グローバル規模と収益構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 21:48 UTC 版)
「投資銀行」の記事における「グローバル規模と収益構成」の解説
2007年にグローバルな投資銀行業務の収益は5年連続増加となり、過去最高の840億米ドルに達し、前年比で22%増加、2003年水準の倍以上になった。 これに続く米国のサブプライムローン投資へのエクスポージャーでは多くの投資銀行が損失を被っている。2012年後半時点で、投資銀行のグローバル収益は2009年から約3分の1減少で2400億ドルと推定されており、これは企業がより少ないディールとトレードを追求したためとされる。総収益の違いは、自己勘定取引の収益を差し引くなど、投資銀行業務の収益を分類する方法が異なるためであるかもしれない。 総収益に関して、米国にある主要な独立系投資銀行のSEC提出資料は、1996年から2006年までで投資銀行業務(M&A助言サービスおよび証券引受けと定義される)がこれら銀行の総収益の約15-20%しか占めておらず、収益の大部分(ある年では60+数%)が仲介手数料および自己勘定取引を含む「トレーディング」によってもたらされたことを示している。そして自己勘定取引がこの収益の大部分を占めると推定されている。 米国は2009年には世界全体の収益の46%を生み出したが、1999年の56%からは減少した。ヨーロッパ(中東とアフリカを含む)は約3分の1、アジア諸国が残る21%を生み出した:8。投資銀行の業界は、ニューヨーク市、ロンドン市、フランクフルト、香港、東京など、少数の主要金融中心地に集中している。世界最大のバルジブラケット投資銀行とその投資運用会社の大半はニューヨークに本社を置き、他の金融中心地の重要な参加者でもある。 ロンドン市は歴史的にヨーロッパのM&A活動の中心地として貢献しており、同地域で最も資本移動と企業再編をしばしば促進してきた。一方、アジアの都市ではM&A活動のシェアが拡大している。 ロンドンの国際金融サービス協会(IFSL)が発表した推算によると、2008年の金融危機以前の10年間は、M&Aが投資銀行業務の収益の主な源泉であり、しばしば収益の40%を占めていたが、金融危機以降に減少した:9。 証券引受けの収益は30-38%の範囲で、債券引受けの収益が残りの収益を占めた:9。 収益は利益率の高い新製品投入の影響を受ける。 しかし、これらの革新的な金融商品は競合する銀行によって即座にコピーされ、しばしば取引の利幅が低下することが起こる。 例えば、債券および株式取引の仲介手数料はコモディティ事業だが、それぞれ店頭取引(英語版)は独自に構築を行う必要があり、複雑なペイオフやリスク特性を伴う可能性があるため、ストラクチャリングおよびデリバティブ取引をすることで利益率が高くなる。成長分野の1つは、株式の私募(PIPEs)である。 そうした取引は、企業と適格投資家の間で個人的に交渉がなされている。 また銀行は債務を、特に金融危機以前のモーゲージ債務を、証券化することによって収益を得た。 投資銀行は、貸し手が社内で証券化を行っていることを懸念しており、1999年のグラス・スティーガル法廃止以降は、米国では認可された貸し手になることによって投資銀行は垂直統合を追求している。
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