グレート・バリア・リーフ 人間の利用

グレート・バリア・リーフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/08 08:13 UTC 版)

人間の利用

グレート・バリア・リーフを古くから知っていたアボリジニやトレス海峡諸島民は、長く利用してきた。アボリジニはこの地域に約4万年前から[79]、トレス海峡諸島民は約1万年前からこの地域に居住し[80]、70程の部族を形成した彼らにとってリーフは文化を特徴づけるものとなっていた[81]

1768年、ルイ・アントワーヌ・ド・ブーガンヴィルは探検の最中にグレート・バリア・リーフを発見したが、特にフランスの領有を主張することは無かった[82]。1770年6月11日、艦長・ジェームズ・クック率いるエンデバー号がリーフで座礁する事件を起こした。船は大損害を被ったが、満ち潮に合わせて引き揚げに成功し、最終的に脱出した[83]。リーフで起こった最も有名な海難事故のひとつに、1791年8月29日のパンドラ (帆走フリゲート)難破沈没があり、この時は35人が犠牲となった。1983年以来、パンドラはクイーンズランド博物館英語版で展示されている[84]。グレート・バリア・リーフには環礁が全く無かったため、その全貌は19世紀までほとんど知られていなかった[31]。この期間、いくつかの島でグアノの堆積物の採掘が行われ、レイン島英語版のように[85]作業を行うための標識として灯台が建設された[86]。初期の暗礁研究は、1922年のグレート・バリア・リーフ委員会によって開始された[4][87]

サンゴに貼り付いたアオヒトデ英語版。観光では、時に美しい自然に触れる機会を得られる。

管理

王立委員会がリーフでの石油採掘を禁じ、1975年にオーストラリア政府英語版はグレート・バリア・リーフ海洋公園を定めて各種の経済活動を制限した[88]が、それは全地域を包括してはいない[15]。公園はクイーンズランド州政府英語版との協力の下、公園管理局が継続的に保てる節度を持った利用を保証する。そのために、ゾーニング[要曖昧さ回避][4]、管理計画、認可、教育、エコツーリズム証明などの奨励を組み合わせて、サンゴ礁の維持管理に努めている[53][89]

1999年にオーストラリア議会は、国家の自然環境保護に関する法律を改訂し、地域の生物多様性を優先するガイダンスを規定するように定めた「環境保護を生物多様性の保全に関する条例」を通過させた。この条例の施行は、海洋の生物学的地域計画実施に繋がった。この計画では、海洋環境においておのおのの種が全体の生態系の中でどのような相互作用をもたらすかを検討することによって、海生生物の多様性を保存することが目的とされた。この過程には2つの段階があり、第一段階では(現在では)5箇所のそれぞれ独立した海洋地域で保護する優先順位を見極める事であり、次の段階ではオーストラリア国家が指定する海洋保護地域体系 (National Representative System of Marine Protected Areas, NRSMPA) に加える適用海域(保護地区や海洋公園)を明確化する事である。陸上の保護地区同様に、海洋地区でも生物多様性が何世代にわたって保護されている状態をつくりだす。海洋保護区は、オーストラリア・ニュージーランド環境保全評議会によって作成された「国家による海洋保護地域体系創設のためのガイドライン」(いわゆる「ザ・ガイドライン」)に書かれた基準を元に設定される。このガイドラインは、「連邦水域の海洋保護区に対する国家的地域体系の設立に関する目標と原則」に要約され、オーストラリアの国策として地方にまで認識され、実行される。これらの政策が適切に実行される中で、海洋保護区はそれぞれの情報が慎重に評価され、NRSMPAに加えられる。これらの優先順位は人間や環境が与える脅威の度合いを基本に設けられ、海洋の地域生態系計画がこの優先順位に基づいて策定される。異なる領域の優先順位設定には3つの方法が用いられ、先ず最初に地域生態系の概略が作成される。次に地域生態系計画が立案され、三番目にこれが纏められる。これらの計画は纏められた後でも、他の地域に脅威となるような影響を与えるような場合には、制限が加えられることがある。[90]

ケアンズ・セクションのエイジンコート・リーフ

2001年、GBRMPAはグレート・バリア・リーフにおける水質悪化に関する報告書を発表し、この問題の重要性を解説した。この報告では、リーフの水質改善に向けてオーストラリア国政府とクイーンズランド州政府が共同して主導性を発揮する点に重きを置いている。2003年には国と州は流入する水の質向上に着手した。過去150年間、開発による水質悪化はサンゴ白化現象や藻類の異常繁殖および農業汚染の原因となってきた。これらが、気候変動に抵抗するサンゴ礁の活力を削いでいた。以前からの法律・法令65項目を組み込んだ計画は2003年10月に実行に移され、当面の目標は2013年までに水質悪化を食い止めて向上に転じさせることに向けられた。これにより2020年までに水質改善を成し遂げ、リーフの健全な状態へ及ぼす悪影響を除くことを目指す。これらは、流入する水質汚濁物そのものの減少と、きれいな水が流入することで暗礁内の自然な浄化作用を復元させ維持する効果を期待している。[91]

