会期選定の議論とは? わかりやすく解説

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会期選定の議論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 04:50 UTC 版)

1964年東京オリンピック」の記事における「会期選定の議論」の解説

東京1964年夏季オリンピック開催獲得した1959年時点では、日本側の準備委員会会期について、過去気象データ晴天が多い時期である、7月25日8月9日10月17日11月1日の2案を提案した。しかし、その後検討では、5~6月案が浮上した9月ごろには、日本台風上陸しやすく、1959年伊勢湾台風大きな被害発生したこと。東京開催され1958年アジア競技大会成功が、5~6月日本初夏爽やかな気候一因だったことが理由である。東京オリンピック組織委員会は、1960年2月サンフランシスコ開催され第56回IOC総会で、5~6月案を追加した会期案を検討中であると明らかにした。 1960年2月組織委員会は、下部機関競技特別委員会会期研究する小委員会設けた小委員会には、各競技団体の代表、気象海象生理衛生専門家参加した。春(5、6月)、夏(7、8月)、秋(10月)の3案のうち、夏は湿度が高いことから、一番最初に除外された。外国選手は、日本の夏湿度は、欧米では全く経験できないので、最も忌避していた。5月案と10月案には、一長一短があった。気象データでは、出現確率、晴または曇の出現平均確率見れば10月のほうがやや有利だが、台風被害9月集中しやすい。台風によって日本のどこかに大きな被害があった直後に、莫大な経費を必要とするオリンピック開催することは、国民的な感情として許されるかどうか10月会期決まり8~9月台風があった場合台風時期各国選手用具日本へ向け海・空路による輸送途上にあたり、この輸送円滑に行くのか。ヨットボート到着後、台風による被害を完全に防止できるのか。台風後は必ず伝染病まん延しているなどの懸念指摘された。 東京オリンピック関連道路整備は、用地買収隘路があり、会期が遅いほど都合がよいので、関係者10月案を希望した日本体育協会選手強化対策本部は、「特殊環境選手運動一般的に悪い影響及ぼし記録の上での成果多く期待できない」「伝染病に弱い外国選手観光客不測の事態発生する恐れがある」として、夏は除外されるべきだとした。小委員会は、1960年4月28日総務委員会経て組織委員会答申し5月23日6月7日10月3~18日の2案を提示した総務委員会では、台風中の輸送考慮し10月18日11月1日が適当であるとの意見書附された。 諸外国オリンピック関係者では、会期について多様な意見があった。ヨーロッパ諸国関係者からは、5月案に否定的な意見多かったイギリスのエクゼターIOC委員は、「スカンジナビア半島国々場合考えてみよう。彼等の国は1年初め部分1月から3月の意)は覆われている。だが私は彼等の国の選手が春までにベスト・コンディションに達すかどうか疑わしいと思う」と述べた。イタリア・オリンピック委員会筋は、「イタリアはじめヨーロッパ諸国では、選手春にトレーニング始める。選手たち大半学生であって本格的なトレーニング学期が大体終った頃に始めるのだ。その時期が5月当るのである」と述べた一方でオーストラリアアルゼンチンフィリピンインドなどの関係者は、5月案を支持したこうした議論経て最終的に会期10月1024日決定した。 のちの2020年東京オリンピックでは、当初会期2020年7月24日一部競技22日)~8月9日だったが、1年延期2021年7月23日一部競技21日)~8月8日となった。この開催都市選考では、IOC立候補都市に対して会期7月15日8月31日におさまるように要求していた。秋はヨーロッパならサッカーアメリカメジャーリーグ佳境迎えアメリカンフットボールNFL競合しテレビ放映人気プロスポーツとの争奪戦避けるのが目的だった。このことから、夏の暑さ避けるために、秋開催選択した1964年オリンピック評価する声がある。しかし、当時後世では、事情異なっている点もある。1964年オリンピック会期検討についての文献では、次のような記述があった。 「高温高湿によって最も困難な競技バスケット体操レスリングボクシング重量挙げおよびフェンシング屋内競技である。殊にフェンシングは、危険防止のためにベストフェンシングユニフォーム)を着用し身体外気から隔離するため、熱の放出(汗)は逆に身体圧力となってくる。したがってオリンピックともなれば、上記の6種目室内競技場はすべて完全な冷房をほどこさなければならない。3,00015,000人を収容した室内競技場を、常に快適な20前後調節することは容易でなく、例え出来たとしても莫大な費用が必要である。」 「第2の理由夏季環境衛生上、各種伝染病および中毒最盛期であって殊に欧米人は、日本に多い赤痢対す免疫性少なく罹病率が大」 その後日本では建物冷房日常的なものとなり、室内競技場での暑さ問題解消された。2020年オリンピックでは、暑さ対策屋外競技焦点置かれるようになり、開催準備段階マラソン競歩会場札幌市変更されるなどの対策実施された。また、その後日本では赤痢減少している。 台風については、前述した伊勢湾台風など、195060年代ごろの日本では死者が1千人超える台風被害がたびたび発生していたが、その後天気予報治水対策発達で、死者減少傾向である。しかし、秋に台風リスク存在している点は変わらない令和元年東日本台風2019年)では、10月12日日本上陸し関東地方などで記録的な大雨降らせ被害もたらした。もし東京オリンピック2019年開催され開幕日が1964年オリンピック同じく10月10日だったならば、会期中に大型台風直撃受けていたことになる。1964年オリンピック会期検討で、10月案について、台風が「万一開催地の東京地区開会前襲来した場合大会全般運営大きな支障来しアジアにおける世紀祭典一夜にして崩れ去ることもあえて誇張ではない」と指摘されていたことは、現代でもあてはまる。

※この「会期選定の議論」の解説は、「1964年東京オリンピック」の解説の一部です。
「会期選定の議論」を含む「1964年東京オリンピック」の記事については、「1964年東京オリンピック」の概要を参照ください。

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