XM29_OICWとは? わかりやすく解説

XM29 OICW

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/20 04:29 UTC 版)

XM29 OICW
XM29 OICW
製造国
設計・製造
仕様
種別
口径
KE
5.56 mm[1]
HE
20 mm[1]
銃身長
KE
254 mm[1]
HE
343 mm[1]
使用弾薬
KE
5.56x45mm NATO弾[1]
HE
20x28 mm[2]
装弾数
KE
30発 箱形弾倉[1]
HE
6発 箱形弾倉[1]
作動方式
KE
ガス圧利用ロータリングボルト
HE
反動利用
全長 864 mm[1]
重量 8170 kg[3][4]
発射速度 750発/分
銃口初速
KE
745 m/秒[1]
HE
230 m/秒[1]
有効射程
HE
1,000 m
歴史
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XM29 OICWは、20 mm榴弾を発射することができる次世代個人携行火器のプロトタイプである。OICW計画の一環として1990年代に開発された。

XM29はhigh explosive (HE) モジュールと呼ばれるセミオートマチック方式の20 mmグレネードランチャー、kinetic energy (KE) モジュールと呼ばれる5.56 mmライフル、Target Acquisition / Fire Control System (TA/FCS) と呼ばれる火器管制装置の3要素からなる[5][6][2]。

従来のアサルトライフルとアドオングレネードランチャーの組み合わせとは異なり、XM29はグレネードランチャーを主武装とする[5]。プログラム可能な信管を持つ榴弾により、曳火射撃や遮蔽物に隠れた目標への攻撃を可能にする[7]。

開発

プロトタイプの変遷

OICWプログラムは、戦闘のストレス下で低下する兵士の射撃技能に対応し命中率の改善を図ることにおいて、1950年代のSALVO計画(英語版)、1960年代のSPIW計画(英語版)、1980年代のAdvanced Combat Rifle(英語版) (ACR) プログラムに続くものである[8][9][5]。1990年に終了したACRプログラムは、その最終報告で、ライフルの性能改善は行き詰まっており榴弾の研究開発に移るべきだとした[8]。

ACRプログラム終了の4年後、1994年にOICWプログラムは開始された[10]。同時期に開始されたランドウォーリア―計画(英語版)では、従来のM16 / M4ライフルに高性能な照準器を組み合わせた結果、重量とコストが嵩んでおり、そこには改善の余地があった[11]。

AAIコーポレーションのプロトタイプ

AAIコーポレーション(英語版)率いるグループとアライアント・テックシステムズ (ATK) 率いるグループが参入し[12][5]、1998年にATKが選定された[2][13]。ATKが開発元請となり、ATKがシステム統合と弾薬・信管、ヘッケラー&コッホが火器、Contraves-Brashear SystemsとOctecが火器管制装置を担当した[14]。

開発の初期段階ではライフル銃とグレネードランチャー同士を横隣に装着するといった、後期型のものとは異なる形態で組み合わされていた。また、別の開発段階での派生型では20 mmグレネードランチャー単体だけで構成されたものや、G36の代わりに同社のMP7を搭載したものが開発されている。

