大坂五人衆
大坂五人衆
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 09:43 UTC 版)
豊臣秀頼の呼びかけで大坂の陣にて豊臣側に付き、西軍(豊臣軍)として徳川軍を脅かした5人の名高き武将。大坂夏の陣で戦死した後、生前に(家族以外で)初めて奈阿姫(蟲奉行)を守ると宣言したことから常世の蟲に「他の者達とは違う」と感じられ、彼の力で蟲人の体を得て蘇った。以降は蟲人の幹部として100年以上常世の蟲に仕えており、常世の蟲のことを「我が王」、蟲奉行を「姫君」と呼び敬っている。他の蟲人を遥かに上回る常軌を逸した圧倒的な戦闘能力を誇る。 真田 幸村(さなだ ゆきむら) 声 - 諏訪部順一 大坂五人衆の一人。蝶の蟲人。 背に生えた赤黒い翅、鎧のような体躯以外は普通の人間と大差ない容姿をし、逆立った赤髪で左頬には家紋である六文銭の刺青がある。地肌の上に左裾に六文銭が描かれた赤い陣羽織と短い袴を着用している。一度した約束を破り人の道理を簡単に踏みにじる非情さと、自分の命を狙った刺客や人道を踏み外す悪党でも家来として受け入れる懐の深さを併せ持ち、配下である十傑蟲の多くの者からは「お館様」と呼ばれ絶大な忠誠心を抱かれている。洞察力も高く、宗直や大岡の行動の裏にある本当の目的を見抜こうとし、無涯の強さの本質が蟲への憎悪だと気付いている。一人称は「俺」。脱皮後は白くなった翅を除いて人間時代の頃と殆ど変わらない姿となる。 「鉄の鱗粉」を操る能力を持ち、大気に舞った鱗粉を使い衝撃波を生み出すことが出来る。腕を突き出すと同時に山を吹き飛ばす、見えない壁のようにして相手の攻撃を防ぐなど攻防一体の力を持つが、鱗粉には限りがあり強力な攻撃を受け続けると鱗粉自体が吹き飛ばされてしまい、本体を晒してしまう弱点がある。剣術に関しても仁兵衛に「美しい」と称されるほどの太刀筋を誇り、源十郎からは「引くことを知らず、情け容赦ない非情さを持つ『王道』の剣」と評されている。 元は人間であった頃から仁兵衛同様「日の本一の武士」になることを夢とするがそれは「時代の導き手」とし、織田信長や豊臣秀吉以上に物事の道理を一変させたいと考えている。100年前の大坂の陣で秀頼に忠誠を誓い、敵大将の首に惜しくも届かず夢半ばにして一度戦死するが常世の蟲の力で蟲人として生まれ変わり、同時に蟲の身ならば時代にどれほどの変化を起こせるかを楽しむようになる。自分達を生き返らせた恩義から常世の蟲に高い忠誠心を持つ一方で、生前に自分達を敗北に追い込んだ徳川勢には強い憎しみを抱いている。 八丈島の戦いを猿飛と共に監視していた。十傑蟲と巨大蟲の大群を率いて紀州藩への侵攻を始め、数多くの民を虐殺。そして藩主・徳川宗直へ常世の蟲の復活の暁に蟲奉行を迎えるための大型船「黒蝶丸」の建造を要求する。松坂和歌山城の戦いでは、脱皮による圧倒的な力で無涯と覚醒した仁兵衛を下し追いつめるも、「黒揚羽」としての力を取り戻した蟲奉行と交戦し、激昂した彼女の全力の一撃「滅ノ理」を受け敗北する。しかし戦闘不能となりながらも生き永らえており、常世の蟲と共に大坂へ帰って行った。 大坂城に戻った後は傷を治し、蟲奉行に対して敬意を払いながらも警戒心を持っている様子。後に蟲奉行の人間への未練を断ち切るため常世の蟲に江戸と蟲奉行所へ攻め入ることを進言、総大将として約6万の蟲人軍を率いて江戸北西部から江戸に進軍する。当初は無涯と再戦し、自分の本隊が囮であることを明かした上で彼の蟲への憎悪による集中力を利用してこの戦場に釘付けにしようとしたが失敗。無涯が江戸西部に向かった後は与力達を圧倒し徳川軍を全滅寸前まで追い込むが、修行を終え駆け付けた仁兵衛と再び対峙。