主な源泉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:45 UTC 版)
光泉寺の境内から湯畑を見下ろす。 ライトアップされた夜の湯畑 白旗源泉 地蔵源泉 湯もみ 湯畑の動画 湯畑(ゆばたけ) 温泉街の中心部に湧き、名実ともに草津温泉の中核をなす源泉である。囲いの内側にある湯樋は、高温すぎる源泉水を加水することなく低温化するための施設であるが、湯の花を採集する目的も兼ねている。湯の花の採集は、江戸時代中期にあたる寛政2年(1790年)頃に始められた。採集は年に3回行われている。 現在の施設は、周囲はロータリー状に整備されている。1975年(昭和50年)当時の町長の経営するホテルに投宿した芸術家・岡本太郎が、地域づくり計画の一環として太郎に手がけてほしいという町長の要請に応じて、デザインと監修を受け持ったものである。 2008年(平成20年)冬季から2016年(平成28年)冬季にかけては、2万球に及ぶLEDを使用した行灯型の和風イルミネーション30基による夜間のライトアップで湯畑を演出する催し「湯畑イルミネーション」が行われた。 木樋を通った湯は最後に滝に到達するが、ここにはかつて「大滝乃湯」(現在は町営温泉施設の名にされている)と呼ばれる共同湯があり、1960年(昭和35年)頃に取り壊されるまでは、草津で唯一、番台のある「滝の湯」があった。 白旗(しらはた) 湯畑から光泉寺という寺院の階段方向に向かった右手に白旗湯畑があり、源泉の湧き出る様子を見ることができる。源泉は源頼朝が発見したと言い伝えられ、源泉内に頼朝を祭った石祠(頼朝宮)があり、町文化財に指定されている。かつては「御座の湯」と呼ばれ、1897年に源氏の白旗にちなみ「白旗の湯」と改称した。草津の主要源泉で唯一白濁しており、湯の花が空気や温泉に混ざることで淡く白濁する。お湯が強酸性のため、刺激が強く入浴すると肌が少しピリッとする感覚を楽しむことができる。熱の湯横の共同浴場「白旗の湯」で入浴が出来るが、引湯している施設は10件程度と希少である。泉質は「酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)」で、源泉温度50.8℃、湧出量毎分約660リットル。特筆事項は、pH値2.1、水素イオン H⁺8.91mg、硫酸水素イオン HSO4⁻ 195mg、硫酸イオン SO4²⁻ 651mg、臭化物イオン Br⁻1.5mg、メタケイ酸 H2SiO3 216mg、遊離硫化水素 H2S7.7mg、等の成分から硫化水素臭を含む独特な匂いと酸味と淡く白濁している事。 西の河原(さいのかわら、にしのかわら) 温泉街西側の荒原地帯に湧く源泉の総称で、現在では一帯は「西の河原公園」として遊歩道などが整備され、気軽に温泉が湧出する様子を観察できるようになっている。源泉の名称はこの付近の河原の名称から取られており、かつては町の西側にあることから西の河原(にしのかわら)と呼び、ここと地蔵の河原の2箇所を賽の河原(さいのかわら)と表現したようだが、現在では西の河原公園内に設置されている看板・案内図等でも西の河原を指して「さいのかわら(SAINOKAWARA)」と記載されている。ここには町営の「西の河原(さいのかわら)露天風呂」があるが、ここの湯は後述する万代鉱源泉から引いたものである。 西の河原の向かって右の河原には、地元では見た目から「マリゴケ(毬蘚)」と呼ぶところの、鮮やかな緑色でモコモコとした絨毯のようなチャツボミゴケ(茶蕾苔)の群生が見られたが、[いつ?]頃の開発の影響によって失われている。なお、奥草津の中之条町六合地区元山にある群馬鉄山の鉄鉱石露天掘り跡の窪み(通称・穴地獄)のチャツボミゴケ公園では本州最大の群生を見ることができる。 地蔵(じぞう) 湯畑から少し入った場所にある。古くから眼病に効くという言い伝えがあり、源泉の脇には名前の通り地蔵堂(目洗い地蔵と呼ばれる)がある。2006年(平成18年)4月に建て替えられた。 煮川(にかわ) 町営の日帰り温泉施設「大滝乃湯」のそばの、湯川の脇に湧出する。大滝乃湯から湯畑方面に伸びる歩道の脇に、茶色のタンクから煙突が伸びたような形状の施設があり、この中に湧出している。宿泊施設には供給されず、供給されているのは源泉近くの共同浴場「煮川の湯」と、前述の「大滝乃湯」のみ。 万代鉱(ばんだいこう) 1970年(昭和45年)に硫黄鉱山の坑道から噴出した新しい源泉で、標高の高い地域では主にここから湯が引かれている。摂氏95度と非常に高温で熱交換により湯温を下げている。このとき生じる高温の真水は温水として各家庭に供給されるとともに、道路の融雪などにも利用されている。「万代持ちますように」との縁起を担いで名付けられた鉱山だが、温泉の噴出を抑制できなかったことや、硫黄鉱山の需要低下もあって廃坑となった後は、小殺生地区に垂れ流されていた。 しかしながら近年の技術の進歩と多大な努力により有効に活用されている。現在、草津の町に入ると近隣の山の中腹でジェットの如く高く蒸気を吹き上げている箇所があるが、それが万代鉱の源泉である(犠牲者が出たため源泉地区は立ち入り禁止)。pH1.5で含有する成分も多いが、肌の弱い体質の場合は、体に影響を及ぼす恐れがある。溢れ出た湯は湯川の上流で派手に水蒸気を噴き出しつつ投棄されている。
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