【擲弾発射器】(てきだんはっしゃき)
Grenade launcher(グレネードランチャー)
擲弾を発射する銃。
口径が20mmを越えるので、日本の慣例では本来「砲」に分類されるべきものだが、サイズ・反動ともに(同口径の機関砲に比べれば)非常に小さく、歩兵が両手で支えて撃てるため、例外的に「銃」に分類される。
手榴弾と同様に多彩な弾頭を撃ち分けられるのが利点で、催涙弾などを打ち込む目的で各国の司法警察にも採用されている。
関連:M79 M203
小銃擲弾(ライフルグレネード)
小銃に取り付ける単発式の擲弾発射器。
何より軽量安価である事が利点で、歩兵の火力を強化する目的で第一次世界大戦時に開発された。
当初は、銃口に直接擲弾を取り付けて空包を撃つ事で装薬に点火、擲弾を撃ち出すものだった。
しかし、擲弾を取り付けると小銃が使えなくなり突発的な応戦に支障を来す、反動が大きく銃に対する負担が大きいなどのデメリットが大きい。
このため、厳密な意味での小銃擲弾は、現在、FA-MASや89式小銃など一部の突撃銃でのみ採用される。
銃身の下部に小さな単発の擲弾筒(後述)を取り付け、装着したまま小銃を使用できるタイプもあり、現在ではこちらが小銃擲弾の主流になっている。
擲弾筒(グレネードランチャー)
最初から擲弾を撃つ事を想定して作られた銃。
場合によっては、第二次世界大戦期に使用されていた個人で使用できる小型の迫撃砲を含める場合もある。
小銃擲弾よりも信頼性は堅牢で、中折れ式やリボルバーなどの回転機構を使ってセミオート連射が可能。
より大型化してフルオートに対応した自動擲弾銃もあり、重機関銃と迫撃砲の中間に位置する兵器として配備されている。
総体として軽機関銃並かそれ以上の重量があり、敵に間合いを詰められると拳銃や小銃での応戦が困難になる点はいずれも変わらない。
空中炸裂擲弾銃(エアバースト・グレネードランチャー)
個人火器ながら火器管制装置を内蔵することにより曳下射撃を可能にした発射器。
詳細はエアバースト・グレネードの項を参照。
【擲弾発射器】(てきだんはっしゃき)
Grenade launcher(グレネードランチャー)
擲弾を発射する銃。
口径が20mmを越えるので、日本の慣例では本来「砲」に分類されるべきものだが、サイズ・反動ともに(同口径の機関砲に比べれば)非常に小さく、歩兵が両手で支えて撃てるため、例外的に「銃」に分類される。
手榴弾と同様に多彩な弾頭を撃ち分けられるのが利点で、催涙弾などを打ち込む目的で各国の司法警察にも採用されている。
関連:M79 M203
小銃擲弾(ライフルグレネード)
小銃に取り付ける単発式の擲弾発射器。
何より軽量安価である事が利点で、歩兵の火力を強化する目的で第一次世界大戦時に開発された。
当初は、銃口に直接擲弾を取り付けて空包を撃つ事で装薬に点火、擲弾を撃ち出すものだった。
しかし、擲弾を取り付けると小銃が使えなくなり突発的な応戦に支障を来す、反動が大きく銃に対する負担が大きいなどのデメリットが大きい。
このため、厳密な意味での小銃擲弾は、現在、FA-MASや89式小銃など一部の突撃銃でのみ採用される。
銃身の下部に小さな単発の擲弾筒(後述)を取り付け、装着したまま小銃を使用できるタイプもあり、現在ではこちらが小銃擲弾の主流になっている。
擲弾筒(グレネードランチャー)
最初から擲弾を撃つ事を想定して作られた銃。
場合によっては、第二次世界大戦期に使用されていた個人で使用できる小型の迫撃砲を含める場合もある。
小銃擲弾よりも信頼性は堅牢で、中折れ式やリボルバーなどの回転機構を使ってセミオート連射が可能。
より大型化してフルオートに対応した自動擲弾銃もあり、重機関銃と迫撃砲の中間に位置する兵器として配備されている。
総体として軽機関銃並かそれ以上の重量があり、敵に間合いを詰められると拳銃や小銃での応戦が困難になる点はいずれも変わらない。
空中炸裂擲弾銃(エアバースト・グレネードランチャー)
グレネードランチャー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/03 04:23 UTC 版)
グレネードランチャー(Grenade launcher)、グレネードガン(Grenade gun)、擲弾発射器(てきだんはっしゃき)、擲弾筒(てきだんとう)、擲弾銃(てきだんじゅう)は、手榴弾または同程度の威力の擲弾を発射する武器である[1]。通常、口径20mm以上の火器は砲として扱われることが多いが、グレネードランチャーは例外的に銃として扱われることがほとんどである。
目次
概要