仁兵衛の暴走した「天羽々斬剣」が1万の蟲人を倒したのを見て「いずれあの力を操れば常世の蟲の脅威になりえる」と危険視し、残る1万8千の蟲人に早急に仁兵衛を討ち取るよう命じる。自分の相手を買って出た源十郎に「黒鱗天具」を発動して互角に近い凄まじい死闘を繰り広げ、鎌之介と十蔵が仁兵衛に倒されたことに怒り力を使い果たした彼を襲うが、源十郎に阻まれた挙句父を斬られたことに激昂・覚醒した仁兵衛に右腕を斬り落とされる。自分と同じ夢を持ち、重傷を負ってなお立ち上がった源十郎の実力を高く評価しながらも、左足の傷で自分の動きに対応できない彼を「人を守るという理由で傷つき弱くなった」と下し追い詰めるが、自身の間合と呼吸を読み切った源十郎の「富嶽泰山斬り」で体を一刀両断され敗れた。敗北後、無涯が自分の前から離れたことで今後の戦況に影響するという予感が当たり、彼や仁兵衛といった誤算や自分より強い源十郎がいたことを敗因としたが、彼に実力を称賛された際に自分が日の本一を目指した理由が誰よりも勝利を味わい、それを十傑蟲と共に喜び合いたかったことに気付く。最期は源十郎にとっての「日の本一の武士」が何かを問い、それが「死ぬまで勝ち続ける武士」だと知って自分の夢は100年前に死んだ時に既に終わっていたと悟り、彼を「日の本一」と認めて消滅した。 アニメ版では、蟲奉行が常世の井戸に入り力を取り戻したのに関わらず、「黒揚羽」とならなかったことに驚愕した。自身は井戸自体には入らず井戸から溢れ出る瘴気を吸うことで脱皮をして更に強くなり、市中組全員を圧倒する。しかし彼らの奮戦と仁兵衛の粘り強さに段々と押され始め、最終的に仁兵衛の「富嶽隕石落とし」により敗北し灰となり消滅した。 技 黒丸(こくがん) 脱皮後に使用可能な技。翅の「鉄の鱗粉」を圧縮して作った無数の黒い球体。刃・棘・六角形の盾などに形状を自在に変化させ、自分の意思に関係なく相手を攻撃する。覚醒した仁兵衛を押し返す力と追いつくほどの速さを持つ。黒鱗刀(こくりんとう)「正宗(まさむね)」 「黒丸」を一つにして一本の黒い刀を作り出し、それを持って攻撃する。無涯の「塵外刀」を破壊し、彼や覚醒した仁兵衛を斬り伏せる程の切れ味。絶無(ぜつむ) 「鉄の鱗粉」を放出した「正宗」を振り下ろして繰り出す一撃。「黒鱗天具」の状態でも使用できる。 大黒丸(だいこくがん) 一個の大きな隕石のような「黒丸」を作り出し、相手に発射する。 最終奥義「黒鱗天具(こくりんてんぐ)」 真田の最終形態。自由自在に動く「鉄の鱗粉」を全身に纏い、それをウェットスーツのような黒い甲冑の形にして自身を強化する。胸には六文銭、兜には鹿を思わせる一本の角飾りがあり、背中の翅は小さく折り畳んでいる。掌から「正宗」の刀身を出すことが出来、源十郎の「富嶽山嵐」でも吹き飛ばないほどの重量を誇りながら、目で視認しきれない速さと源十郎との剣戟でも傷一つ付かない頑丈さを併せ持つ。また、使いこなせば体の各部を切り離されてもその部分を覆っていた鱗粉で腕などを作って補い、纏った己自身をもどこまでも素早く力強く操り、翅を広げずとも空を飛ぶことも可能になる。 毛利 勝永(もうり かつなが) 大坂五人衆の一人。ノコギリクワガタの蟲人。 武・知・指揮に長け、100年前の大阪で真田に勝るとも劣らぬ活躍を果たした大豪傑。後ろにまとめた水色の長髪と公家眉、菱形の瞳孔が特徴で、額から生えた一本角以外は殆ど人間と変わりない姿をしている。丁寧な口調で話し、飄々とした掴みどころのない性格。放浪癖があり、長宗我部からは「風来坊」と称されている一方で、周囲の者達を戦慄させるほどの威圧感を持ち、「役者が違う」と一目置かれている。酒好きだが下戸であり、酌み交わす相手は親友の真田しかいないという。