2002年1月に20 mm榴弾の安全性試験が行われ、これを通過した[15]。

最終プロトタイプのXM29 Block3
アライアント・テックシステムズは、XM29は従来型の個人携帯兵器よりも「最大で5倍」高い効果が得られると主張する[3]。しかし、重量、サイズ、20 mm榴弾の威力不足といった問題が足かせとなり、2004年にこの計画は次の3つの計画に分割された[16]。
インクリメント1 - 軽量兵器の開発
ヘッケラー&コッホとアメリカ陸軍による試作アサルトライフルXM8はインクリメント1による成果である[17]。しかし、このXM8計画は2004年にコルト社からトライアルに自社開発製品を参加させるように大きな圧力がかかり一度白紙に戻されることとなった[注釈 1]。そして、米軍から発表された要求諸元は、次の通りである。
要求1
5.56x45mm NATO弾をセミオートマチック、フルオートマチックで発射できる。
要求2
有効射程150 mの近接戦闘火器で小型携帯型。標準火器である有効射程500 mのカービン型、スナイパーライフル型、フルオート射撃が可能であり射程600 mまでの分隊支援火器型。また、それぞれがモジュールの付け替えで改造ができるというものである。
インクリメント2 - 単体兵器としての空中炸裂型グレネードランチャーの開発
インクリメント2の結果としてXM25 25 mmグレネードランチャーが開発された[18]が、2018年に開発が中止された。
インクリメント3 - 再び二つの兵器を合体させる[19]
インクリメント3は、インクリメント1および2が完了していないため、まだ手がつけられていない。

設計

主に、1999年頃のフェーズ4 プロトタイプの情報に基づいて記述する。

XM29の各モジュール
1
2
3
4
6
7
8
9
1
KE射撃モード
2
HE/KE切り替え
3
  • 測距 (*)
  • 信管作動距離調整 (+/-)
4
マガジンキャッチ
6
FCS動作モード
7
信管動作モード
8
TV倍率切替
9
照準点明度切替

KEモジュール

KEモジュールは、H&KのG36ライフルをベースにしている[20]。セミオートと2点制限点射(英語版)に対応する[20]。マガジンは、G36の樹脂製マガジンではなく、M16用のものを使用する[20]。

KEモジュールの操作系は全て左右両方から操作できる[20]。トリガーはHEモジュールと共用で、切換スイッチがある[21]。トリガーガード前方には測距ボタン、榴弾の信管作動距離を調整するボタンがある[21]。

HEモジュール

20mm×28 HEAB
種類 榴弾
原開発国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
製造の歴史
設計者 アライアント・テックシステムズ
特徴
弾丸径 20 mm
薬莢長 28 mm
全長 92 mm
空中で炸裂するHEAB

HEモジュールはHigh Explosive Air Bursting (HEAB) と呼ばれる、時限信管による曳火射撃が可能な20 mm榴弾を使用する、ブルパップレイアウト、反動利用(英語版)によるセミオートマチック方式のグレネードランチャーである[22][5]。

TA/FCSのレンジファインダーによって得られる距離情報、などにより信管の動作を設定する[23]。動作は4種類から選択できる[21][24][6]。何も設定していない信管はPDモードで動作する[25]。ライフリングによって加えられる旋回の回数から飛翔距離を算出する[15]。

Bursting
弾頭が設定した距離で空中爆発する[25][6]。
PD(Point Detonation)
弾頭が標的に接触すると起爆する[25][6]。
PDD (Point Detonation Delay)
弾頭が接触した後、遅延して起爆する[26][6]。薄い壁などを貫通した後に爆発させることができる[26]。
Window
測距したあと、作動距離を射手が調節する[26]。遮蔽物の後ろに隠れた目標を射撃する場合などに用いる[26]。

従来のグレネードランチャーの弾頭が大きな放物線を描いて飛んでいくのに対し、銃弾のように弾道を描く[27]。点目標に対して500 m、面目標に対して1,000 mの有効射程を持つ[15][1]。

HEモジュールのストック内には、BB-2847型バッテリーが納められる[28]。

TA/FCS

照準器の情報表示。拡大表示にて詳細表示あり

HEモジュールの上部に搭載されるTA/FCSは、光学照準器、レーザー距離計、CCDカメラ、赤外線カメラ、電子コンパス、弾道計算などを行うマイクロプロセッサ (モトローラ 68000[29]) が統合されている[22][30]。

