浪速大学第一内科関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 08:16 UTC 版)
「白い巨塔の登場人物」の記事における「浪速大学第一内科関係者」の解説
里見 脩二(さとみ しゅうじ) 演 - 田村高廣(映画版)、根上淳(67年版)、山本學(78年版)、平田満(90年版)、江口洋介(03年版)、松山ケンイチ(19年版) 職業 - 浪速大学医学部付属病院第一内科助教授→近畿がんセンター第一診断部次長(03年版は千成病院内科医長、19年版は関西がんセンター先端医療研究所医師) 詳細は「里見脩二」を参照 鵜飼(うがい) 演 - 小沢栄太郎(映画版、78年版)、河津清三郎(67年版)、丹波哲郎(90年版)、伊武雅刀(03年版)、松重豊(19年版) 職業 - 浪速大学医学部付属病院第一内科部長・教授(老年内科専攻)兼浪速大学医学部長→浪速大学学長 (03年版) 映画版では鵜飼雅行(うがいまさゆき)、1978年版では鵜飼雅一(うがいまさいち)、2003年版では鵜飼良一(うがいりょういち)、2019年版では鵜飼裕次(うがいゆうじ)の名称でそれぞれ登場。 国立浪速大学医学部長(2003年版では後に学長に昇進)、ならびに同大医学部第一内科部長・教授。老年内科を専攻し、政財界に太いパイプを持ち政治力を駆使して医学界に君臨している。駆け引き上手な人物であり、医学部付属病院新館建設などを目指して第一外科教授の東と協力、中央官庁との折衝を行ってきたが、定年退官の迫った東に対して徐々に距離を置き、次期教授をいかに派閥に取り込むかを目論むドライな人物でもある。学究肌の里見とはあまり肌が合わず、その融通のきかなさをもてあましている。 東の後継教授をめぐっては、当初は自身が胃癌疑診として診断した患者を里見が脾臓癌疑診と診断し、財前がこれを執刀した経緯があり、財前に対してはどっちともつかぬ態度を取っていた。ところが、同期生である大阪市北区医師会・岩田重吉会長を通じて財前の義父・又一に会い、強烈なアプローチを受け、財前を自分の派閥に取り込む事が自分にとっても有利であると判断し、財前支持に傾く。教授選では想定外の病理学・大河内教授の参加や整形外科教授・野坂の葛西候補擁立に当惑しつつもなんとか財前を候補に選定。配下ともいえる産婦人科教授・葉山を参謀に臨床科目を固めると共に基礎の一部へも切り崩しをかける。決選投票の際は佃・安西の金沢大学への乗り込みや岩田、又一による大河内教授への贈賄未遂に悩まされつつも、財前を次期教授に当選させる。 財前が誤診で民事訴訟を起こされた際は、一度は見限りかけたが、ここで財前を敗訴させたら自分にも傷がつくと、河野弁護士に弁護を依頼。鑑定人の大河内教授や証人の里見への働きかけには失敗したが、鑑定人の洛北大学・唐木名誉教授に内々に依頼する。財前は勝訴し、原告側に有利な証言をした里見へは研究者としての命脈を断ち切る山陰大学教授という過酷な報復人事を課す。里見は辞表を提出したが、世論を気にして受理せず、中途半端な状態に置く(後に里見は大河内の計らいで近畿がんセンターに就職)。また、学術会議会員選では、従来は全国区は浪速大学系列、地方区は洛北大学系列という取り決めを無視、地方区で立候補する洛北大学・神納教授の内科学会における台頭を抑えるべく、地方区の候補者に財前を擁立。葉山に工作をさせて教授会を強引にまとめ、財前の尻を叩きながら医師会、同窓会、系列大学などと連携し、積極的に選挙運動を展開。野坂の背反行為に肝を冷やしつつも、医師会に働きかけて強引に私学連合の候補者を辞退に追い込んでその票を入手。財前は当選する。 