過給による出力増強
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「マツダ・12A型エンジン」の記事における「過給による出力増強」の解説
1982年から1990年まで。REとしては、初めてEGIを採用 12A-T(反動型): 1982年から1983年。上記の12A-6PIをベースに反動型のシングルターボを採用。当時は、運輸省の方針でターボチャージドエンジンであっても、ノンターボの過去モデルより省燃費でないと認可が下りない時代であった。そのため、高出力のみならず省燃費のための技術内容を織り込む必要があった。*エンジン本体 吸気ポート 1ローターあたり2個の吸気ポートを使用。過圧した空気を押し込むため、吸気孔の面積が狭くても押し込み充填効率を向上させることが可能。 インジェクタ プライマリポートのみに設置して、吸気ポートに近い位置で噴射をおこなうセミダイレクト噴射を採用。さらに燃料の霧化を促進させるためにノズル先端部にエアブルード式通路と小穴の多数開いた樹脂製ミキシングプレートを設置した。 ローターハウジング トロコイド面のクロムめっきをマイクロ・チャンネル・ポーラスめっきへ変更し、同時にトロコイド面へ直接オイルを供給する噴出孔を設置し潤滑性を改善した。 排気ポート 排気ポートの閉じるタイミングを遅らして(排気ポート面積の拡大)、温度の高い排気ガスの吸気チャンバーへの持ち込みを削減してノッキングの発生を抑えた。なお 排気ポートを閉じるタイミングは遅くなったが、プライマリポートの開くタイミングとは、オーバーラップしないように設定している。 排ガス対策 EGIの採用により、O2センサ付三元触媒に変更し、排気ポート内での未燃HCの酸化をやめた。 *ターボチャージャ 日立製の反動型ターボチャージャーを採用。REの場合 レシプロより排気ガス温度が高いのでターボチャージャーの軸受部以外にハウジングにも冷却用のオイルジャケットを設置した。圧縮比:8.5 無鉛レギュラガソリン 最高出力:160PS/6,500rpm 最高トルク:23.0kgf·m/4,000rpm 12A-T(衝動型): 1983年から1990年。上記の12A-T(反動型)をベースに衝動型のシングルターボを採用。*ターボチャージャー 日立製の衝動型ターボチャージャーを採用。反動型よりコンプレッサ径(63→56mm)/タービン径(62→57mm)と小型になったが、出力は向上すると同時に低回転域でのターボ効果が向上して、立ち上がり加速も向上した。圧縮比:8.5 無鉛レギュラガソリン 最高出力:165PS/6,500rpm 最高トルク:23.0kgf·m/4,000rpm
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過給による出力増強
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「マツダ・13B型エンジン」の記事における「過給による出力増強」の解説
1982年から2002年まで。このステージ以降の13Bは、全てEGIによるガソリン供給を行なっている。 13B-SI: 1983年から2002年。両ロータ間の吸気脈動を利用した独特の過給システムで圧力波と反射波を積極的に利用することによって、全回転域での出力向上を行なった。マツダは、この動的過給機構をスーパーインジェクション(Super Injection)と命名した。 圧力波は、吸気口が開いた直後に燃焼室内に残る高圧の排気ガスと吸気が衝突して発生し、その波紋のタイミングがもう片方のロータの吸気時期に一致すると濃い混合気を吸気することが可能となる。 反射波は、吸気口が閉じる瞬間に発生する吸気流がそこに当たって発生する圧縮によって発生し、その波紋がもう一方の吸気口に伝わり吸気を押し込む。 圧力波と圧縮波の波紋タイミングを合わせるために吸気菅長を長くとることが必要になる。 REの場合は、吸気ポートのオープニング時間がレシプロよりも長く取れるので、レシプロより吸気菅長が短くてもこの圧力波と圧縮波の波紋の影響をたやすく得ることが出来る。最高出力:160PS/6,000rpm 最高トルク:20.5kgf·m/3,000rpm 13B-T: 1985年から1992年。上記の13B-SIをベースにツインスクロールターボと空冷式インタークーラーを採用すると同時に、ターボに対応したエンジン改良を実施。低回転でのアクセルレスポンスと高回転での圧倒的なパワーの伸びを実現した。 *ツインスクロールターボ排気ガスの通路を低回転側と高回転側の各々に対応した通路を使用した一種の可変A/Rターボチャージャで、低速域では高レスポンス/高速域では高出力を確保した。 具体的には、低回転域では小さいプライマリ通路のみ使用し、狭い通路で加速された排気ガスがタービンブレードに直角にぶつかりその衝撃力で空気をチャージングしてターボの弱点とされるターボラグを解消する。