Netscape_Navigatorとは? わかりやすく解説

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ネットスケープ‐ナビゲーター【Netscape Navigator】

読み方:ねっとすけーぷなびげーたー

米国の旧ネットスケープコミュニケーションズ(現AOL)社が開発したブラウザーソフト。2008年2月開発およびサポート終了した


Netscapeシリーズ

(Netscape_Navigator から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/18 13:31 UTC 版)

Netscape Navigator
Netscape Navigatorのスクリーンショット
開発元 Mercurial Communications for AOL
最新版
9.0.0.6 / 2008年2月20日 (17年前) (2008-02-20)
対応OS WindowsMac OS XLinux
プラットフォーム クロスプラットフォーム
サポート状況 終了、Firefox へ移行
種別 ウェブブラウザ
公式サイト http://browser.netscape.com/
テンプレートを表示
Netscape Messenger
開発元 Mercurial Communications for AOL
最新評価版
9.0 α1 / 2007年11月15日 (17年前) (2007-11-15)
対応OS Windows、Mac OS X、Linux
プラットフォーム クロスプラットフォーム
サポート状況 終了、Thunderbird へ移行
種別 電子メールクライアントニュースリーダ
公式サイト http://mailnews.netscape.com/
テンプレートを表示

Netscapeシリーズ(ネットスケープ シリーズ)は、ジム・クラークNCSA Mosaicの開発を抜けたマーク・アンドリーセンジェイミー・ザウィンスキーらによって開発されたネットスケープコミュニケーションズウェブブラウザであるNetscape Navigator[注 1]を起源とするウェブブラウザシリーズである。日本では「ネスケ」や「NN」といった略称でも呼ばれた。

Netscape Navigatorのバージョン4以降は、Netscape Navigator単体での配布以外に電子メールクライアントウェブページ作成ソフトなどをまとめたNetscape Communicatorとしても配布されるようになった。なお、Netscape Communicatorはバージョン6から名前がNetscapeに変更され、同時に旧版のNetscape Navigatorも名称をNavigatorに変更されている。またバージョン8では名称がNetscape Browserへと変更されたが、バージョン9では再びNetscape Navigatorとなった。

Netscapeシリーズは1990年代に圧倒的な人気を獲得したが、第一次ブラウザ戦争で後発のInternet Explorerに敗れ、2007年に開発終了が発表された。Netscapeの技術は様々な経緯を経てMozilla Firefoxに引き継がれ、2010年代以降も開発が継続している。

2024年にはAOLによりChromiumベースのブラウザとして復活したが、全盛期のように主力製品としてではなく、Netscape ISPのウェブサイトで密かに配布が行われているのみである。

変遷

バージョン1から4

Netscape Navigatorは、バージョン1.0から4.8までのウェブブラウザの名称である。最初のベータ版リリースは1994年。Netscapeの初期の開発者の多くが開発していたNCSA Mosaicの開発元である米国立スーパーコンピュータ応用研究所から法的な異議申し立てが届いてNetscape Navigatorと改名するまでは Mosaic Netscapeとしてリリースされていた。ウェブブラウザの改名と同時に会社名もモザイクコミュニケーションズ[1]からネットスケープコミュニケーションズ[2]に改名された。

Netscape Navigatorは非常に高機能で簡単に使えたため、まだベータ版であったにもかかわらずマーケットリーダーとなり短期間でシェアを獲得した。Netscape Navigatorの機能の数とシェアはバージョン1.0リリース後にもどんどん伸びつづけた。

バージョン2.0では、Netscape Mailという名称の電子メールクライアントが追加されたため、Netscapeは単なるウェブブラウザからインターネットスイートへの変貌を遂げた。この時点では、「Netscape Navigator」という名称は、ウェブブラウザ単体とインターネットスイートの両方を指し示す名称だった。また、それと同時期にAOLは、Internet ExplorerとともにNetscape Navigatorのバンドルを行いはじめた。

バージョン3.0[注 2]は、Internet Explorer 3.0という初めての本当の競争相手と対峙することになった。しかし、ネットスケープ社はマイクロソフト社の挑戦をはねつけ、当時最も使われたブラウザであり続けた。バージョン3.0でWYSIWYGのHTMLエディタ[注 3]の機能を持つGoldバージョンが提供されていた。Netscape 3.0は新しいプラグイン、テーブルの背景色、APPLET 要素や archive 属性などの多数の機能を導入した。Netscape Navigator 3は大成功をおさめ、当時誰もが認めるウェブブラウザの巨人となった。最終バージョンは3.04である。

