菌類を含む場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 16:57 UTC 版)
菌類、藻類を含む旧植物界の生物において、散布体(propagule)と言えば、胞子・種子などを指すが、さらに範囲が広い。あえて定義をすれば、栄養体上で形成され、栄養体から切り離されて放出され、単独で新しい個体となるような単細胞、ないし多細胞の器官である。非運動性のものを指す場合が多いが、游走子もこれに含める。 普通は生殖細胞、あるいはそれに由来するものである。種子や胞子がこれに当たる。胞子にもいろいろあり、それぞれの群で名称も様々である。上記の種子にかかわる様々な散布体のような例が胞子の場合にもある。接合菌類においては、胞子嚢胞子がバラバラに放出されず、少数の胞子を含んだ胞子嚢そのものが散布体となる小胞子嚢や、胞子のうが分節して散布体となる分節胞子嚢などの例がある。卵菌類にも游走子のうが散布体としてふるまう例が知られる。また、サビキン類においては担子器が散布体的になる例もある。 より広義には、栄養生殖的な器官かもしれないものもこれに含める。栄養生殖の器官と言えば、高等植物に見られるムカゴなどがその代表であるが、種子植物的な意味ではこれを散布体と言うことはあまりない。しかし、ここで説明する意味では明らかに散布体である(英語ではpropaguleを使うのでややこしいが)。藻類や菌類など、その構造が単純な生物では、はっきりとした生殖細胞のほかに、無性生殖のための構造が生じる例が少なくなく、その起源は分かりにくい。菌類に見られる分生子は散布体と見なされているが、その由来が生殖細胞と見なせるかどうかが難しい。コケ植物や地衣類に見られる芽子(がし gemma)、あるいは、不定芽などと呼ばれるものも散布体として扱われることがある。これらは藻体や地衣体の一部が分断したような構造であるが、場合によってはその体の特定の部位に集まって形成され、胞子か何かのようにも見えるものもある。
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