古くはライフルの火薬で手榴弾を投射する火器を指していたが、現在では、高低圧理論を元に、低反動で歩兵が保持して使用できる火砲についてもグレネードランチャーと称することが多い。威力増強のため、発射機に無反動砲の原理を導入したり、擲弾にロケット推進を導入してロケット擲弾としたものも多くなっており、これらについては、むしろ無反動砲やロケットランチャーと称される場合もある。また誘導爆弾のような発射後の誘導機能も実現している(Pike)。
グレネードランチャーは、歩兵砲・迫撃砲など歩兵部隊が有する支援火器と、歩兵個人が投擲する手榴弾との間にある性能・射程的な間隙を埋めるものとして開発された。このことから、一般的に射程は短く、射撃組に配備されるもので150-200メートル程度、小銃分隊に配備されるもので500メートル程度、小銃小隊以上の階梯に配備されるもので1,000メートル程度となっている。
擲弾筒
グレネードランチャー(Grenade launcher=擲弾発射器・擲弾筒)には、信号拳銃から発展したドイツのカンプピストーレやシュトゥルムピストーレ、米軍のM79のような中折れ式ショットガンを大口径にしたような物がある。軍用以外にも、治安部隊向けにゴム弾やガス弾を発射する物もあり、リボルバーと同様の機構を持ち、連射が可能な物もこれに含まれる。構造がシンプルで扱いやすいが、これを装備していると同時に近距離での自衛用火器が使えないため、アンダーバレル・グレネードランチャーが開発された。
アンダーバレル・グレネードランチャー(Underbarrel grenade launcher)は、その名のとおり小銃の銃身下部に装着し、専用の擲弾を発射する(アドオン方式)。このため、擲弾を装弾したままライフルの発砲が可能である。擲弾自体に発射のための装薬が込められており、発砲後空薬莢を排出する。ただし、大抵のアンダーバレル式グレネードランチャーは、装着時にライフルのハンドガードを取り外してそこに付け替える必要がある[2]。ベトナム戦争の途中から本格的に採用された。
日本の八九式重擲弾筒のような、発射時に携帯せず地面に置く小型迫撃砲のような物もあるが、英語版WikipediaなどではLauncherではなくDischargerと訳し、別に分類している。
NATOにおいては、40x46mm弾が標準的な規格となっている。また、これとともに、警察用としては37/38mm弾が世界的に標準となっている。
主な機種
- 単発式
- 十年式擲弾筒(大日本帝国陸軍)※投射弾は曳火手榴弾
- 八九式重擲弾筒(大日本帝国陸軍)※実態は軽迫撃砲
- M79 グレネードランチャー(アメリカ軍)
- H&K HK69(ドイツ連邦軍)
- ブリュッガー&トーメ GL-06(スイス軍)
- GM-94(ロシア軍)
- フェデラル ライオットガン
- チューブ弾倉式(ポンプアクション)
- チャイナレイク グレネードランチャー(アメリカ軍)
- M203 グレネードランチャー(アメリカ軍)
- H&K HK79(ドイツ連邦軍)
- H&K AG36/M320 グレネードランチャー(ドイツ連邦軍)
- GP-25/GP-30(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- wz. 1974 パラド(ポーランド軍)
- CIS 40 GL(シンガポール軍)
- エアバースト式
ライフルグレネード(小銃擲弾)
ライフルグレネード(Rifle grenade, 小銃擲弾)は、小銃が発砲する際に生じる発射ガス、あるいは弾丸そのものを利用して、手榴弾または専用の擲弾を投射するものである。通常、擲弾を小銃の銃口に装着するためには専用のアダプターが必要となり、これが発射機と呼ばれることが多い。
一部のタイプでは銃身の途中から発射ガスを誘導して発射する方式や、銃身の下に装着するものもあり、これは、実包での発射が可能である。どの方式でも発射する物体の重量が大きいことから反動が強く、発射するときは通常の構え方ではなく銃を地面につけて発射する。近代では弾丸トラップ式が主流となり、空包ではなく通常のライフル弾で発射できるようになっている。この方式は銃身に過大な圧力がかからず、反動も小さいため通常の銃の構え方で使用でき、利便性が高い。
種類
ライフルグレネードには三種類のタイプがある。
- スティック型
- 最初に開発されたタイプで、第一次世界大戦で大量に使用された。構造は、手榴弾の尻に銃口に差し込むための棒をつけただけで、空包で発射する。これが拡大発展したものがスピガット型の迫撃砲である。銃身内部の圧力が過大になり、銃身が曲がったり破裂したりする危険性があり、銃を傷めることから、銃身を針金などで巻き締めて補強するなどといった措置がとられた。現代では使用されていない。
- カップ型
