ショートリコイル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/11 22:49 UTC 版)
ショートリコイルとは、弾丸の発射時に発生する反動(作用・反作用)を利用した自動装填式銃器の作動方式(反動利用式、リコイルオペレーション)の一形態である。
- ^ 国立公文書館収蔵資料 (Refcode: A03032065400) である『外国兵器諸元調査表 軽機関銃』(昭和16年6月 陸軍技術本部第一研究所第一課作成)においては、ショート・リコイル方式の日本語での呼称を“銃身後座反動利用”式と記している。
また、この資料ではロング・リコイル方式のショーシャ1915軽機関銃にも同じ呼称が用いられている。 - ^ SIG P220から採用されたエジェクションポート利用の閉鎖方式、グロック17から採用された強化樹脂フレーム等の採用が広まり、ショートリコイル作動方式は製造が容易となってきている。また近年では、従来はブローバック作動方式を採用していた9mmパラベラム弾未満の弾薬を使用する小型自衛用拳銃の分野でも、ショートリコイル方式を採用する事で体感する反動を緩和でき、女性や非力な人でも遊底を引き易くなるといった点がメリットと認識され、同方式が採用される例が増加している。
- ^ 防衛技術協会刊[火器弾薬技術ハンドブック]
- ^ 参照動画
- ^ ショート・リコイル方式の1911系拳銃をガス遅延式ブローバック方式に改造した例 (Product Tests: NCG Gas-delayed Blow-back conversion kit) では、ショート・リコイル方式に用いられている張力の弱いスプリングをそのまま用いると、遊底の後退速度が速くなり過ぎるため、より強力なスプリングに換装している。
- ^ 欧州製の9mmパラベラム弾は一般的に米国産のそれより強装であるため、これを前提に設計されたショートリコイル方式の銃器に米国製の弱装な9mmパラベラム弾を使用すると作動不良を起す事がある。
また、サブマシンガン用の強装弾をショートリコイル方式の拳銃に誤って使用したり、発射薬の量を誤って増やし過ぎたハンドロード弾薬等を使用した結果、遊底の後退速度が速まり銃が破壊されたり、射手が負傷する事故が起きる場合がある。 - ^ ショートリコイル方式の拳銃で高威力の弾薬を使用する試みは、コルト・ガバメントの使用弾薬として採用された.38 Super弾に始まる。
.38スーパー弾より威力の高い.357 Magnum弾以上の弾種を採用した銃では、オートマグ、クーナンモデル357、グリズリー・ウイン・マグ、オートマグⅣ、オートマグⅤ等が登場したが、いずれも短期間で生産中止となった。 また、自動拳銃用に設計され.357マグナム弾よりも高威力な10mm Auto弾がブレン・テンと共に登場するが、10mm Auto弾を採用した他のデルタ・エリート、S&W M1060等とともに、耐久性、安全性等に問題を生じて市場から消えてしまった。その後、10mm Auto弾の弱装弾を基に、10mm Autod弾の薬莢を短縮し低威力とした.40 S&W弾が製造されるようになる。更に.40 S&W弾をネックダウンして小口径化し初速を速めた.357 SIG弾といった弾薬も開発された事で、これらの水準が現在のショートリコイル方式の拳銃で使用しやすい弾の威力の上限として認識されるようになっている。現在、.357マグナム弾以上の威力の弾薬を使用する銃でショートリコイル作動方式を採用したものは、グロック20/29 (10mm Auto)、GIシリーズ(.50 GI弾)等少数となっている。 - ^ ショートリコイル作動方式の火器銃口部にサプレッサーなど大質量の部品を装着した場合、銃身が充分な後退が得られずに作動不良を起す場合があり、これを防ぐためにはマズルブースター (Muzzle booster )の一種等を追加して後退を補助する必要がある。
- ^ 後にフジ精機に社名を変更し、最終的には豊和工業の散弾銃部門となる
- ^ ガス圧利用式散弾銃は多くの場合ゴム製のシーリングでガスの漏れを予防する構造を採る為、初期の物ではシーリングの品質不良や高熱による溶解によって作動不良や故障を起こす事が多かった。
- ^ アメリカ合衆国特許第 4,604,942号
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