上で挙げた目的達成のため、この計画では汚濁物発生源を単独の場所に求めず、面的な対策に焦点を絞った。特に、農業で使用される肥料・殺虫剤および発生する流送土砂を重視し、都市から生じる面的な発生源は別の法律で制御した。この計画は2009年に更新された際、それまでの対策が正しい方向に進んでいると評価した。更新後の計画では「効果の優先順位を重視し、産業界や共同体と連携し、新しい政策と規定の枠組み(リーフプラン5)を具体化する」という試みを明記した。ここでは、達成状況の評価、新しい目標設定、責任の明確化、監視と査定方法の改良が行われた。これによって、改訂時点で65の目標のうち41が達成され、18の進展が途上にあり、6は不充分な進捗状態にあると判断された。2003年改訂のポイントは、リーフ・クオリティ・パートナーシップ (Reef Quality Partnership) の創設であり、目標設定と進捗管理を行って土地所有者が行った改善に応じた賃貸拡充など報酬を得られるようにすることを定めた。ウオーター・クオリティ・インプルーブメント・プラン (Water Quality Improvement Plans) では、地域の目標設定を行い、必要な管理体制の改革を明瞭にした。ニュートリエント・マネジメント・ゾーン (Nutrient Management Zones) の設定では堆積物の除去を推奨する地区を設け、収穫と持続的農業を助成する教育プログラムや土地管理手法の改革などはファーム・マネジメント・システム (Farm Management Systems) と実務に関する規約を通じて実行する。クイーンズランド・ウエットランド・プログラム (Queensland Wetland program) や他の研究成果は既にサンゴ礁に流れ込む水の質を向上させる成果に結びついている。[91]

また、それぞれの計画が水質にどのような影響を与えているかを評価する科学者の特別委員会も設置された。彼らは、それぞれの計画は目標に達しているが、気候変動に対するグレート・バリア・リーフの回復力向上に水質改善の効果が及ぼしたという証拠の確認は不充分だという見解を示した。2008年のリーフォーカス・サミットでも詳細な報告がなされ、同じ結論に達した。これを受けて、国や州を含む複数の団体にわたる利害関係者による検討会が設置され、目標や達成点の更新が行われた。更新計画では、分野と活動内容に対する重点戦略が組まれ、2013年の達成を目指した。また、目標達成の評価を行うため、定量的な数値が設定された。例を挙げると、沈殿物中の窒素リンを2013年段階で50%まで、2020年段階で20%まで削減することが盛り込まれた。また、計画には土地所有者が習得すべき牧草、土、肥料および化学物質を管理する技能の段階を概略で定めた。さらに、水質改善に寄与する土地利用法の枠組み構築を助ける概略計画を実行する取り組みのいくつかに対する援助が含められた。これらの手段で、国と州は2013年までに水質向上を期待している。そして2013年の報告には、未来に向けたさらなる水質と野生生物の生育環境向上を実現するために何を為すべきかが盛り込まれることになる。[91]

2004年7月、海洋公園内に新しいゾーニング計画が実施され、これは海洋生態系保護の新しい世界的な標準となるものと評価された[92]。このゾーニングはMARXANソフトウェアを使用して策定された系統的保存計画手法で設けられた[93]。これによって変更された、特に重要な保護区域が占める面積は4.5%から33.3%まで大きく増やされ[94]、当時としては世界最大の海洋保護区英語版となった。ただし、2006年にこれを上回る規模のパパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメントが設定された[95]

2006年に報告されたレビュー「1975年のグレート・バリア・リーフ海洋公園条例」では、ゾーニングは今後2013年までは手をつけるべきではなく、サンゴ礁の健全性・管理状況および環境の圧力について調査し、5年毎に査読を受ける報告書が纏められ発行されることを提言した[7][96]。査定では、証拠をより明白にするための評価基準が準備されており、これによって判断され点数が与えられる。報告書はそれぞれこの評価と採点を経て、過去に遡った過程を追跡することができる。[97]

観光

Giant Clam on the Great Barrier Reef
グレート・バリア・リーフでオオシャコガイ英語版を見物するダイバーたち。

類稀な生物多様性を持つ上に、暖かくライブアボード英語版等を用いた利便性が高い海域でもあるため、グレート・バリア・リーフは非常に人気がある観光地であり、特にスクーバダイビングは好まれる。観光拠点は、それぞれにプランを提供する[98]便利なウィットサンデーやケアンズになり、この地域は海洋公園の7%に相当する[53]。クイーンズランド州沿岸では日帰りのボートツアーを企画する都市も多い。また、リゾートを提供する場所は、初期に開かれたレディーエリオット島など27の島(1996年現在)や沿岸がある[53]

国内旅行では1996年の時点でほとんどを取り込み、特に冬の時期に人気を博した。1年当たりの観光収入は7億7600万AU$に達した[99]。2003年には40億AU$[100]、2005年には51億AU$[98]となった観光収入は同地区最大の産業となり、毎年200万人が訪れるようになった[101]。しかし、これら観光事業がグレート・バリア・リーフに悪影響を与えているのではという懸念もある[53]

ボートツアーやクルージングが多く行われ、その期間も1日から数日間をかけるもの、船舶もディンギーからスーパーヨット英語版まで多様である[102]グラスボートや海中天文台もあり、ヘリコプター飛行も行われる[103][104]。しかし断然の人気を誇るものはシュノーケリングとスクーバダイビングである。これらは平底のボートを使い、潜る場所は網で囲われる。水質がきれいなリーフの外側が特に好まれる。

観光事業は持続可能性に配慮して管理される。観光料金にはグレート・バリア・リーフの研究に使われる費用が加味されており[98]、GBRMPA総収入の20%がこれから賄われている[105]。リーフの通行において、クルーズ客船裸傭船契約英語版また投錨には制限が掛けられている[98]

水産業

クイーンズランド州におけるグレート・バリア・リーフの水産業は年間10億AU$の利益を上げている[13]。創出雇用は約2000人であり、さらにレクリエーションや伝統的な自家消費用の漁業でも、リーフは活用されている[81]




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注釈

  1. ^ 344,400km2はオーストラリア海洋公園に指定された区域の面積。海洋区域面積は348,000km2グレートバリアリーフの環境ガバナンスより

脚注

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