菌類の多細胞化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/25 16:27 UTC 版)
菌類的生活は、基質表面に体を接触させ、それを消化して体表から吸収する生活である。原生生物の卵菌などや、菌界に属するものがこれに含まれる。このような生活では、多細胞化はせずともよいが、体表面積は大きく取ることが重要になる。彼らの選んだ多細胞体制は、菌糸という一列の細胞が先端成長してゆく、ごく簡単なものである。菌界の生物は、すべてが単細胞か、菌糸からなる多細胞かのいずれかの体制を取る。より複雑な構造、たとえば肉眼的な大きさの子実体(キノコ)も、菌糸の絡み合いによって作られる。他方、菌界を構成する四つの門(ツボカビ門・接合菌門・子嚢菌門・担子菌門)のすべてに、単細胞生物が含まれている。また、菌糸体を形成する菌類でも、条件によっては、単細胞体制を取るものがあることが知られている。 また、これらにおける多細胞体では、多核体やそれに近い性質が強い。ツボカビ類に属する菌糸を形成するもの、および接合菌類の菌糸体は多核体であることが普通である。子嚢菌類、担子菌類では菌糸にしっかりした隔壁があって多細胞性が明らかであるが、実際には細胞質を細胞に仕切る隔壁に穴があり、ここを核や細胞器官が移動する可能性があることが知られている。
※この「菌類の多細胞化」の解説は、「多細胞生物」の解説の一部です。
「菌類の多細胞化」を含む「多細胞生物」の記事については、「多細胞生物」の概要を参照ください。
- 菌類の多細胞化のページへのリンク