バージョン4では、インターネットスイートの名称をNetscape Communicatorと改名し、ウェブブラウザ単体と名称が混乱する問題を解決した。なお、Netscape Communicatorに同梱されているウェブブラウザの名称はNetscape Navigatorのままであった。

1996年から1997年にかけて5つのプレビュー版をリリースした後の1997年6月にNetscape Communicatorの最後のバージョンがリリースされた。このバージョンの新機能としては、CSS1の幾つかのプロパティのサポートや最小限のダイナミックフォントのサポート、独自拡張のHTML要素がある。激化するInternet Explorer 4との競争やウェブブラウザの基幹部分が時代遅れだという問題があるにもかかわらず、この新しいインターネットスイートは成功した。このNetscape Communicatorは、ウェブブラウザのNavigator、メールクライアント兼ニュースリーダーMail and Newsgroups、アドレス帳、HTMLエディタのComposerで構成されている。

1998年10月、Netscape Communicator 4.5がリリースされた。このリリースでは、特にメールクライアント/ニュースリーダーのコンポーネントについてさまざまな機能の向上が行われた。しかし、ウェブブラウザの基幹部分の更新は行われず、基本的にはバージョン4.08と同様であった。このリリースからほんの1か月後の1998年11月にネットスケープコミュニケーションズはAOLに買収された。(ウェブブラウザ単体である)スタンドアローン版のNetscape Navigatorはまだ利用可能だったが、Microsoft Windows用のバージョン4.08より後のバージョンはリリースされていない。また、UnixLinuxなどの他のオペレーティングシステム用のスタンドアローン版については、バージョン4.8まで保守された。

幻のバージョン5

1998年1月、ネットスケープコミュニケーションズは、将来のすべてのバージョンを(自由ソフトウェアのように)無償で提供し、コミュニティによって開発と保守を行うと発表した。これが後のMozilla Application Suiteである。そしてNetscape Communicator 5.0[注 4]が発表された。しかし、元にしたソースが長年使われ複雑化していたために、NetscapeとCommunicatorのメジャーバージョンアップのリリースに重大な遅れが生じた。その結果、Internet Explorer 4から本格的にはじまったHTML4やCSSDOMJavaScriptの高度な実装を経て、Internet Explorer 5.0はマーケットリーダーになった。1998年11月、Netscape 5の開発を中止し、まったく新しいプログラムをゼロから作成することになった。ここで、ソースコードのつながりがまったく失われてしまったことと、マーケティングな意図も含めて、次にリリースするバージョンは6になる。このため、バージョン5は幻のバージョンとなった。

ちなみに、そのソースコードは「Mozilla Classic」と呼ばれ、現在でも mozilla.org のサイトからダウンロードすることができる。

バージョン6と7

バージョン8

2005年から2007年にかけて、Netscape Browserという名称のウェブブラウザがリリースされた。 AOLは比較的成功しているMozilla FirefoxをNetscape Browserのベースに選んだ。このリリースは、従来のようなインターネットスイートではなく単一のウェブブラウザだった。また、論争を招きそうな変更点としては、Windowsのみを対象として作られており、HTMLレンダリングエンジンとして、以前のバージョンでも採用していたGecko以外にInternet Explorer用のTridentの両方を使えるように実装されている。

AOLは、Netscapeチームを解雇し、Mercurial Communicationsに開発の外注を行った。ネットスケープコミュニケーションズは数年前に買収されていたため、この解雇はそれほど驚きではなかった。

バージョン8.0から8.1.2までに存在した一般的なバグを修正したNetscape Browser 8.1.3は2007年4月3日にリリースされた[3][4]

バージョン9

2007年1月23日、新しいスタンドアローン版ウェブブラウザのNetscape Navigator 9のリリースが表明された。このバージョンでは、ニュースフィードのサポートやウェブページ上での議論・投稿・投票手段を強化し[5]、インターネットポータルPropellerとの統合が強化されている[6]。また、再びWindows、Linux、Mac OS Xをサポートするマルチプラットフォームとなった[7]。このバージョンはMozilla Firefox 2.0をベースにしており、FirefoxのアドオンやNetscapeが提供しているプラグインを完全サポートしている[8]。また、このブラウザは2004年以降初めて社内のプログラミングスタッフによって作られた[9]

