音楽しか求めちゃいないんだ。歌には詩がある、なんてことをまるで考えちゃいないんだよ。オレは叫ぶ。それがオレの"歌"だからね」等と捲し立てた。 「ツッパリHigh School Rock'n Roll (登校編)」などの作者横浜銀蝿の嵐は「一番影響受けたのは詞の世界吉田拓郎さん。拓郎さんの詞って温かくて好きなんだ」などと述べている。

※この「作詞法」の解説は、「吉田拓郎」の解説の一部です。
「作詞法」を含む「吉田拓郎」の記事については、「吉田拓郎」の概要を参照ください。

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