仲間を殺された者を悲しませないために後を追わせるようにして殺したり、本気で自分を襲おうとした山賊達を苦しませず速やかに殺害しそれらを「愛」と称すなど、かつての春菊に似た考えの持ち主。 背中に長刀、腰に太刀と脇差を差している。春菊と同じく「思想(おもい)」であらゆるものを斬り裂く意志の剣を操り、彼よりも想いの使い方に長けている模様。その太刀筋は2枚の笹の葉で仁兵衛達の攻撃を受け止め、大量の竹やぶや遥か遠くの江戸城の天守にある鯱を一刀両断するほど。本気で戦う時は腰の両側から二つの大きなクワガタの鋏を出し、毛利が振るうことで全てを斬り裂く刃と化して刀と合わせた三方向からの同時攻撃が出来るが、本人は武士として陳腐なのであまり使いたがらず、肉体そのものも後藤ほど頑丈ではないという。 蟲人となる前は朝鮮出兵や伏見城の戦いで武功を上げることができたが、それと引き換えに多くの家臣を失い、その度に大事な者の尊さや愛を知って自らの剣は鋭くなった。最終的に自分一人だけが生き残った時に全てを斬り裂くまでに昇華するが、守りたい者が既にいない「過去の剣」だとしてその意味を見出せなかった。 幕府が初めて遭遇した蟲人。3年前の大坂遠征において単体で小鳥を除く幕府軍を壊滅させた。この時は背中に翅を生やし、兜のような長い角や細長い手足、菱形の頭部や目など蟲の形態を色濃く残した姿をしており、現在の姿は常世の蟲が力を取り戻した恩恵であるという。 大坂遠征で生き残った小鳥に「常世の蟲が力を取り戻すには5年以上かかり、蟲人の出現もずっと先になる」と言っていたが、それらが思ったよりも早かったことを謝罪するために江戸に訪れる。そこで仁兵衛達と出会い一度は春菊と意気投合するものの、自身の正体を明かして「常世の巫女」の力を覚醒させた仁兵衛や天間、自分と同じ剣を持つ春菊を圧倒し駆けつけた小鳥と渡り合うが、彼の腕が故障しているのを理由に戦いを中断し、大阪に帰って行った。 大阪城では、大阪冬の陣で作られた真田丸を模した砦において真田の代わりを務める形で先に来ていた仁兵衛達を迎え撃つ。再びその斬撃で追い詰めるが、自分の剣を受け止めるまで強くなった春菊によって撤退を許す。その後日、左右から攻めてきた天間と壱与を迎撃するが、正面突破しに来た仁兵衛達に気を取られている間に天間の「大横綱Ver.」で飛んできた小鳥と対峙する。彼の天才的な実力の前に自らの能力を発揮して追い詰めるが、常世の蟲の異変を感じ「時間稼ぎ」で自分の負けを認めて再び勝負を中断し城に戻った。そこで常世の蟲の力が鳰に奪われたことを知り、それを承知した上で天守閣最上階にて春菊と戦う。彼の怒りを煽って剣にある「想い」の根源やその先にある自分達の剣の意味と未来を知ろうとするも、自分への怒りと殺意だけで「未来どころか現在すら見ていないがらんどうの剣」と失望しそのまま止めを刺そうとするが、仁兵衛の呼びかけでそれまでとは「違う想い」を込めた一撃で天守閣の屋根とその上の巨大な繭ごと半身を両断され敗北した。その後の仁兵衛と春菊の対話を見て春菊が命を懸けて守るべき者達に巡り合っていたことに彼自身が今際の際まで気付いていなかったことを知り、自分の剣の糧となった仲間の命が決して無駄ではなかったことを思いながら「人として生き続けていたなら仁兵衛のような存在に出会えたのかもしれない」と言い残して消滅した。 技 心剣(しんけん) 刀を振るい、思想を乗せた巨大かつ強力な斬撃を飛ばす。遠距離にまで届くほどの射程距離と山頂をも切断する威力を持つが、大振りなため素早い相手には当てづらい。心剣「貫(つらぬきとおす)」 突きの要領で繰り出す「心剣」。命中精度と貫通力に優れており、障害物の隙間を縫って飛ばし、仁兵衛の「天羽々斬剣」や壱与の「術力砲」を貫くほど。 心剣「四面斬(しめんきりさく)」 腰から出した二つのクワガタの鋏を触手のようなもので伸ばし、相手を囲むように斬撃を繰り出す。 