禁涙境事件-some tragedies of no-tear land
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/09 02:30 UTC 版)
「戦地調停士シリーズ」の記事における「禁涙境事件-some tragedies of no-tear land」の解説
あらゆる魔導が“十字線(アンカー)”の元、無力化される非武装地域―禁涙境。この街で起きた三つの難事件、“希望街の妊婦殺害”“幸運街の殺人鬼”“無用街の暗殺”。“月光祭”の最中に現れた怪人残酷号によって破壊された禁涙境を戦地調停士―EDが訪れた時、これらの真相と共に、禁涙境の真実も明らかとなる。 ポルト 禁涙境の副市長。 元は禁涙境に流れ着いた難民だったが、青年時代にダイキ帝国にて奨学生として教育を受けた後、議会の役人として禁涙境に戻った。若い頃から月光祭を始めとした街の行事にも携わるほどに有能な人物であり、残酷号の襲撃によりショックで寝込んだ市長に代わって、街の再建に、EDやフロスなどの応対にと奔走している。ルシェムジータにも雑用仕事を日雇いで依頼していたこともあり、マーゼフには多大な尊敬と信頼を寄せている。 マーゼフ 全ての難事件に携わった、禁涙境の警護官。 28年前、所属する辺境警備隊より禁涙境へ派遣されて以降、長年に渡って街の治安を守る職務に忠実に働いて来た人物。その勤勉さと気さくさで住人達は勿論、一時は補佐官としていたニーガスアンガーやウザクの信頼も厚い。 イーヴ・ハーヴ 世界最高の天才舞踏家ながら、月光祭の大トリを務める慈善家。 わずか5歳で既に帝国舞踏学校の教師陣が追従し、名立たる舞踏品評会で賞を総嘗めにした才能の持ち主。その後も自らの成長と年齢に合わせて独自に肉体と踊りを磨き、常に最高の舞を築き上げて来た。名実共に世界一の舞踏家となった現在も、高額な依頼より戦地への慰問公演を率先して引き受け、禁涙境でも月光祭を始め定期的に公演を続けている。既に中年に差し掛かった今も10代を思わせる若さ、周囲の目を釘付けにする美貌、名声に恥じぬ優雅な風格を併せ持つ。 ウザク・ボーエン 世界最大の中古魔道器具流通市場―無用街の創始者。“希望街の妊婦殺害”の第一発見者であり、“無用街の暗殺”の被害者。 元は戦災孤児で、戦争商人の荷物運びの日雇い仕事にやって来た禁涙境で、15歳の時に自ら商売を立ち上げる。商売哲学は「ここで不要なものでも、他では売り物になる」というもので、「この世に無為無用の物は存在しない」が口癖。発想力を始め、あらゆる組織や軍と均等に渡り合う外交力にも優れ、共に無用街を興したニーガスアンガーやマーゼフとも親交が深かった。 禁涙境の何でも屋となっていた17歳の時、メラメルを出産のために秘密裏に禁涙境外に連れ出したいというチーゼルトの依頼を受けたことで、チーゼルトとメラメルの惨殺死体および生後間もない赤ん坊の第一発見者になってしまう。その約30年後、無用街の創始者として禁涙境の6割を仕切る顔役の一人となりながら、会食直後に同席者であったモニカの目前で暗殺されてしまう。 チーゼルト 禁涙境屈指の娼館通り―後の希望街で人気の娼館の主人。“希望街の妊婦殺害”の被害者の一人。 メラメルを秘密裏に禁涙境外に連れ出すという依頼のために訪れたウザクに、血溜まりに散らばるバラバラ死体となってメラメルと共に発見される。 メラメル・キーナ 禁涙境一の人気を誇る、チーゼルトの娼館の娼婦。“希望街の妊婦殺害”の被害者の一人。 容貌は十人並、丸みを帯びた肉付きの良い体つきやそのおっとりとした気性は鈍重でさえあったが、客層に戦場へとんぼがえりの兵士が多い娼館において、触れる男達を落ち着かせるような個性は多大な人気を博した。予約は常に数か月待ちで、メラメルを買えるのは高級士官のみだったと言われている。 