ポスト軍事政権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:54 UTC 版)
「在韓米軍慰安婦問題」の記事における「ポスト軍事政権」の解説
「尹今伊殺害事件」も参照 1990年代初頭、売春婦は韓国の反米ナショナリズム(en)の象徴となった。 1992年に、米軍基地の周辺には約18,000人の登録女性と9,000人の未登録韓国人女性がいた。 1992年、東豆川市にある基地村のセックスワーカー尹今伊がアメリカ軍人によって惨殺された。尹は膣に瓶を詰め込まれ、肛門に傘を詰め込まれて死亡した状態で発見された。1993年8月、米国政府は被害者の家族に約72,000ドルの賠償金を支払った。しかしながら、売春婦のこの殺害はそれ自体では米軍特権に関する国民的議論を刺激しなかった。 2004年以降、フィリピン人またはロシア人女性が売春婦の多数派となった。両国からの女性がより安価な代替労働力となったため、韓国人のセックスワーカーは減少してきている。1990年代半ば以降は、軍事基地近辺のクラブで働く女性の80-85%を外国人が占めている。 ソビエト連邦の崩壊に伴って、何千人ものロシア人が慰安婦として働くため韓国に移住し、他の人たちはアメリカ兵士と民間韓国人の両方を相手に売春を余儀なくされた。 フィリピン人とロシア人のセックスワーカーが大多数であるとはいえ、韓国人売春婦は依然として多数存在している。女性家族部 (大韓民国)によると、2002年に韓国人売春婦は約33万人に達した。これらの大半は米国基地付近では働いておらず、地域経済の中で運営している。2013年、同省は約50万人の女性が国内の性産業で働いていると推定した。韓国フェミニスト協会は、実際の人数は100万人を超える可能性もあると推計している。その推計によると、15歳から29歳までの女性の最大1/5が性産業で働いた経験があるとのことである。 韓国政府はまた、性産業取引が年間国内総生産(GDP)の最大4%を占めることを認めている。1999年8月、東豆川市にあるクラブの韓国人オーナーは、米軍基地のために1000人以上のフィリピン人とロシア人の女性を韓国に連れて行ったことで、女性を不法取引(人身売買)したと告訴された、しかし韓国の裁判官はこの召喚状を覆した。2000年、群山市では売春宿に監禁された5人の外国人女性が火災で死亡した。 2002年、フォックス放送のテレビ番組は人身売買された女性がアメリカ兵士を相手に売春を強要されたとされる鉄格子付きの売春宿を報道した。米国兵士らが証言するには、クラブやバーのオーナーは女性をオークションで購入しており、そのため女性は自分のパスポートと自由を取り戻すために多額のお金を稼がなければならないとのことである。2002年5月、米国の国会議員はアメリカ合衆国国防長官ドナルド・ラムズフェルドに「もしも米国兵士がこれら施設を巡回または頻繁に訪れているのなら、わが軍が実質的に人身売買業者の私腹を肥やす手助けをしていることになる」と調査を依頼した。 2002年6月、米国国防総省は人身売買の陳述を調査すると約束した。2003年、ソウル地方裁判所はケーシー基地(en)近郊のオーナー3人に対して、売春を強要されたフィリピン人女性全員を補償しなければならないとの判決を出した。クラブのオーナーは彼女たちのパスポートを取って、女性達を拘束し続けていた。囚われの身になったあるフィリピン人女性は自身の監禁、殴打、中絶、飢餓に関する日記をつけていた。裁判が始まる前に、国際移住機関は外国人女性の人身売買を調査し、その結果をジュネーブの本部に報告した。フィリピン大使館もこの手続きに加わり、国民に代わって措置を講じる最初の大使館となった。 2002年、韓国政府はロシア人女性へのビザ発給を完全に停止したため、売春事業者は代わりにフィリピン人をより沢山連れてくるよう暗躍した。人身売買業者はまた偽装結婚を通じてロシアの女性も連れてきた。 2005年には、フィリピン人女性とロシア人女性が米軍の基地村における売春婦の90%を占めた。2005年、東豆川市のクラブオーナーであるハン・スヒャン(Hwang Sook-hyang)は、違法な売春宿の罪で10か月間の懲役刑と160時間の社会奉仕を宣告された 続く民事裁判では、2004年2月8日から3月3日にかけて米国兵士との性交を強いられたフィリピン人女性への賠償金5,000米ドルが宣告された。