- 銃口に取り付けたカップにグレネードを入れて打ち出す方式、第二次世界大戦でも使用されたが、現代では使用されていない。
- ソケット型
- 銃口に薬筒(ソケット)を装着してグレネードをかぶせる方式で、現在のライフルグレネードの主流である。第二次大戦当時の小銃は銃口付近にフロントサイトが配置されているため、かぶせる部分の長さを稼ぐために銃口にソケットを取り付ける必要があった。M1ガーランド用に開発されたM7小銃擲弾発射機が、その代表的な例である。
- 現在、NATOを中心に、フラッシュサプレッサーの外径を22mmとし、これにグレネードランチャーとしての機能を付加することが一般的になっている。このため、現代のアサルトライフルはソケットアダプターが不要であり、また、銃への負荷や反動が軽い弾丸トラップ式の普及もあって、ほぼあらゆるアサルトライフルをグレネードランチャーとして利用できるようになっている。
特徴
グレネードランチャー、特に小銃の銃身下部に装着するアンダーバレル式と比較して、以下の特徴があげられる。
- 弾頭が銃身に覆われないため、弾頭設計の自由度が高い。
- 小銃本体と空包・擲弾以外のものが基本的に必要ないため、全小銃手が使用可能。
- 弾頭の前後長が大きいため、一人あたりの携行可能弾数では専用のグレネード弾に劣る。
- 特にソケット式は、この傾向が顕著である。一例として、ポーランド製GNPO ライフルグレネード(成形炸薬弾、弾頭直径40mm)の全長が274mmであるのに対して、40x46mmグレネードのM433 HEDP弾は、全長102.9mm[1]と半分以下である。
- 水滴や結露が銃身装着部やグレネードの推進薬や発射薬に付着し易いため、熱損失および不完全燃焼により推進力が不足し、飛距離が不安定になり易い。
- 構造上、燃焼ガスの漏洩が起こる。
- 専用アダプターを用いるタイプは、小銃射撃ができなくなるという欠点があり、ごく一部の兵士しか擲弾手を担当しなかった。
- 一度ライフルグレネードを装着してしまったら、発射するか取り外さない限り小銃弾を発砲できない。
主な機種
- 甲号擲弾銃(大日本帝国陸軍:スティック型)
- 九一式擲弾器(大日本帝国陸軍:ソケット型)
- 一〇〇式擲弾器(大日本帝国陸軍:カップ型)
- 二式擲弾器(大日本帝国陸軍:カップ型)
- 三式擲弾器(大日本帝国陸軍:ソケット型)
- リュシェール・モデル 40mm(フランス軍)
- バック RW704(ドイツ国防軍)
- MPiK カップ・グレネードランチャー(国家人民軍(ドイツ民主共和国)
- フランキ AP/AV700(イタリア軍)
- デザメット GNPO(pl:ポーランド軍)
- ツァスタバ M60 ライフルグレネード(セルビア軍)
- 06式小銃てき弾(陸上自衛隊(日本):ソケット型)
- S&W リボルバー・グレネード(アメリカ軍)
- M31 HEAT ライフルグレネード(アメリカ軍)
- ENERGA ライフルグレネード(en:ベルギー軍)
- AC58 ライフルグレネード(フランス軍)
- APAV40 ライフルグレネード(フランス軍)
- SIMON ライフルグレネード(イスラエル国防軍)
自動擲弾発射器
オートマチックグレネードランチャー(Automatic grenade launcher=自動擲弾発射器)は、自動擲弾銃、グレネードマシンガンとも呼ばれる。金属製ベルトリンクで接続された擲弾をガス圧もしくは反動により連射できるようにした物で、外観はほとんど重機関銃と変わらない。アメリカがMk19 グレネードランチャーをベトナム戦争時に試作し、その後本格的に配備された。有効射程は1,500mにもなり、射程でも単位時間あたりの投射重量でも軽迫撃砲を上回り、中迫撃砲にも匹敵する。1980年のアフガニスタン戦争におけるソ連軍の運用法から、「迫撃砲と重機関銃を統合する存在」という認識も生まれている。
主な機種
- M75 グレネードランチャー(アメリカ軍)
- Mk19 自動擲弾銃(アメリカ軍)
- Mk.47(アメリカ軍)
- 96式40mm自動てき弾銃(陸上自衛隊(日本)
- H&K GMW(GMG)(ドイツ連邦軍)
- LAG 40(スペイン軍)
- AGS-17(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- AGS-30(ロシア軍)
- AGS-40(ロシア軍)
- K4 グレネードランチャー(大韓民国国軍)
- デネル Y3(南アフリカ国防軍)
- UAG-40(ウクライナ軍)
対戦車擲弾発射器