長宗我部 盛親(ちょうそかべ もりちか) 大坂五人衆の一人。寄生虫の蟲人。 伸び放題の緑髪で歯が鋭く、着物の上に丈の長い緑色の羽織を着ている。本人曰く「勤勉」で常に慇懃丁重な口調だが、不気味な雰囲気を漂わせている。非常に残忍な性格をしており、自分を屈辱させた相手は執拗に追い詰めて泣いて死を懇願するほどの苦しみと恥辱を与えた上で殺そうとする。一方で室鳩巣に(自分を引きつけるための策略とはいえ)大坂夏の陣において松平忠直や藤堂高虎を撃退したかつての自分の戦績を称えられた際に上機嫌になるなどおだてに弱い一面もある。五人衆の中でも蟲奉行への忠誠心が高く、彼女に手を出そうとした蓋骨には殺意を露わにしている。英単語交じりに喋る癖があり、「この長宗我部盛親」という言い回しを使う。笑い方は「キ(ク)ヒヒヒヒ」。 自身の体は無数の小さな寄生虫が纏わって集合・構成されており、その形態を自在に変化・巨大化させることができ、体全体を攻撃しなければダメージを与えられない。寄生虫の一部を人間・蟲人問わず他の生物の体内に侵入して視床下部を傷付け、その神経に成り替わせることで脳に寄生させ僕としてその者が死ぬまで肉体を酷使し自由に操る能力を持つ他、その生物の栄養源を吸収することで自分自身を繁殖させて体を大きくし、何体もの分身を作ることも可能。蜜月の不快で汚い音がする「蟲笛」の音色が苦手で、聞くと自らの分離が制限される。 100年前の大坂冬の陣前夜で敗戦濃厚な戦の前に戦場に赴くことを恐れ怯えていたが、当時の奈阿姫に励まされ彼女を守るために戦い死ぬことを決意する。しかし、結局は己の命惜しさに死体の山に紛れて逃げ出して敵兵に捕まり、絶命する時まで奈阿姫を見捨て逃げ出したことの言い訳をし続けた。 常世の蟲から大坂城の外で蟲奉行のための「催し」の準備を任されており、後藤の手も借りながら桜が咲き乱れる桃源郷のような大阪を作っていた。江戸冬の陣では、蟲人軍の大将及び伏兵として江戸東部から2万の蟲人を率いて手薄になった江戸本体を狙う。その途中で「人は城、人は石垣、人は堀」に従ってお春をはじめとする町人が避難している永代寺に向かい、そこで義怜達や室の策に翻弄されながらも自身の能力とそれで操った蟲人や町人達で追い詰めるが、修行を終えた仁兵衛達と戦い「常世の巫女」の力を覚醒させた仁兵衛の一撃を受け倒される。しかし、己の大半の寄生虫を失いながらも操った蟲人や町人の栄養を吸収・繁殖することで生存し、江戸城門前の大手門橋で火鉢達と戦い同時に後藤とも合流する。そのまま城門を破り江戸城を落とそうとするが、雛姫の式神「蜚廉」に動きを封じられ蟲狩の同時攻撃を受ける。江戸北西部から流れてきた真田の「鉄の鱗粉」を見て彼と自分達の敗北を悟り後藤に退却を促すが、戦いに興奮した彼に握りつぶされる。だが、江戸城近辺の川に潜ませていた大量の寄生虫で復活し、まだ全力で戦ったわけではないことを示唆しながら大阪に帰って行った。 大阪城では、常世の蟲の力が鳰に奪われたことで自らの命も彼に握られて従わざるを得なくなり、常世の蟲の抹殺を命じられて蜜月・一信・千代丸と対峙しあっさり倒された。しかし、実際は自らの1%分の寄生虫による分身を蜜月達と戦わせていただけで自らは鳰に反旗を翻し、蟲奉行を今度こそ守るために蓋骨と対峙する。傷つけられれば毒液を噴き出す蓋骨の前に脳への寄生もできない相性の悪さから蟲奉行を連れて大阪城からの脱出を試みるが、蓋骨の「怨嗟ノ血潮十字割腹」から蟲奉行を守り抜くため大阪城に潜ませていた10兆635匹もの寄生虫による巨大な防壁や常世の蟲が創った人間達の犠牲を払い、自らも弱体化しながらも何とか蟲奉行を守りきった。その後の無涯・有虚と鳰の戦いで鳰の翅の衝撃波から蟲奉行を庇い、最後まで彼女の幸せを願いながら消滅した。 