金木犀の花言葉
金木犀花言葉の由来
(1)花の見た目の小ささと香りの強さから「謙虚」の花言葉が付いた金木犀は、ひとつの枝に複数の花が咲く植物である。そして、花のひとつひとつは非常に小さく、5mm程度しかない。その花の小ささから、「謙虚」という花言葉が付いた。しかし、その「謙虚」は、ただ控えめという意味ではない。金木犀という植物は、見た目よりも香りが特徴として挙げられることが多い。さらに、秋を代表する香りとして取り上げられることも珍しくはない。そのため、5mm程度の小さい花であるにもかかわらず、季節を代表する強い香りを放てるということで、金木犀の花言葉として使用される「謙虚」には、「大きな実力があるが、控えめにしている」という意味合いがある。
また、金木犀は、その香りで人に癒しを与えるために用いられることが多い。そして、派手ではなく、目立つことは少ないが、確かな存在感は持っている。さらに、金木犀の花の色や大きさは知らなくとも、香りだけは知っているという人は少なくない。したがって、見えないところで人を支える、縁の下の力持ちという意味合いの「謙虚」も兼ね備えている。
(2)「気高い人」「高貴」という花言葉は散り様が元
金木犀は、開花している期間が非常に短い植物である。9月から10月の間に開花すると、1週間前後で花は散ってしまう。いつまでも未練がましく咲き残るのではなく、潔く散る様子から、「気高い人」という花言葉が付いた。また、数多くの金木犀の花が散った後は、地面が橙色に染まることがある。そうして、散った後まで美しく見せるということで、「気高い人」のようだと例えられる場合もある。さらに、「気高い人」に近い、「高貴」という花言葉もある。散った花が地面を染めている様子が、豪華絢爛な橙の絨毯が敷かれているさまに喩えられている。
(3)隠せない強い香りは「真実」「真実の愛」という花言葉の元
金木犀の一番の特徴と言っても過言ではない香りだが、その香りは数km離れた場所にまで届くとされている。そのため、周囲に広がってしまうのを抑えることが非常に難しい。したがって、隠蔽が困難であるということから、「真実」という花言葉が付いた。また、金木犀に似た香りはなく、かすかな匂いを嗅いだだけでも、金木犀を連想する人は多い。したがって、金木犀の花言葉の「真実」には、誤魔化しようのないことという意味合いもある。
そして、特徴的な香りは同様に、隠せず、誤魔化すことができない強い思いという意味合いで、「真実の愛」という花言葉の元になっている。また、金木犀の香りは、一度嗅いだだけで忘れることが難しくなる。したがって、記憶に残って忘れられないほど強い思いという意味でも、「真実の愛」の花言葉が相応しいとされる。
(4)香りを人を惑わすものとした「陶酔」「官能美」
強い香りは、人の心と身体を惑わすとされる。そのため、数ある植物の中でも強く、なおかつ特徴的な香りを持つ金木犀には、「陶酔」という花言葉もある。そして、実際に金木犀の香りを嗅いだ時、良くも悪くも酔ったような感覚になる人はいる。また、中国には「桂花陳酒」という、白ワインに金木犀の花を漬け込んだ酒がある。したがって、金木犀と「陶酔」という言葉には、強い結びつきがある。さらに、人の心と身体を惑わすという「陶酔」と同様の意味を持つ「官能美」も、金木犀の花言葉である。歴史の中には、女性が男性を惑わすために、金木犀の香りを官能的に使用したという記録がある。
(5)記憶を蘇らせる甘い香りは「初恋」にも例えられる
金木犀の特徴的な香りは、甘い香りだと表現されることが多い。そのため、同じように甘いと表現されることがある「初恋」も、金木犀の花言葉になっている。また、金木犀の香りを嗅いだ時には、金木犀を思い出す人が多い。その、些細なきっかけで鮮明な記憶が蘇るという点も、「初恋」と共通している。
(6)毎年花を咲かせることから「変わらぬ魅力」という花言葉が付いた
金木犀は、植樹してからしばらく経ち、順調に成長しきったら、それ以降は毎年花を咲かせる。そして、寿命自体は数百年と非常に長く、人が手を加えたり、周囲の環境が悪化したりしない限り、花が咲かなくなることはない。毎年秋になると鮮やかな橙色を見せ、特徴的な香りを周囲に振りまく。その後、花を散らせて地面を橙に染めるという流れを繰り返す。人の寿命よりも長い間、同じ流れを繰り返すため、「変わらぬ魅力」という花言葉もある。状況次第では、幼子が成長し、老人となって命を終えるまで、毎年同じ金木犀の花を見たり香りを感じたりすることもあるだろう。
(1)今昔物語が由来になっている
シオンの代表的な花言葉は、「追憶」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」であるが、これは「今昔物語集」に収録されている、ある兄弟に関する物語が由来である。今昔物語は「今は昔」で始まることで有名な、平安末期に記されたとされる説話集である。数多くの物語が収録されていて、その中の一部に、親を亡くした兄弟が登場する物語がある。
兄弟に関する詳細は明らかにされておらず、何らかの理由で父を亡くし、2人だけの家族になってしまうところから物語は始まる。最初の内は、兄と弟はどちらも、毎日の墓参りを欠かさなかった。しかし、仕事が忙しくなった兄は、墓参りを止めてしまう。そして、父との決別の証として、墓前に忘れ草を植える。けれど、弟は兄とは違い、父を忘れず墓参りを続けるという意思表示のために、墓前に忘れな草を植えた。そして、実際に根気強く、父のことを考えながら毎日の墓参りを続けた。