擲弾発射器の性格上、運動エネルギー弾ではなく成形炸薬弾などの化学エネルギー弾が使用される。また、装甲貫徹力と命中精度を向上させるため、ロケット推進を導入した対戦車ロケット弾の採用が一般的になっているほか、一部では、発射機に無反動砲の原理を導入している。なお、この種の火器は、威力や標的、発射原理などが通常の対人用擲弾筒と異なることから、グレネードランチャーと呼ばれないことも多い。ロケット推進を利用するものについてはロケットランチャーと呼ばれることもある。
主な機種
- パンツァーファウスト(ドイツ国防軍)
- パンツァーファウスト44(ドイツ連邦軍)
- パンツァーファウスト3(ドイツ連邦軍)
- RPG-2(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-7(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-16(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-18(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-29(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- 試製66mmてき弾銃(陸上自衛隊(日本); 試作のみ)
- PF-89(中国人民解放軍)
脚注
関連項目
擲弾発射器
(グレネード・ランチャー から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/12 16:23 UTC 版)
擲弾発射器(てきだんはっしゃき、英語: Grenade launcher)は、擲弾を発射するための火器[1][2]。通常、口径20mm以上の火器は砲として扱われるが、擲弾発射器は運用上・形態上などの問題から小火器として扱われることが多い[3]。
来歴

擲弾発射器の歴史は、フリントロック式のマスケット銃の時代まで遡る。当時、手榴弾の投擲を担当する兵科として擲弾兵があったが、攻城戦の場合、人力では投擲距離が足りないことが多かったため、専用の発射器 (Hand mortar) が開発された。これは小銃の口径を拡大し、手榴弾を装填できるようにしたもので、小銃弾よりも遥かに重い手榴弾(擲弾)を発射する圧力に耐えられるように、銃身を思い切って短縮するかわりに火砲並みの分厚いものとなった。この極端に短い銃身により初速はかなり遅くなったが、これにより、擲弾は放物線を描いて飛翔することになり、防壁越しの射撃には適することから、一時期ヨーロッパでは多用された。しかし低初速ゆえの命中精度の低さが問題になり、戦闘形態の近代化が進むにつれて使われなくなっていった[4]。
第一次世界大戦で西部戦線が構築されると、敵の塹壕に手榴弾(擲弾)を投射する必要から、再び擲弾発射器が注目されることになった。このときには、フリントロック式発射器と同様の発想で、小銃の銃口部にカップ型の発射機を装備して、ここに手榴弾を入れて空砲で射出するもののほか、手榴弾に丸棒をつけて銃口に差し込んで空砲で射出するものなどが開発された[4]。ただし、特に小銃を使用して投射する小銃擲弾は、大重量の擲弾を射出する必要から、通常よりも薬室圧力が上昇するため反動が激しく、肩付け射撃ができないため射撃精度が低く、また小銃本体の消耗も激しいという問題があり、戦間期には、ドイツ国防軍の5 cm leGrW 36や旧日本陸軍の八九式重擲弾筒、イギリス陸軍のSBML 2インチ迫撃砲のような専用の小型迫撃砲・コマンド迫撃砲が志向されることになった[5][注 1]。なおこの時期、イタリア王国では特殊部隊用のカルカノM1891/28カービンに装着して使用する38mm口径の擲弾発射器であるMod 28「トロンボンチーノ」が開発されており、後のXM148やM79に影響を与えた可能性が指摘されているが、この時点では普及しなかった[7]。
第二次世界大戦では、小銃擲弾や小型迫撃砲のような対人兵器のほか、対戦車兵器としての擲弾発射器も登場した。これは、従来の徹甲弾であれば高初速が必要だったのに対し、モンロー/ノイマン効果を用いた成形炸薬弾の場合、むしろ低初速の対戦車擲弾のほうが適しているためであった。またベトナム戦争では、視界の悪い熱帯雨林での戦闘に対応して、薬莢に薬室をもたせたハイ・ロー・プレッシャー弾を使用することで、個人携行できる擲弾発射器(いわゆる「擲弾銃」)が開発された[3][4]。
擲弾発射器