最初のベータ版は2007年6月5日にリリースされた[10]。最終バージョンは2007年10月15日にリリースされた。

シリーズの終焉

2007年12月28日、Netscape全バージョンのサポートを2008年2月1日をもって終了するとNetscape公式ブログで発表された[11][12][13]。Netscape公式ブログでは利用者にFirefoxへの移行を促している。その後、NetscapeからFirefoxやFlockへの移行機能を追加する関係から、開発・サポートの終了が1か月延長されることが発表された[14][15]。なお、この動きを受けてMozilla JapanではNetscapeからFirefoxやThunderbirdへの移行ガイドを公開している[16]。また、サポート終了後にはNetscape日本語版公式ページ上でも同移行ガイドが紹介された。

Chromium版

2024年11月ごろ、AOLはChromiumベースのWebブラウザとして「Netscape」を復活させたが、これといったアナウンスは行われておらず、Netscapeの名を冠したISPのウェブサイトの最下部にひっそりとリンクが張られているのみとなっている。対応プラットフォームは再びWindowsのみとなった。

Netscape Messenger 9

2007年11月15日に開発元のブログにおいて、「Netscape Messenger」の名前を冠した電子メールクライアントの開発の公表と、最初の評価版に当たる9.0α1が公開された[17]。2004年8月の7.2から途絶えていたNetscapeブランドのメールソフトは3年ぶりの復活となった。また、Messengerの名前は、1997年のCommunicator 4.0の頃にメール機能の名称として採用されていた名前であり、2002年の4.78から実に5年ぶりに名称が復活した。

Messenger 9はMozilla Thunderbird 2.0.0.9をベースとしており、Navigator 9同様Thunderbird 2.0.0.xの拡張機能をサポートし、Windows以外の環境もサポートした。AOL Instant Messengerのアドレス帳との統合機能が実装されていた。しかし、AOLがNetscapeの開発終了を宣言したため、Messengerは正式版のリリースがなされることなく役目を終えることとなった。

バージョンの変遷

脚注

注釈

  1. ^ 開発コードネームが「Netscape Navigator」であったため、「Netscapeと書いてMozilla(モジラ)と読む」などといわれた。
  2. ^ 最初のベータ版のコードネームは「Atlas(アトラス)」。
  3. ^ 後に標準機能としてNetscape Communicator に追加された。
  4. ^ コードネーム「Gromit(グルミット)」

出典

関連項目

外部リンク


Netscape Navigator

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 05:40 UTC 版)

ネットスケープコミュニケーションズ」の記事における「Netscape Navigator」の解説

当初機能制限設けたウェブブラウザであるNetscape Navigatorを無料配布し、機能制限のない製品版購入促す戦略をとった。事業成功し株式公開時に市場白熱した話は有名である。この後World Wide Web利用爆発的に拡大した。 このことに触発されビル・ゲイツブラウザ開発本腰を入れマイクロソフトWindows 95発売同時にInternet Explorerリリース当初有償Windows機能拡張セットであるMicrosoft Plus!一部であったが、後に無償での配布変更Windows 95後継バージョンWindows 98からは標準Internet Explorer搭載した無償であることとWindows市場占有率の高さから、自然とInternet Explorer利用者増えていった。 ネットスケープコミュニケーションズマイクロソフトシェア争い第一次ブラウザ戦争呼ばれた。しかしネットスケープはなおも有料販売モデル固執しユーザー流出を招くこととなったが、ネットスケープマイクロソフト対し不公正な競争であるとの訴訟起こす。後にこの訴訟は、ネットスケープ買収したAOLマイクロソフト訴訟和解の際、子会社であるネットスケープ訴え併せて取り下げられた。 1998年1月、ついにNavigator無料化への変更余儀なくされるが、既にこの時点多く利用者Internet Explorer奪われていたため、ウェブページInternet Explorerでの閲覧優先したものが多くなっていた。その後に新バージョンを出すも欠陥多くWindowsとの相性悪さ初心者戸惑わせる複雑な設定項目なども敬遠されWebブラウザとしての競争力失った2011年時点でのNetscape利用率0.1%未満である 1995年設立され日本法人2001年をもって解散している。 2002年Netscape 7を、2005年Netscape 8をリリースしたが、バージョン8以降英語版以外の公式版リリースされていないNetscape製品親会社AOL設立したMozilla Foundation移行し開発続けられている。

※この「Netscape Navigator」の解説は、「ネットスケープコミュニケーションズ」の解説の一部です。
「Netscape Navigator」を含む「ネットスケープコミュニケーションズ」の記事については、「ネットスケープコミュニケーションズ」の概要を参照ください。

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