ベータマックスとの規格争いとは? わかりやすく解説

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ベータマックスとの規格争い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 04:53 UTC 版)

VHS」の記事における「ベータマックスとの規格争い」の解説

詳細は「ビデオ戦争」を参照 VHSは、1975年昭和50年)にソニー開発発売した家庭用ビデオベータマックスの対抗規格として脚光を浴びた。約10年間も続いた規格争いビデオ戦争)を制してVHS生き残った。その要因としてはいくつかある。 共同で規格の充実を図る体制にしたこと VHS陣営ファミリー形成重視した展開を行った。これが功を奏しVHS採用するメーカー多数獲得して共同規格充実を図る体制確立したまた、家電メーカー獲得したことによりその販売網利用できた。特に松下電器産業採用したことが大きい。ベータマックス陣営には家電販売網を持つ東芝などの存在もあったが、松下販売網規模緻密さ大きく影響したと言われている。 量産に適した構造だったこと VHS量産適した構造で、普及期廉価機投入など戦略的な商品ラインナップ実現できた。ベータUマチックと同じUローディング方式そのまま用いたのに対しVHS開発難航したものの部品点数少なく生産しやすいMローディング採用した記録時間最初から実用的な2時間設定しその後長時間化に成功したこと、欧州米国市場でのOEM供給先を獲得することに成功したこと、などが要因として挙げられる耐久性&互換性を重視した設計だったこと VHS高画質化よりも長期耐久性再生互換性最重要視する設計規格で、レンタルビデオ市場セルビデオ市場創造した。また関連会社資金提供映画AV作品などタイトル豊富に作らせ、セルビデオソフト店が無かった黎明期大手電器販売店の近所作ったアンテナショップ販売したベータ側の広告戦略の失敗 ベータ規格主幹ソニーによる広告戦略失敗もあった。1984年昭和59年1月25日から4日間、ソニーが主要新聞各紙広告連続掲載し見出しは「ベータマックスはなくなるの?」「ベータマックスを買うと損するの?」「ベータマックスこれからどうなるの?」となっており、最終日に「ますます面白くなるベータマックス!」と締めくくる展開であった。これは当時新製品告知する逆説的アプローチだったのだが、消費者には理解されず『ベータ終了』と短絡的に捕らえこれを機にベータ離れ加速された。 ビデオソフトシェアは、1980年VHSベータ上回った1989年平成元年)頃まではメーカーVHSベータ併売していた(一部メーカー8mmビデオソフト供給)が、ベータファミリーが崩壊し各社VHSへと移行したソニー1988年昭和63年)にVHS/Beta/8mmビデオデッキ併売するようになり、ベータ市場シェア徐々に落としたことから、ビデオソフトメーカーはビデオソフトVHSのみで発売するようになり、レンタルビデオ店でもVHS標準となった家電量販店などでもビデオデッキVHSS-VHS主流となった。より高画質求めたベータユーザーはベータソフト供給打ち切り前後を境にレーザーディスクLD)へと流れて行ったセルビデオレンタルビデオのソフトの再生互換性鑑みて各社独自仕様VHSビデオデッキの発売基本的に許されなかったが、1996年シャープがダブルチューナを搭載し同時二番組録画・再生対応した「VC-BF80」を発売した同時二番組録画・再生VHS方式には規格されておらずVHS方式とは互換性無く当該機種で録画されテープシャープ製を含め他社VHS機種での再生も当然不可であったS-VHS搭載機でも、VHS録画・再生は可能である。 ベータでは、βI・βIs(5.6 MHz Hi-Band)・βIsSHB(6.0 MHz Hi-Band)・βII(X2)・βIII各モード、Hi-BandBeta(5.6 MHz/βII・βIII)、BetaHi-FiED-Betaなどの規格があったが、VHSSP標準)・LP(2倍/日本国内仕様では再生のみ対応)・EP(3倍)、VHSHi-Fi、S-VHSの、録画スピード2種類映像信号2種類Hifi信号重畳有無、の簡素な組み合わせとなっていた。末期には S-VHS-ET、S-VHSDigitalAudio、W-VHSD-VHS乱立したが、初号機HR-3300以来VHS標準モード録画されテープは、最終生産機でも再生できた。