擲弾発射器の方式には、手動式および自動式の2種類の基本方式がある[3]。軍用としては40mmグレネードが一般的である一方[8]、37/38mmグレネード (37 mm flare) は催涙弾やゴム弾など警察用の低致死性弾薬として広く用いられており、アメリカ合衆国では、連邦火器法 (NFA) による取締から特に除外されている[9]。通常、このような低致死性兵器は個人携行火器として用いられるが、例外的に、軍用車両が自衛用として大口径の煙幕弾(発煙弾)を投射するための擲弾発射器(発煙弾発射機)を搭載する場合がある[10]。
手動式
手動式は、装填・閉鎖・撃発・排莢など一連の動作をすべて手動で行うものであり、更に下記のように分類される[3]。
- 元折れ式(中折式)
- 肩撃ち式を基本とする擲弾専用銃である。特に軍用の場合、手動式単体の擲弾銃の使用は減少し、下記の小銃装着式に移行している[3]。
- 小銃装着式(英語: add-on grenade launcher[2])
- 小銃の銃身下部に固定する方式が多い。弾薬は1発ずつ銃身の後方から装填され、また銃身の後方には撃発機構が付されている[3]。
- 回転弾倉式
- 同一円周上で、等間隔に複数の薬室を有する円柱状の弾倉をもつ方式。1930年代末にはマンビル・ガン (Manville gun) が開発されたものの、多弾数を追求した結果かさばって操作性が悪く、普及しなかったことから[4]、現代では6発装填としたものがほとんどである。なお弾倉の回転は、手動式のほか、ぜんまいばねを利用するものもある[3]。
- 主な機種
-
- 元折れ式
-
- M79 グレネードランチャー(アメリカ軍)
- H&K HK69(ドイツ連邦軍)
- ブリュッガー&トーメ GL-06(スイス軍)
- フェデラル ライオットガン
- 小銃装着式
-
- M203 グレネードランチャー(アメリカ軍)
- H&K HK79(ドイツ連邦軍)
- H&K AG36/M320 グレネードランチャー(ドイツ連邦軍)
- GP-25/GP-30(ソビエト連邦軍、ロシア軍)- 弾薬を銃身の前方から装填する構造を採用している
- SIG GL5040(スイス軍)
- CIS 40 GL(シンガポール軍)
- ベレッタGLX160 (イタリア軍)
- Steyr Mannlicher SL40(オーストラリア軍)
- FN40GL(ベルギー軍)
- チューブ弾倉式(ポンプアクション)
-
- GM-94
- チャイナレイク グレネードランチャー
- その他
-
- アーウェンACE - アーウェン37を単発式にしたモデル。弾薬を挿入し、引き代が長い引き金を操作すると、全装填・発射・排莢までが自動的に行われる。
-
回転弾倉式のダネルMGL
自動式

自動擲弾銃(英語: Automatic grenade launcher)は、連射できる擲弾銃[2]。自動機構としては、ブローバックやガス圧作動方式、反動利用式があるが、構造が単純なブローバック式が多用されている[3]。なおアメリカ軍では重機関銃のカテゴリに含めて扱っている[11]。
なお、半自動式の擲弾発射器をアサルトライフルと一体化したXM29 OICWの開発が試みられたが、実用化には至らなかった[注 2]。
- 主な機種
-
- M75 グレネードランチャー(アメリカ軍)
- Mk19 自動擲弾銃(アメリカ軍)
- Mk.47(アメリカ軍)
- XM25 IAWS(アメリカ軍)
- 96式40mm自動てき弾銃(陸上自衛隊(日本)
- H&K GMW(GMG)(ドイツ連邦軍)
- LAG 40(スペイン軍)
- AGS-17(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- AGS-30(ロシア軍)
- AGS-40(ロシア軍)
- K4 グレネードランチャー(大韓民国国軍)
- デネル Y3(南アフリカ国防軍)
- ダネル ネオパップ PAW-20(南アフリカ)- 専用の20x42mm榴弾を肩撃ち姿勢で発射する
- UAG-40(ウクライナ軍)
- 87式グレネードランチャー(中国人民解放軍)
- 11式グレネードランチャー(中国人民解放軍)
対戦車擲弾発射器

擲弾発射器の性格上、運動エネルギー弾ではなく成形炸薬弾などの化学エネルギー弾が使用される。装甲貫徹力と命中精度を向上させるため、ロケット推進を導入した対戦車ロケット弾の採用が一般的になっているほか、一部では、発射機に無反動砲の原理を導入しており、擲弾発射器というよりは、ロケットランチャーあるいは無反動砲とも考えられる[3]。
- 主な機種
-
- パンツァーファウスト(ドイツ国防軍)
- パンツァーファウスト44(ドイツ連邦軍)
- パンツァーファウスト3(ドイツ連邦軍)