事件当時は既に一目で妊娠と分かるほどに腹が膨れており、その稼ぎから特別に出産を許され、秘密裏に禁涙境外に連れ出される筈だった。が、その依頼のために呼び出されたウザクにより、血溜まりに散らばるバラバラ死体となってチーゼルトと共に発見される。 マクマラス 禁涙境の幸運街に店を構える、刺青屋。 左胸に持つ紋章を埋没させるのに全身に刺青した、オピオンの子供たちの一人。ニーガスアンガーに刺青の手解きをし、遥々リレイズから訪ねて来たEDが刺青を依頼した、寡黙で無愛想な人物。 ルシェムジータ 元名門貴族の嫡子。幸運街の殺人鬼。 幼い頃のヒギリザンサーン火山の噴火によって領地が壊滅、さらに他国の侵攻によって土地そのものが没収され、禁涙境に流れ着いた一族の末裔。財産を持ち込んで来られた上、母親が暇に飽かして希望街の娼婦となったことで、働かずとも安定しているが怠惰な生活を送り続ける青年。左右対称のものが苦手という性癖を持ち、それゆえに隻眼の女に惹かれる。月光祭の直後、唐突に隻眼の女を殴殺したのを皮切りに、幸運街と希望街の世間に縁の薄い女を狙っては次々と惨殺し、顔を潰して非対称にしては、小指を切り取って持ち歩くようになってしまう。 隻眼の女 幸運街の占い師(禁涙境内なので魔導は用いず、あくまで統計による運勢鑑定)。 左眼の上から顔の半分に掛けて大きな傷があり、左眉も歪んで左右非対称の顔となっている。またオピオンの子供たちであるため、露出の多い服から剥き出しにした肩には、オピオンの紋章を刺青している。 モニカ・スート 十字線の塔のタイル補修にやって来た建設作業員。“無用街の暗殺”唯一の生き残り。 代々、世界中の古くなった大規模建築物の補修・解体を行う“古築請負”という稼業の棟梁を務めるスート家の娘。わずか17歳ながら周囲の信頼は厚く、彼女が跡目を継ぐのを誰も疑っていない。本人は、16歳まで入っていた学校の寄宿舎を出て、家の仕事に付いて回っている現在も、跡を継ぐか否か思案中。天真爛漫で、肝も据わった少女。十字線調査の依頼で、臨時に現地雇用された15歳の作業員助手としてスート家に紛れていたロザンとも顔見知り。 ウザクから十字線の補修について質問を受けた会食の直後、暗殺に遭遇。やって来たロザンと、暗躍していたネイティスにより、辛くも暗殺者からの口封じの追撃を逃れる。その数ヵ月後、残酷号により破壊された十字線の塔修復を全面的に依頼された事で、禁涙境を再訪することになる。 ワイカード 禁涙境の月光祭の下っ端の祭祀実行委員。 禁涙境をふらつくサトルに降り掛かった祭のトラブルに偶然気付き、仲裁した青年。2か月ほど前に、長年付き合っていたと思っていた彼女に二股を掛けられていたことが分かり、あっさり振られて未だ傷心。 アノー 禁涙境の古物商。月光祭の“銀幌駆け”の走者。 ダイキ帝国軍を退役後も故郷に帰る気になれず、短い休暇に度々訪れていた禁涙境で、なんとなく暮らしている。3年前から付き合いで連続出場して来た銀幌駆けで、昨年は3位になったことで、この一年間は入念な調整を続けて上を目指している。 エルウィンド・リーチ ある軍の少尉であったこと以外の公式記録が一切ない、十字線を築いた無名の戦場魔導士 自らの小隊を率いての敗走中、任務放棄だとして自軍の攻撃を受けたため、辿り着いた4本の塔の遺跡を利用して姿を隠す隠蔽呪文を施した折に、偶発的に十字線を築いてしまった人物。その十字線の特性で攻撃をやり過ごすだけに留まらず、周辺軍との非戦条約を締結して一先ずの安全を確保させたものの、祝いの宴中に下方から突然飛んで来た矢を胸に受け、若くして絶命する。命を落としたのがリーチの演説半ばであったことから、最後の一節であった『諸君、泣くのはよそう。涙は禁止だ。』が禁涙境の名の由来となった。
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