その弟の様子を、墓を守っていた鬼が見ていた。そして、献身的に墓参りを続ける弟に感心し、未来を予知できる能力を授ける。その能力は、弟が眠っている間に、夢の中で、危険なことを知ることができるというものだった。その能力を駆使したおかげで、弟は生涯幸せに生きることができたという物語である。
この物語で、弟が墓前に植えた忘れな草は、現代の勿忘草ではなく、シオンのことである。そして、兄が植えた忘れ草は、萱草だとされている。この物語では、忘れたいことがあった場合は萱草を植え、忘れたくないことがあればシオンを植えるようにという教訓で終わっている。
そして、弟が父のことを忘れず追悼し、墓参りを続けたことから、シオンの花言葉が「追憶」「君を忘れない」となった。また、弟が天国にいる父親を追悼するという意味で、「遠方にある人を想う」という花言葉も生まれた。父親がいる天国を、遠くという表現に置きかえた形である。
また、今昔物語内のシオンに関する物語は、弟を中心とした内容であり、兄は父親の墓参りを止めて以降は特に触れられていない。父の墓参りを止めたことで、何らかの罰を受けたわけでもなく、ただ出番がなくなっただけである。重要な登場人物であるにもかかわらず、出番がなくなってしまったため、その兄のことを考えるということが、花言葉である「遠方にある人を想う」に含まれている可能性はある。そして、現代では「追憶」「君を忘れない」は、故人を想う表現として使用されるが、「遠方にある人を想う」は、故人に限らず、物理的に遠くにいる相手を想う場合にも使用することが多い。
(2)シオンの根が漢方として使用できることが由来の「喜びをください」
シオンには「喜びをください」という花言葉があるが、これはシオンが、漢方の素材として使用されることが由来となっている。シオンの根を乾燥させたものは、咳を止めたり利尿作用を促したりするなどの働きがある。古くから中国で重宝されてきた漢方であり、現代の日本でも使用されることはある。そして、喘息や喉の強い痛みといった、比較的悪い症状を改善するために用いることも可能だ。そのことから、辛い咳や喉の痛みから解放されたいという意味で、「喜びをください」が花言葉となった。また、シオンの根を漢方にしたものは、わずかではあるが甘味を伴う。その甘味を喜びに例える形で、花言葉が「喜びをください」になった説もある。"
金木犀の英語の花言葉
金木犀の花言葉は、英語で以下のように表される。「humility(謙虚)」「noble person(気高い人)」「noble(高貴)」「truth(真実)」「true love(真実の愛)」「euphoria(陶酔)」「sensual beauty(官能美)」「first love(初恋)」「invariant charm(変わらぬ魅力)」
金木犀の色別の花言葉はない
金木犀は橙色の花を咲かせるので「金」木犀と呼ばれる。特に他の色の花をつけることはなく、したがって色別の花言葉もない。橙色の木犀の花言葉は、「謙虚」「気高い人」「高貴」「真実」「真実の愛」「陶酔」「官能美」「初恋」「変わらぬ魅力」。
金木犀本数別の花言葉の解説
金木犀は枝に花を咲かせる樹木であるため、本数による花言葉はない。花の数や枝の本数によって、花言葉の意味が変わることもない。金木犀の怖い花言葉
金木犀の怖い花言葉には、「隠世(かくりよ)」というものがある。「隠世」とは、この世である「現世(うつしよ)」とは別の世界のことであり、死後の世界や神域を指す。理想郷を指す場合もあるが、それは一部の例外である。一般的に「隠世」は、あくまでも亡くなった人が行く黄泉の国や、人の手が及ばない畏怖すべき世界という意味を持つ。したがって、金木犀は、死に近いという怖いイメージを持たれることがある。また、人間には到底理解できないものごと、という怖いイメージもある。なぜ金木犀にそのような花言葉が付けられているかというと、金木犀が古くから魔除けとして使用されてきたからである。日本に古くからある、仏教を始めとする宗教では、植物の強い香りが、邪気を払うという考えを持っているものがある。その強い香りを発することができる植物として、金木犀が選ばれることが多い。そして、現代でも、金木犀が魔除けとして取り入れられることは珍しくない。そのような、目に見えない邪気を払う目的で使用されるため、金木犀は、人智を越えた部分に干渉するものというイメージを持たれることが多い。そうして、人智を越えた世界である「隠世」という言葉が、花言葉として定着した。
魔除けとして金木犀を取り入れているのは、寺院が多い。また、寺院の中には、香りが喜びを与えるという良い意味で、積極的に金木犀を取り入れているところもある。ただ、寺院といえば墓地がある場所であり、法事を執り行う場所ということで、死のイメージを持たれることが多い。したがって、死後の世界を意味する「隠世」が花言葉になった可能性もある。
また、「陶酔」や「官能美」の花言葉も、健全な言葉として使用される機会は少ない。人の心と身体を惑わせた場合、怖い結末になる可能性が高いからだ。金木犀を使用した酒である「桂花陳酒」は、古代中国唐の皇妃である楊貴妃が好んだとされている。また、楊貴妃という名前のカクテルの材料でもある。楊貴妃は、唐の皇帝の心を掴み、翻弄した魔性の女性として知られる。そして、皇帝が楊貴妃に現を抜かしたため、安史の乱が起こり、国が傾くこととなったとされている。したがって、金木犀の花言葉の「陶酔」や「官能美」は、楊貴妃を連想させ、ものごとを悪い方向へと導くというイメージを持たれやすい。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
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