菌類の細胞壁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/02 04:37 UTC 版)
菌類の細胞壁の構成材料は主に糖類であり、すべての菌類に共通するのはグルコースで、ガラクトースとマンノースは菌類の細胞壁に豊富だが、変形菌には存在せず、アクラシスや変形菌でのみ関連したグルコサミンが見られる。菌類の細胞壁の多糖類の組成によって化学的に8種に分類できる可能性があるとされ、酵母を含め、細胞壁の糖組成は分類学上重要な指標とされた。 キチンは、菌類の細胞壁に特徴的である。キチンはN-アセチルグルコサミンの重合体(ポリマー)である。だがグルカンの方が豊富で、これはグルコースに結合した形のセルロースである。酵母では、細胞壁の80-90%がグルカン、マンナンなどの多糖類となる。 細胞壁は、キチン、多糖類、タンパク質からなり、いくつかの層となって構成されている。セルロースを持つ場合もあるとの記述は卵菌などのものである。卵菌は1980年の『ウェブスター菌類概論』にも菌類として掲載されている。現在ではストラメノパイルに属する。 細胞壁の構成は、群によってやや異なる。子嚢菌や担子菌では、一般にキチン-グルカンを主成分としていることが知られる。接合菌ではキトサン-キチン、また酵母ではマンナン-グルカンやマンナン-キチンという組成も知られる。 細胞壁の化学種セルロース-グリコーゲン アクラシス目 (Acrasiales) セルロース-グルカン 卵菌 (Oomyeetes) セルロース-キチン サカゲカビ (Hyphochytridiomycetes) キトサン-キチン 接合菌 (Zygomyeetes) キチン-グルカン ツボカビ (Chytridiomycetes) 真正子嚢菌綱 (Euascomycetes) 真正担子菌 (Homobasidiomycetes) 不完全菌 (Deuteromycetes) マンナン-グルカン 酵母細胞 マンナン-キチン 酵母 ポリガラクトサミン-ガラクタン トリコミケス (Trichomycetes)
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