菌類の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/03/28 05:22 UTC 版)
菌類では問題はもっと複雑である。細菌の場合、基本的には単細胞であるから、希釈平板法におけるコロニーの出発点になるのは細菌本体である。それに対して菌類の体は普通はより大きくなる菌糸体であり、希釈平板法では胞子がコロニーの出発点になると考えられるからである。つまり培地の問題以前に、この方法による結果はそこに生息している菌類そのものではなく、そこに存在する胞子を反映するものになる。もちろん土壌中には多くの菌類が胞子を作って生育しているのではあるが、胞子を作っていないものも多く存在することは容易に想像できる。例えばWarcupは寒天培地に土壌顆粒そのものを寒天培地に混釈する土壌平板法によってフハイカビ Pithyum を土壌から分離することに成功したが、このカビはいわゆる鞭毛菌に属するものであり、土壌中では菌糸の状態で生育し、自由水があるときにのみ遊走子を生じるものと考えられる。このようなものはこの方法では出現する可能性がほとんど無い。彼はまた土壌菌の生態学と研究法について多くの研究を為した。土壌から希釈平板法で多く得られるものとしてはケカビ Mucor 、コウジカビ Aspergillus 、アオカビ Penicillium 、トリコデルマ Trichoderma が挙げられるが、これらはいずれもとてもよく胞子形成をする菌として知られており、この方法ではこのような菌にとってとても有利であることを述べ、それによる結果が実際の土壌における菌の密度や状況を反映しないとした。そしてより現実の土壌菌類相を知るための様々な方法を工夫した。上記の土壌平板法はその一つである。なお菌類学会編(2013)では希釈平板法と上記の土壌平板法を区別せず、単に試料となる土壌の処理法の違いと見なしている。つまり懸濁液の上澄みを取るか、土壌顆粒を含めるかの違いである。おそらくは菌類の場合には菌糸体そのものを分離源と出来るように顆粒込みでなければ菌相を反映しいがたいとの判断が成立したためと考えられる。もちろん土壌顆粒を含めた場合には計数法としての使用は制約される。
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菌類の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/11 17:22 UTC 版)
菌類は一般に菌糸からその体が構成される。この場合、植物以上に個体の区分は難しい。キノコのような子実体は見かけ上は個体であるかのように見えるが、実際には生殖器官であるに過ぎず、その下に栄養体が隠れている。その栄養体は菌糸という、個々に独立した活動が可能な糸状態の集積である。かといって菌糸を個体と見なすのもおかしい。大型のキノコは、多数の菌糸が集まった状態から作られるし、それを支える栄養菌糸も、大きなものが求められるからである。他方、コロニー全体を個体と見なす考えはあり得る。しかし、断裂を起しやすく、まとまりがあるとは言えない。 菌類の形として、酵母という単細胞の姿を取るものもある。この場合、個々の細胞を個体と見なすことも可能であるが、菌糸の場合との整合性に問題が感じられる。 個々の菌類について考えれば、ツボカビ類には胞子のうを一つしか作らない単心性のものがあり、この場合には個体が明確である。また、接合菌類のトリコミケス類、子のう菌類のラブールベニア類なども個体が判別できる例である。
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菌類の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 03:01 UTC 版)
菌類では、分類群によって胞子の形成様式に非常に多種多様な違いがある。 どのような胞子を作るか(特に減数分裂に関わる胞子の形成様式)は、菌類の分類では非常に重要視される。詳細は各分類群を参照のこと。→ツボカビ門・接合菌門・子のう菌門・担子菌門・不完全菌 接合菌門のものは胞子嚢胞子を形成するとされているが、すべての種がそうであるか否かは論議がある。胞子嚢の基部が崩壊し、胞子嚢そのものが分散単位となる小胞子嚢を形成する菌群があり、しかもその中には、胞子嚢内に胞子がただ一個しか作られないものがある。この場合、分生子との区別が困難である。また、ハエカビ目やトリモチカビ目の形成するものは、機能的には真性の分生子であるとの説もある。 また、栄養菌糸の一部が区画され、細胞壁が肥厚した厚壁胞子(厚膜胞子とも)の形成も、さまざまな菌類に見られる。休眠機能を持ったもののみを真の厚壁胞子として扱うのが妥当であるという意見もあるが、休眠機能を持つかどうかの判断は現実には困難であり、慣用的に細胞壁が厚い胞子を指して用いられている呼称に過ぎない。 表 話 編 歴 植物学 下位区分民族植物学 古植物学 植物解剖学 植物生態学 植物進化発生生物学(英語版) 植物形態学 植物生理学 植物植物の進化 藻類 コケ植物 シダ植物(小葉植物・大葉シダ植物) 裸子植物 被子植物 植物部位花 果実 葉 分裂組織 根 茎 気孔 維管束 木材 植物細胞細胞壁 クロロフィル 葉緑体 光合成 植物ホルモン 色素体 蒸散 植物の生殖世代交代 配偶体 性 花粉 受粉 種子 胞子 胞子体 植物分類学学名 ハーバリウム IAPT(英語版) 国際藻類・菌類・植物命名規約 植物の種(英語版) 用語集植物形態学の用語一覧(英語版) 植物学の用語一覧(英語版) カテゴリ ブックス ポータル .mw-parser-output .asbox{position:relative;overflow:hidden}.mw-parser-output .asbox table{background:transparent}.mw-parser-output .asbox p{margin:0}.mw-parser-output .asbox p+p{margin-top:0.25em}.mw-parser-output .asbox{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox-note{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox .navbar{position:absolute;top:-0.75em;right:1em;display:none} この項目は、植物に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:植物/Portal:植物)。 この項目は、菌類に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(P:生き物と自然/PJ生物)。 典拠管理 GND: 4182414-3 J9U: 987007552039905171 LCCN: sh2007009669 NDL: 00563485
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菌類の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 23:12 UTC 版)
菌類における休眠の形式としては、休眠胞子と菌核がある。休眠胞子は菌群によって様々なものがあるが、厚壁であり、耐久性が高い。接合菌では接合胞子がこれにあたり、子嚢菌では子嚢胞子がこれにあたる。菌類ではないがミズカビ類の卵胞子もこれに当たる。 菌核は栄養体が厚壁の塊となったもので、子嚢菌や担子菌の様々な群で見られる。変形菌の変形体を乾燥させると、硬い小塊になり、水を与えると変形体に戻る例もあり、これも菌核といわれる。
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菌類の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/02 10:15 UTC 版)
菌類においては、一つの細胞に一つの核、という関係がそれほど厳密ではないと見られる現象がよく見られる。ツボカビ門、接合菌門では多核体の菌糸体を持つ。また、子嚢菌、担子菌では菌糸は細胞壁で仕切られたそれぞれ単核の細胞に分かれているが、隔壁には穴があって、核がそれを通り抜けることが知られている。 異核共存体とは、そのような現象の一つであり、同一の菌糸体の中に遺伝的に同質でない核が二種以上存在する現象を指す。
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