技 群遊(スウォーミング) 自身の体の寄生虫の形態を変化させて操る。巨大な黒い波にして大勢の人間を飲み込む、多数の棘状にして相手を突き刺す、切り離された寄生虫で敵を遠くに運び出すといったことが可能。 集合(アグリゲーション) 自身の体の寄生虫を腕に集めて巨大な塊にし、相手に殴りかかる。その大きさを活かして相手の攻撃の防御にも使える他、巨大化状態では大阪城の外壁を吹き飛ばすほどの威力を持つ。 後藤 又兵衛(ごとう またべえ) 大阪五人衆の一人。クマムシの蟲人。 顔全体を覆うような特徴的な顎髭を生やし、並外れた巨躯を誇る巨漢。顔には4本の稲妻のような黄色い触角、肩には6本の黒い触角を生やし、橙色の鎧を身に纏っている。大阪五人衆以外でも黒田二十四騎・黒田八虎と戦国の世で数多の称号の中に名を残した。必要以上のことは喋らないほど寡黙で、険しい眼光を持ちながらも礼節を重んじる人物(蟲奉行曰く「素直」)だが、本質的には極めて好戦的で内心は強い猛者との戦いを求めて常に激昂しており、戦いで一度気持ちが昂ると壮絶な笑みを浮かべ周りが見えなくなる癖がある。一人称は「己(おれ)」。武将としての指導力も高く、思慮の無い蟲人達に武器・銃器の扱いを教え、兵士として教育することで戦力を強化している。 天下三名槍の一つである巨大な槍「日本号(にほんごう)」を武器に用い、一度振っただけでも複数軒の屋敷を同時に薙ぎ払い、無涯が操る「黒丸」を簡単に切り裂いたり銃弾をも弾き防ぐ「風壁」を穿つほどの槍術の使い手で、「摩利支天の再来」「槍の又兵衛」とも呼ばれる。クマムシの適応能力により戦いの多い武士の時代に耐えるため、「蟲人一堅い」と称されるほど蟲人の中でも極めて高い防御力を誇る頑丈な体を持ち、どんなに攻められても前進を止めない。仮に傷を負ったとしても能力を解放することで一瞬で塞いで完治し、腕力は10倍、身体の硬度は20倍にまで跳ね上がり、どんな種類の攻撃にも耐えられる存在となる。 大阪夏の陣では、慶長20年5月6日に濃霧ゆえに真田達と合流できず2800の兵と共に3万の徳川兵相手に孤軍奮闘し、最も血湧き肉躍る戦いを経験したが、武士の本懐として自分よりさらに強い相手と戦うために蟲人になった。 江戸冬の陣では、蟲人軍の大将及び伏兵として江戸西部から2万の蟲人を率いて手薄になった江戸本体を狙う。江戸城への進軍中に異変を察知し駆け付けた無涯と戦い、兵士に育て上げた蟲人と自身の防御力で圧倒する。足止めに焦れて「蟲雷火天砲」で直接江戸城を狙おうとするが、蟲狩の加勢で自軍の蟲人を全滅させられながらも進軍を止めず、江戸城門前で長宗我部と合流する。そのまま城門を破り江戸城を落とそうとするが、雛姫の式神「蜚廉」に動きを封じられ市中組の同時攻撃を受けて後ろに押し戻される。それでも相手の強さに興奮して戦いを続けようとするが、真田の敗北を悟った長宗我部と蝉風に退却を促され、大人しく大阪に帰って行った。 大阪城では、毛利の指示を受け地下土台にある抜け道で完全武装した蟲人と共に市中組を待ち構えていたが、来たのが同じ蟲人のゆずだったため呆然のまま素通りさせた。その後、地上に躍り出て大阪城外で黒い蟲と戦う天間と壱与の前に現れ、2人の攻撃をものともせずに追い詰めるが、天間の「全力投擲」で投げられた壱与の「オプティカルラインランス・デトネーター」を腹部に受け重傷を負う。それすらも自分の能力を解放して完治し2人を窮地に追い込むが、駆け付けた無涯の新たに鍛え直された「塵外刀」の前に「日本号」ごと全身を斬り刻まれ敗北。死してなお強い者と戦えたことに常世の蟲への感謝を抱きながら武士として自分を倒した無涯の名を聞き、彼の実力を「天晴れ」と称賛して消滅した。 