【成形炸薬弾】(せいけいさくやくだん)
High Explosive Anti Tank (HEAT(ヒート)).
戦車の破壊するために設計された弾頭の一種。対戦車榴弾、ホローチャージ弾ともいう。
戦車の滑腔砲に装填される他、対戦車ミサイルやロケット弾に利用される。
滑腔砲では軌道を安定させる翼を取り付けたもの、通称HEAT-FS(Fin Stabilized、翼安定式成形炸薬弾)を用いる事が多い。
弾頭を直列に二つ並べたタンデムHEATも存在する。爆発反応装甲などの対策として用いられるが、重量が増加するため射程は短くなる。
関連:戦車 対戦車砲 粘着榴弾 多目的対戦車榴弾 高速徹甲弾 装弾筒付徹甲弾 モンロー効果 ノイマン効果
原理
弾頭の爆薬は円筒状に成型され、その先端に円錐状の窪みを付けて金属板の円錐(ライナー)を填め込まれている。
この特殊な形状で成型された炸薬は、以下のメカニズムによって装甲車両を貫徹・破壊する。
- 弾頭の先端に設置された接触信管によって起爆。
- モンロー効果によって爆風の圧力が窪みの内側へ集中し、前方へ噴出する。
この際、ユニゴオ弾性限界を超えた圧力で液状化した金属板も同時に噴出し、金属ジェットを形成する。 - 金属ジェットの着弾によって装甲もユニゴオ弾性限界を超えて液状化し、金属ジェットを貫通させる。
この金属ジェットはごく短距離で拡散するため、金網や中空装甲などによって貫通が阻害される。 - 装甲を貫通した場合、その孔を通して爆風と高温ガスが侵入し、中にある機器や乗員を破壊・殺傷する。
車両に対して使用すれば半密閉空間に超高温の爆風が充満する事になり、乗員の生存は絶望的である。 - 砲弾の殻が爆風で破裂、飛散し、周囲に榴弾としての破壊力を発揮する。
飛翔速度に関係なく爆薬のみで破壊力を得るため、歩兵が携行できる大きさであっても戦車を破壊し得る。
一方、弾体が回転していると遠心力によって金属ジェットの形成が阻害されるため、ライフリングされた砲には不向きである。
また、原理上金属ジェットが形成されて初めて威力を発揮するため起爆のタイミングがずれると十分な金属ジェットが得られず、威力が落ちる。
成形炸薬弾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/14 09:26 UTC 版)
成形炸薬弾(せいけいさくやくだん、英語: shaped charge、成型炸薬弾とも表記)は、成形炸薬を用いた砲弾・弾頭である。モンロー/ノイマン効果を利用しており、主に対戦車用砲弾および対戦車ミサイルに用いられる。戦車を標的として開発されたことより対戦車榴弾(HEAT:high-explosive anti-tank)と呼ばれるが、対潜水艦兵器の弾頭としても使用されている[1]。
- ^ 日本で最初に使用されたのは97式魚雷
- ^ この誤解がどこから生じたのかは定かではないが、1974年に発売されたタミヤ模型のプラモデル、「1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.35 ドイツ・37mm対戦車砲」の組立説明書にはこのように解説されており、また、1972年に発行された『第二次世界大戦ブックス〈37〉大砲撃戦―野戦の主役、列強の火砲』(サンケイ新聞社出版局)の文中でも同様の解説がなされている。
- ^ 白木邦明「最先端宇宙デブリ防御技術」『精密工学会誌』第76巻第1号、精密工学会、2010年1月、8-11頁、doi:10.2493/jjspe.76.8。
- ^ 白木邦明、片山雅英、八坂哲雄「成形爆薬による超高速衝突試験と飛翔体形状の影響評価」『日本航空宇宙学会論文集』第49巻第572号、日本航空宇宙学会、2001年、300–309頁、doi:10.2322/jjsass.49.300。
- ^ “<研究紹介>ISASニュース 1998.9 No.210 : スペースデブリ問題”. www.isas.jaxa.jp. 2020年3月10日閲覧。
- 1 成形炸薬弾とは
- 2 成形炸薬弾の概要
- 3 原理
- 4 特徴
- 5 使用法
- 6 実際の兵器
成形炸薬弾(せいけいさくやくだん)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/10 05:23 UTC 版)
「オールド・テロリスト」の記事における「成形炸薬弾(せいけいさくやくだん)」の解説
戦車装甲やコンクリートのトーチカを貫通するために作られた砲弾。
※この「成形炸薬弾(せいけいさくやくだん)」の解説は、「オールド・テロリスト」の解説の一部です。
「成形炸薬弾(せいけいさくやくだん)」を含む「オールド・テロリスト」の記事については、「オールド・テロリスト」の概要を参照ください。
- 成形炸薬弾のページへのリンク