- RPG-2(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-7(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-16(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-18(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-22(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-26(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-27(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-28(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-29(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-30(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- RPG-32(ソビエト連邦軍、ロシア軍)
- 試製66mmてき弾銃(陸上自衛隊(日本); 試作のみ)
- PF-89(中国人民解放軍)
脚注
注釈
出典
- ^ 防衛省 1971, p. 39.
- ^ a b c 防衛省 1992, p. 23.
- ^ a b c d e f g h i 弾道学研究会 2012, pp. 830–836.
- ^ a b c d 床井 2008, pp. 88–93.
- ^ ワールドフォトプレス 1986, pp. 54–62.
- ^ 田村 2021, p. 28.
- ^ Rottman 2017, pp. 6–8.
- ^ 床井 2008, pp. 94–177.
- ^ アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局 (1995). 37/38mm Gas/Flare Guns with Anti-Personnel Ammunition are Defined as NFA Weapons (Report).
- ^ 弾道学研究会 2012, pp. 532–533.
- ^ “MCWP 3-15.1 Machine Guns and Machine Gun Gunnery”. U.S. Marine Corps. 2021年4月24日閲覧。
- ^ “50発射撃すると爆発する韓国のK11複合型小銃、開発の失敗を認め「開発中止」提案”. grandfleet.info (2019年5月29日). 2022年11月25日閲覧。
参考文献
- 防衛省 (1971年). “防衛省規格 弾薬用語” (PDF). 2018年7月8日閲覧。
- 防衛省 (1992年). “防衛省規格 火器用語(小火器)” (PDF). 2018年7月8日閲覧。
- 弾道学研究会 編『火器弾薬技術ハンドブック』防衛技術協会、2012年。 NCID BB10661098。
- 田村尚也『WWII戦術入門』イカロス出版、2021年。 ISBN 978-4802210751。
- 床井雅美『現代サポート・ウェポン図鑑』徳間書店〈徳間文庫〉、2008年。 ISBN 978-4198928360。
- ワールドフォトプレス 編『世界の重火器』光文社〈ミリタリー・イラストレイテッド〉、1986年。 ISBN 978-4334703738。
- Rottman, Gordon L. (2017). U.S. Grenade Launchers: M79, M203, and M320. Osprey Weapon Series. Osprey Publishing. ISBN 978-1472819529
関連項目
グレネード・ランチャー(腰部)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 21:57 UTC 版)
「リ・ガズィ」の記事における「グレネード・ランチャー(腰部)」の解説
腰部サイド・アーマーに2門ずつ装備。通常は発射口が下向きで、飛行時には後方にも攻撃可能で、MS形態の使用時には起き上がり、前方に発射できる。隠し武装として扱われることが多い。劇中ではα・アジールを1発で撃墜する(運良く首元の被弾部に命中した結果だが)など、それなりの破壊力を見せた。
※この「グレネード・ランチャー(腰部)」の解説は、「リ・ガズィ」の解説の一部です。
「グレネード・ランチャー(腰部)」を含む「リ・ガズィ」の記事については、「リ・ガズィ」の概要を参照ください。
- グレネード・ランチャーのページへのリンク