後藤が教育した蟲人軍が使用した武器 蟲槍(ムシやり) 後藤の蟲人軍が主に扱う2本の触角が生えた槍。 蟲雷火砲(ムシらいかほう) 後藤の蟲人軍が主に扱う2枚の翅が生えた銃。 蟲雷火天砲(ムシらいかてんほう) 一丈(約3m)以上の砲弾を撃ち出せる巨大な4門の大砲。江戸冬の陣で使用したが、末那蚕・至胴・蒼願に破壊された。 明石 全登(あかし たけのり) 大阪五人衆の一人。ハナカマキリの蟲人。 オールバックにした長い黒髪で両目の下に泣きボクロがある女性の姿をしているが、性別は男性。縦縞模様の紫色の服と3つの玉が連なった耳飾りを身につけている。蟲人となる以前から神への信仰を全てとする切支丹であり、主君だった宇喜多直家や黒田長政の元で神に祈りを捧げ、大阪の陣では幕府の出した禁教令に反抗するため十字架を掲げて命を懸け徳川軍と戦った。洗礼名はジュストで、毛利からはこちらの名で呼ばれている。一人称は「拙者」。常に一人で物思いにふけり、自分の目的のためならば人だろうと蟲人だろうと殺害する危険人物で、同じ蟲人のゆずからもその行動理念や意味を理解されておらず「謎」と称されて恐れられている。 長短二刀による刺突用の西洋刀レイピアを背中に十字状に差しており、それを用いた速く鋭い突きを得意とする。周囲の風景と同化する擬態能力を持ち、自身を消えたように見せかけて接近したり姿を隠して攻撃を避けるだけでなく、相手を観察することでその者の容姿や見たことのないはずの剣術と技、筋力などの身体能力すらも真似することができる。普段の女性の姿も擬態による偽装であり、蟲人になった自分が神の前で昔の姿でいることに耐えられないため、生前より一番遠い姿になっているという。強い衝撃を受けると擬態は解除される模様。 蟲人として生まれ変わった後、常世の蟲という自分が信じる神とは違う神の御心によって生かされていることに強い罪悪感を感じ、「人にとっての神とは何か」「常世の蟲が本当に神なのか」と疑問を抱くようになる。以降、その問いに答えられるほどの「強きモノ」を求め、それ以外の「弱きモノ」を人・蟲人問わず殺し続けていた。 飯田藩で大阪へ向かう市中組を襲撃し、川に流れて三組に分かれた中で一番下流に流れた仁兵衛達を追撃する。仁兵衛の技と能力を真似て圧倒するが、「常世の巫女」の力を覚醒させた彼に反撃された際に仁兵衛を自分が求めていた「強きモノ」と見定め前述の問いを投げかけるも、「大阪城で常世の蟲が何かの答えを見つける」と返答してきた仁兵衛に問いに答えるまでの同行を申し立て、それまで人を殺さないことを条件に出される。大阪城では、仁兵衛が鳰と対峙した際に出した「神を助ける」という答えに対し、飢えと戦と不条理に人々が苦しむ戦国の世において神に祈ることで救われ助けてきた「信仰心」を思い出し、問いに答えてくれた恩に報いるため重傷を負った仁兵衛と入れ替わり彼に鳰の時間と技、攻撃を観察させるために仁兵衛に擬態して戦っていたが、鳰の至近距離まで近づいた際に右腕を捻じ切られる。重傷を負い命を握られてなお鳰に「神の名を騙り利用した誰にも求められない偽物の貴様では、光のような強きモノである仁兵衛に勝てない」と断言し、最後は鳰の翅で真っ二つにされる瞬間に鳰自身に擬態して仁兵衛に倒される未来を暗示しながら消滅した。 技 敵擬態(てきぎたい) 観察した相手の姿・技・身体能力を擬態で真似する。相手を上回る身体能力に擬態することも可能だが、傷や姿の再現には限度がある模様。富嶽巌砕突き(ふがくがんさいづき) 仁兵衛に擬態した際に使用した技。彼を凌ぐ筋力で一度は打ち勝ったものの、「常世の巫女」の力を覚醒した仁兵衛にはあっさり破られた。 富嶽鉄槌割り(ふがくてっついわり)
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