担子菌類の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 05:42 UTC 版)
担子菌類とは、普通の傘状のキノコを作るものを代表とする菌類である。その特徴は減数分裂を担子器という構造で行い、それによって担子胞子を形成することであるが、この担子胞子が射出胞子である。 傘状のキノコを作るものでは、担子胞子は傘の裏面のひだや管の側面に作られる。担子器は一般にはこん棒状で、先端部に2から4の短い柄を出し、その先端に担子胞子が形成される。担子胞子柄は先が細くなっており、担子胞子とはごく狭い部分で接続するが、この胞子が切り離される際に射出が行われる。射出する担子胞子はキノコ類の他にサビキン類などからも知られているが、腹菌類では射出しない担子胞子を作る例もある。 射出の機構についてはまだよくわかっていない。細胞や隔壁の構造にその仕組みを求める説もある。多くのものでは担子胞子柄と胞子の接続部の片側に小胞があり、これを”Buller's drop”という。胞子が離脱する際にそれが消えるのが観察される。そのため、当初からこれが射出に関わっているとの見方があったが、具体的な働きに関しては諸説あって確定しない。またこの小胞を持たないで射出が行われる例もある。 具体的には以下のような説が唱えられた。 膨圧のかかった細胞が急激に変形することによるとする説。 胞子や胞子の柄から微量の液体が噴出し、それが推力となる、との説(Brefeldなど)。 小胞の表面張力がエネルギー源であるとする説(Ingold)。 連結部の内部にガスを含む小粒が出現し、これが破裂する、との説(Olive)。 静電気の斥力による、との説。 現在のところ、この小胞の破裂によって胞子と柄の表面が水に濡れた状態となり、その際に両者の表面が静電気を帯び、それによる斥力が射出の力になっているとの説が有力視されている。放出された胞子が静電気を帯びていることは、傘の下に電荷を与えた板を置くことで確認されている。
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