このフィリピン人女性は2004年に在フィリピン韓国企業によってナイトクラブの歌手として採用され、その後、彼女と数人のフィリピン人女性はハンが経営するクラブに監禁され、米国兵士との性交を強いられた。「「ジューシー・バー」」の元従業員は、兵士が性交目的で女性をバーからホテルの部屋に持ち出すのに普段150ドルを支払っていたと証言し、女性達は40ドルを受け取っていた。大半のジューシー・バーは飲み物の購買量とリンクした割り当てシステム(クオータ制)を採用していた。充分にジュースを販売せずにいる女性が店舗管理者によって売春を強いられる形だった。 2004年に、米国国防総省は反売春(anti-prostitution)を提案した。(沖縄にある)キャンプ・フォスターの米国軍人は、アメリカ合衆国、韓国、タイ、オーストラリアでは売春が違法だが「かなりオープン」だったと星条旗新聞の記者団に語った。2009年までに、在韓国フィリピン大使館はフィリピン人女性が売春を強要されたバーの「監視リスト」を作成し、米軍司令官が部隊に向けて基地周辺のそうした施設利用を禁じてくれることを期待して、米軍とそれを共有することも検討していた。 2009年時点で、約3,000から4,000人の女性が毎年東南アジアから来て売春婦として働いており、売春婦の90%を占めている。韓国では売春が違法であるにもかかわらず、基地村は依然として取り締まりから実質的に免除されていた。 2010年、米国国務省は米軍基地近くのバーで働く女性の苦境が韓国にて進行中の人身売買問題の1つだと報告した。フィリピン政府は、アメリカ軍基地の近くで働かせる目的でフィリピン人女性を韓国に連れて行く興行斡旋業者の認可を停止した。 2011年に、第8軍 (アメリカ軍)は性的暴行阻止の特別捜査班(Prevention of Sexual Assault Task Force)を設立した。この特捜班は米国兵士間の性的暴行に関する韓国国内の風潮を評価して報告した。 2012年、在韓米軍公益事業部が「現在、歌手や踊り手になろうと考えている若い女性が韓国に誘致されており」そして「そうなる代わりに、彼女たちは家族を養うため性的に搾取されることになる」と明確に公表した。在韓米軍はYouTubeにビデオを投稿し、そこでは「ジューシー・バーで高値の飲み物を買うことは現代の奴隷制の一形態である人身売買産業に加担することだ」と明言している。しかしながら、売春や人身売買への直接関与が確認されない限り、米軍兵士がバーに足繁く通うのを容認し続ける米軍司令官も何人かいる。ごく最近では2013年6月に、ジャン=マルク・ジョアス(en)司令官は第7空軍 (アメリカ軍)要員に対して烏山空軍基地の外にある全てのジューシー・バーを利用禁止にした。 この政策変更の結果として、地元地域では3週間の大規模な抗議行動が起こったが、ジョアス司令官はこの政策変更が地域内にあるジューシー・バーの大半が閉鎖する結果になったと考えている。 2014年6月25日、生存するアメリカ軍相手の韓国人慰安婦122人が自国政府に対して、人間の尊厳を取り戻す事および原告1人当たり1000万ウォンの補償を求める訴訟を起こした。申し立てによれば、彼女らは米軍と韓国政府によって監督され、韓国当局は彼女らの脱走を阻止することで売春斡旋業者と共謀していた。2017年、ソウル中央地方法院の裁判官3人は身体的および心理的損害への補償として原告57人それぞれに4,240ドル相当の金額を支払うよう政府に命じた。 2014年以後、在韓米軍は交際目的のためホステスのために客側が飲み物(またはジュース)を購入できる施設への訪問をアメリカ軍人全員に禁じている。 ホステス・バー、ジューシー・バーなど、女性を購入できうる会社はいずれも米軍立ち入り禁止である。米軍関係者はホステス・バー顧客の大得意様だったので、事実上これが韓国内全ての米軍基地近くにあるホステスをテーマにした全施設を閉鎖することになった。
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