ベータ初期標準モード・βIモード専用機種等では、後に開発され長時間モード高画質高音質規格録画されテープ再生できない環境にあったVHSではテープカートリッジを小型化した VHS-CS-VHS-C規格があったが、アダプターを介して据え置き型レコーダー録画再生が可能であったベータビデオソフトではハイグレードテープを使用して磁気保磁力が強い総メタルテープマスタースレーブテープに超高速磁気転写プリントする方式ソニー1980年代開発したが、商業的に成功しなかった。VHSでは、画質劣化少な等速でのソフトウェア生産作業のために、幅広ヘッド搭載ダビング専用機発売された。ベータVHSともにLDVHD等のビデオディスクよりも高価なビデオソフト価格であった1990年代入り、OTARIがTMD高速熱転写方式による「T-710ビデオ・デュプリケーター」を開発しVHSSP標準モード300倍速高速プリント実現しソフト製造高速化図られたが、同装置単価の高いクロームテープ使用販売台数はわずかであったいずれにしてもビデオソフト低価格化が進んだVHSベータ戦争火ぶた切られたとき、ビクターVHSファミリーの中で技術的問題生産能力でまだVHSデッキ製造できないメーカーOEM供給していた。ときには自社ブランドよりOEM供給向けの生産優先していたこともあるという。それは様々なメーカー販売することにより他社販売網活用できる上、VHS多数派であるという印象持たせる狙いもあったと言われる。なお、ソニーもベータファミリー各社生産体制整わないうちには自社製品OEM供給していた。 VHSベータ戦争では負けたといわれるソニーだが、VHS使われる技術にもソニー保有する特許多数使われているため、少なからぬライセンス収入があった。これは1969年昭和44年)のU規格策定時にソニー/日本ビクター/松下電器の3社が結んだクロスライセンス契約関係している。 両方式の基本的な記録方式である、回転2ヘッドヘリカルスキャン記録日本ビクター特許であり、ベータ長時間化での信号処理技術日本ビクター特許であったソニーはUテープローディング技術始めとする非常に多数VTR特許技術保有していたが、VHSはMローディングであり日本ビクター特許であった。しかし色差信号漏話除去ソニー特許のため、ソニークロスライセンス契約結んでいなかった日立製作所三菱電機シャープ赤井電機などのVHS陣営各社VHSビデオデッキ発売した際、ソニー特許利用契約を結ぶ必要があった。また、磁性材料から含め28,000件にも達すビデオカセットテープに関する特許技術ソニーがほぼ掌握しており、ソニークロスライセンス契約結んだ松下電器日本ビクターVHS方式発売当初自社によるビデオカセットテープ生産設備保有をしていなかったため、TDK富士フイルム住友スリーエムなどからのOEM供給凌いでいた。ソニー特許利用契約結んだ日立製作所日立マクセルOEM供給によりVHSビデオカセットテープ発売1978年昭和53年)にソニークロスライセンス契約結んでいないテープメーカーに対して有償特許公開する方針したため、テープメーカーが独自でVHSおよびBetaビデオカセットテープ発売が可能となったビデオ戦争末期には、ソニー製VHSビデオデッキを望む声が市場から上がっていた。このことがソニーVHS方式参入する一つきっかけとなっており、VHSベータ8ミリフルラインナップで「VTR総合メーカー」を目指す方針転換した1988年昭和63年)にソニーVHS方式参入した際、障壁となるものは全くなかった松下電器日本ビクターとはクロスライセンス契約結んでいたため、VHS参入時、松下電器日本ビクターVHS発売了解を得る必要性すらなかった。実際、Uローディング準じた機構採用したデッキでは「マッハドライブ」の愛称で出画時間の速さ売り物宣伝するなど、自社保有する特許を相当活用していた。 また、当時ソニーの子会社だったアイワ初代法人)は親会社先行してVHS参入していた。最終的な販売台数は、VHS約9億台、ベータ3500台とされている。

※この「ベータマックスとの規格争い」の解説は、「VHS」の解説の一部です。
「ベータマックスとの規格争い」を含む「VHS」の記事については、「VHS」の概要を参照ください。

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