TA/FCSのファインダーは「Day」、「TV」、「Nigth」の3つのモードを持つ。

Dayモード
3倍の光学照準器として機能する[28]。
TVモード
CCDカメラの映像に切り替わる[31]。2倍の拡大が可能で、6倍の倍率にできる[31]。TVモードでは、最大4個の目標を認識して強調表示し、認識した目標の移動に追従し、レーザーステアリングにより測距する[32][24]。
Nightモード
CCDカメラと赤外線カメラを組み合わせた映像を提供する[31]。

照準点は赤いドットで示される[28]。レーザー距離計で測定した距離、火器の傾きを考慮した弾道計算によって、随時補正される[31][24]。

TA/FCSのカメラ映像はランドウォーリア―計画(英語版)のHMDと連携させることができる[25][24]。

脚注

注釈

  1. ↑ アメリカ海兵隊、SOCOMなどからの猛反発もあった

出典

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 Bruce 2000, p. 29.
  2. 1 2 3 Bruce 2000, p. 23.
  3. 1 2 “US Army approves revolutionary infantry weapon - Jane's Americas News”. 2006年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年7月27日閲覧。
  4. ↑ 床井 2013, OICW.
  5. 1 2 3 4 5 “No Place to Hide: The OICW Goes To War - Small Arms Review”. 2026年7月27日閲覧。
  6. 1 2 3 4 5 “Advanced Combat Rifle [ACR]”. 2009年1月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年7月27日閲覧。
  7. ↑ Sandra I. Erwin (1998). “Wonder weapon”. Popular Mechanics 175 (9).
  8. 1 2 大塚 2012, pp. 206–209, 221.
  9. ↑ “Perception Meets Reality: The 2009 Enhanced Carbine Program”. 2026年7月27日閲覧。
  10. ↑ 大塚 2012, p. 209, 221.
  11. ↑ Bruce 2000, pp. 22–23.
  12. ↑ “OICW: OBJECTIVE INDIVIDUAL COMBAT WEAPON”. 2026年7月27日閲覧。
  13. ↑ Steven Ashley (1998). “Next-generation rifle”. Mechanical Engineering 120 (11).
  14. ↑ “Objective Individual Combat Weapon (OICW)”. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年7月27日閲覧。
  15. 1 2 3 “XM1018 High Explosive Air Bursting (HEAB)”. 2007年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年7月27日閲覧。
  16. ↑ 大塚 2012, p. 223.
  17. ↑ 大塚 2012, p. 224.
  18. ↑ 大塚 2012, p. 225.
  19. ↑ 大塚 2012, p. 227.
  20. 1 2 3 4 Bruce 2000, p. 24.
  21. 1 2 3 Bruce 2000, p. 22.
  22. 1 2 Bruce 2000.
  23. ↑ Bruce 2000, p. 26-27.
  24. 1 2 3 4 “OICW Fire Control System”. 34th Annual Gun and Ammunitions Symposium and Exhibition (1999年). 2000年8月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年7月27日閲覧。
  25. 1 2 3 4 Bruce 2000, p. 27.
  26. 1 2 3 4 Bruce 2000, p. 28.
  27. ↑ 大塚 2012, p. 222.
  28. 1 2 3 Bruce 2000, p. 25.
  29. ↑ “Army aims for infantry rifle with electronic fire control.”. Military & Aerospace Electronics 9 (5). (1998).
  30. ↑ “XM29 Integrated Air Burst Weapon Objective Individual Combat Weapon (OICW) Increment 3”. 2012年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年7月27日閲覧。
  31. 1 2 3 4 Bruce 2000, p. 26.
  32. ↑ Bruce 2000, p. 23, 27.

参考文献

  • Bruce, Robert「21st Century Super Rifle OICW」『コンバットマガジン』第21巻第4号、ワールドフォトプレス、2000年3月1日、21-29頁、2019年8月18日閲覧。 
  • 大塚, 一軌『銃器大百科』データハウス、2012年。ISBN 9784781700489。 
  • 床井, 雅美『オールカラー最新軍用銃事典』並木書房、2013年。 ISBN 9784890633036。 

関連項目

外部リンク

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