シオンの花言葉
シオンの花言葉の由来
(1)今昔物語が由来になっているシオンの代表的な花言葉は、「追憶」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」であるが、これは「今昔物語集」に収録されている、ある兄弟に関する物語が由来である。今昔物語は「今は昔」で始まることで有名な、平安末期に記されたとされる説話集である。数多くの物語が収録されていて、その中の一部に、親を亡くした兄弟が登場する物語がある。
兄弟に関する詳細は明らかにされておらず、何らかの理由で父を亡くし、2人だけの家族になってしまうところから物語は始まる。最初の内は、兄と弟はどちらも、毎日の墓参りを欠かさなかった。しかし、仕事が忙しくなった兄は、墓参りを止めてしまう。そして、父との決別の証として、墓前に忘れ草を植える。けれど、弟は兄とは違い、父を忘れず墓参りを続けるという意思表示のために、墓前に忘れな草を植えた。そして、実際に根気強く、父のことを考えながら毎日の墓参りを続けた。
その弟の様子を、墓を守っていた鬼が見ていた。そして、献身的に墓参りを続ける弟に感心し、未来を予知できる能力を授ける。その能力は、弟が眠っている間に、夢の中で、危険なことを知ることができるというものだった。その能力を駆使したおかげで、弟は生涯幸せに生きることができたという物語である。
この物語で、弟が墓前に植えた忘れな草は、現代の勿忘草ではなく、シオンのことである。そして、兄が植えた忘れ草は、萱草だとされている。この物語では、忘れたいことがあった場合は萱草を植え、忘れたくないことがあればシオンを植えるようにという教訓で終わっている。
そして、弟が父のことを忘れず追悼し、墓参りを続けたことから、シオンの花言葉が「追憶」「君を忘れない」となった。また、弟が天国にいる父親を追悼するという意味で、「遠方にある人を想う」という花言葉も生まれた。父親がいる天国を、遠くという表現に置きかえた形である。
また、今昔物語内のシオンに関する物語は、弟を中心とした内容であり、兄は父親の墓参りを止めて以降は特に触れられていない。父の墓参りを止めたことで、何らかの罰を受けたわけでもなく、ただ出番がなくなっただけである。重要な登場人物であるにもかかわらず、出番がなくなってしまったため、その兄のことを考えるということが、花言葉である「遠方にある人を想う」に含まれている可能性はある。そして、現代では「追憶」「君を忘れない」は、故人を想う表現として使用されるが、「遠方にある人を想う」は、故人に限らず、物理的に遠くにいる相手を想う場合にも使用することが多い。
(2)シオンの根が漢方として使用できることが由来の「喜びをください」
シオンには「喜びをください」という花言葉があるが、これはシオンが、漢方の素材として使用されることが由来となっている。シオンの根を乾燥させたものは、咳を止めたり利尿作用を促したりするなどの働きがある。古くから中国で重宝されてきた漢方であり、現代の日本でも使用されることはある。そして、喘息や喉の強い痛みといった、比較的悪い症状を改善するために用いることも可能だ。そのことから、辛い咳や喉の痛みから解放されたいという意味で、「喜びをください」が花言葉となった。また、シオンの根を漢方にしたものは、わずかではあるが甘味を伴う。その甘味を喜びに例える形で、花言葉が「喜びをください」になった説もある。
シオンの英語の花言葉
シオンの花言葉を英語で表現すると、「recollection(追憶)」「never forget you(君を忘れない)」「think of people in the distance(遠方にある人を思う)」「give me joy(喜びをください)」となる。シオンの色別の花言葉の解説
#紫「ごきげんよう」「時の経つのを忘れて」定番の紫色のシオンには、「ごきげんよう」「時の経つのを忘れて」という花言葉がある。「ごきげんよう」の由来は明確にはされていないが、「時の経つのを忘れて」は、花の美しさが由来となっている。美しく咲いたシオンの花を見続けていると、時間が経過するのを忘れてしまうという表現である。また、「追憶」や「君を忘れない」になぞらえて、長い時間が経過したにも関わらず、過去のことを鮮明に思い出せるという意味合いで、「時の経つのを忘れて」という花言葉になったとする説もある。
#白「どこまでも清く」
白色のシオンの花言葉は「どこまでも清く」だが、これは花の見た目がそのまま由来となっている。白色のシオンの花は、中央が黄色で、そこから白い花弁が放射状に広がっている見た目をしている。その花弁は細長い形であり、特に斑点やしわなどはなく、滑らかな表面をしている。そして、白は純粋や潔白を意味する色である。したがって、汚れのない白い見た目をしているシオンの花弁が、清らかに見えるという表現ということで、「どこまでも清く」という花言葉となっている。
#その他
シオンには紫や白以外に、青やピンクなどの品種があるが、それらには特別な花言葉は設けられていない。そのため、全般的な花言葉である「追憶」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」「喜びをください」をそのまま当てはめる形で問題はない。
シオンの本数別の花言葉の解説
シオンの花言葉は、本数によって意味が変わることは特にない。シオンの怖い花言葉
シオンは花言葉が怖いというイメージを持たれることが多いが、それは花言葉の「追悼」「君を忘れない」の成り立ちが関係している。「追悼」「君を忘れない」の由来となった今昔物語に鬼が登場するということで、怖いと決め付けられている形である。鬼は一般的に、人よりも強い悪意を持った怪物だとされているため、その鬼が関係しているシオンの花言葉には、鬼に関する怖い物語があるという想像をされやすい。しかし、今昔物語に登場する鬼は、一般的なイメージの鬼とは異なり、悪事を働くことはない。鬼というよりは守護神のような立場であり、正体がわからない存在であったり、弟に不思議な能力を授けたりという、未知の部分が多いため、鬼として例えられた可能性が高い。そのため、シオンの花言葉が怖いとする想像は、全くの誤解である。
ただ、シオンの花言葉は、死のイメージが定着しやすい。「追悼」「君を忘れない」は、死者を想う意味合いが含まれている表現だからである。そのことから、シオンの名を冠した葬儀会社やセレモニーホールなどが数多くある。したがって、死を連想することが多いので、怖いイメージを持たれやすい。さらに、シオンを漢字で書くと「紫苑」となるが、「苑」の部分が「死」や「怨」と似ていることが、怖いイメージに拍車をかけている。
しかし、「追悼」も「君を忘れない」も、あくまでも死者を悼んだり偲んだりするという気持ちの表れである。また、「苑」は庭園を意味する漢字であり、「死」や「怨」とは関係ない。したがって、シオンの花言葉「追悼」「君を忘れない」は、基本的には怖い意味ではなく、シオンの花自体に対しても怖いイメージを持つ必要はない。
ただ、もちろん、どのような形で死者を想うのかによって、怖い意味になることはある。死者の代わりに復讐をすることを誓ったりするといった意味で「追悼」の言葉を使う場合は、怖い意味と言えるだろう。また、すでに故人となっている相手に対して恨みを抱いていた場合、その恨みを忘れないという意味合いで「君を忘れない」という花言葉が使用されかねない。いずれも特殊なパターンではあるが、シオンの花言葉が怖い意味として使用される可能性はある。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
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