高回転域(2,500rpm以上)では二つ目の大きなセカンダリ通路も使用して排気ガスをタービンブレードに添う角度で供給し、排気ガスの膨張する力でタービンブレードを回転させ空気をチャージングし、高速回転時に必要な圧縮空気を供給して高出力を得る。なおタービン側のベアリングは、エンジン冷却水によって冷却される *エンジン本体「ロータ」「シール」「ロータハウジング」の改良を行い、過給に耐える信頼性と軽量化と燃費低減の対応を行なった。 ・ロータリブ厚を薄く(4mm→3mm)して14%の軽量化を行い燃費とレスポンスの向上を図った。またインターナルギア固定用スプリングピンの本数を増加してギアの信頼性を向上 ・シールアペックスシールを2分割から3分割に変更すると同時にシール厚を3mmから2mmに削減し、かつサイドシールも薄く(1mm→0.7mm)して抵抗軽減とシール性の改善を実施。 ・ロータハウジングトロコイド面のシートメタル材質変更とマイクロクロームモリブデンめっき処理とテフロン塗布を行い、摺動性と信頼性を確保。ウォータージャケットの冷却水通路を従来より縮小して暖気時間の短縮と燃費低減に貢献。 ・吸気ポート過給を行うので1ロータ当たり2個に変更。インジェクタは、1ロータあたり2本設置し、プライマリインジェクタは従来通り燃焼室直前のセミダイレクト噴射、セカンダリインジェクタはポートに設置して高速時のみに使用する。 *空冷式インタークーラ空冷式のインタークーラをエンジンの真上に設置し、最短距離で冷却された空気をエンジンに送り込みレスポンス改善を図った。なお インタークーラの設置に伴い、エンジン補機の配置を変更した *エンジン出力・前期型(1985年から1988年)圧縮比:8.5 無鉛レギュラーガソリン 最高出力:185PS/6,500rpm 最高トルク:25.0kgf·m/3,500rpm ・後期型(1989年から1992年)圧縮比:9.0 無鉛レギュラーガソリン 最高出力:205PS/6,500rpm 最高トルク:27.5kgf·m/3,500rpm前期型から「圧縮比の向上」「完全ツインスクロールターボの採用」を実施 ・後期型(1989年から1992年)高出力タイプ圧縮比:9.0 無鉛プレミアムガソリン 最高出力:215PS/6,500rpm 最高トルク:28kgf·m/3,500rpm 13B-REW: 1990年から2002年。シーケンシャルツインターボを搭載と同時にこのターボに対応したエンジン改良を実施。燃費改善と分厚いトルクと機敏なレスポンスを備えた高回転高出力エンジン。日本で公認される最高出力の280PSを達成した。 *シーケンシャルツインターボ2個のターボチャージャー(プライマリ、セカンダリ)を組み合わせて過給を行う。 具体的には、低回転/低負荷域ではプライマリ側のみ、高回転/高負荷域ではプライマリ+セカンダリで過給を行う。 プライマリにセカンダリが加わる瞬間の過給庄の落ち込み対策として、あらかじめセカンダリ側を予回転させておき低回転から高回転までターボラグのない過給を行なった。 *エンジン本体・ロータ燃焼室の窪み(ロータリセス)部を完全機械仕上げを行なった。圧縮比は9.0で無鉛プレミアムガソリンを使用。アペックスシール取付部の溝は、レーザ焼入れを施したうえにシール溝を切り込み、耐摩耗性向上を図った ・ロータハウジング内面コーティングを硬質クロムめっき+グラファイトに変更して潤滑性と耐摩耗性を向上。 ・排気ポートエアインジェクション・ポート・インサート(API)を採用して、排気ポートからジェットエアを導入して残留排気ガスの掃気を促進し、軽負荷時の燃焼の安定を実施。 ・インジェクタメカニカルなエアフローメータを廃止して空気密度を直接計算するEGI-HS(ハイスピード・デンシティ・システム)を採用して吸気系の抵抗を削減し、レスポンス向上と全回転域におけるトルク向上を行なった。 *エンジン出力・初期型(1990年から2002年)最高出力:255PS/6,500rpm 最高トルク:30.0kgf·m/5,000rpm ・中期型(1996年から2002年)最高出力:265PS/6,500rpm 最高トルク:30.0kgf·m/5,000rpm初期型から、「吸気パイプ内径の拡大」「吸気系の改良」「過給庄アップ」 ・最終型(1998年から2002年)最高出力:280PS/6,500rpm 最高トルク:32kgf·m/5,000rpm最終型では、「ターボチャージャの変更(高効率化と大流量化)」「排気系の抵抗削減」「インタークーラの冷却性改善」「メタリングオイル供給改善」「エンジン制御コンピュータの最適制御」を行い、温度バテしないエンジンに仕上げ出力向上を行なった。
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