財前が病に倒れた際は、金井達夫の報告を受けて第二外科の今津教授、放射線科の田沼教授と協議。前任教授の東に執刀を依頼する。危篤の報を受けて病室に駆けつけ、肝性昏睡で意識混濁の中にいて、死に際して利害得失を考慮する必要がなくありのままの心情を吐露する事が可能になった財前から「用はない、あっちへ行け。」と面罵されるも、その臨終に立ち会った。なお、財前から面罵された時、無理やり選挙に立たせてしまった結果財前が癌である事を気づかせる機会を逸してしまった、と良心の呵責に苛まれる。2003年版 原作に比べて冷酷かつ腹黒い面が強調されて描かれる。佐々木庸平の遺族に解剖を承諾させないように目論見、わざと慇懃で誠意を感じさせない態度で解剖の承諾を求める事によって、遺族が病院への不快感と反感を抱く事を計算し、遺族側から解剖の申し出を敢えて拒絶するよう仕向ける。しかし、自ら佐々木一家の帰りを見送った事で、自身の顔と医学部長という肩書を知っていた葬儀社員が「教授で医学部長の人が見送るのは医療ミスがあったとき」と遺族に指摘した事で庸平の解剖が一転して行われる事となり、自ら墓穴を掘ってしまった。 財前が病に倒れ、精密検査で肺がんに罹患した事が判明した際はすぐに告知し、なおかつまだ初期段階だから問題は無いと語った。しかし東の執刀する手術の最中、実際の肺がんの病巣がCT検査の時には映らなかった、広く深く進行していたステージⅣという末期段階のものである事が判明し、今後の方針を話し合うする場においては既に肺癌と告知済みである事から全てを打ち明けるという結論にまとまりかけるが、ショックのあまり事実を受け入れられない又一が隠すよう懇願し、これまでの又一との関係も考えて受け入れた。東と金井による財前に隠すのは不可能だと最後まで反対する声にも「最大限の努力をして隠し通しましょう」との鶴の一言で箝口令を敷く方針を決定した。 その後、自宅では妻の典江に財前が助からないと打ち明けた上で「所詮この程度の男か…」と見限る発言をした。財前が危篤状態となった際には病院の外で東に対して後任教授の人事について話を持ちかけるがそれに憤った東から「財前君は生きています」と叱責される。その後、病室に駆けつけた際には財前を心配するそぶりを見せたが意識や記憶が混濁した財前から「誰だ君は?あっちへ行きたまえ」と言われ、周囲が即座にフォローに入るものの今度は「用はない。出て行きたまえ!」と一喝され、思わず後ずさった。その後、又一が財前を里見と2人きりにしてやろうと提案した際には、病院の重鎮としてのプライド故か退室を躊躇ったが、最後には東に促され、ほくそ笑みながら他の医局員をおしのけて退室した。 2019年版 原作及び過去の映像化作品と比べて冷酷な部分が抑えられている。 芦川(あしかわ) 職業 - 浪速大学医学部付属病院第一内科助手、ミュンヘン大学留学中 谷山(たにやま) 演 - 堀内正美(78年版) 職業 - 浪速大学医学部付属病院第一内科医局員 1978年版に登場するオリジナルの人物。柳原とは学生時代からの同期。 第一内科の里見助教授に心酔しており、里見の事を「医師である前に、人間とはどうあるべきかの基本を教えてくれた」と語っている。歯に衣着せぬ言い方から、第一外科の医局員とは度々衝突を起こしている。一審の際は柳原の置かれている状況を見抜き、「いい加減な証言をしたら、苦しむのは君自身だ」と忠告を行い、それ以降も真実を話すように諭す描写がある。その一審で柳原が真実を最後まで話さなかった事に悲憤慷慨し、判決が下り大学が無罪判決を言い渡された日に食堂で逆上して昼食中の柳原を激しく責めるあまり他の医局員を巻き込むほどの大喧嘩を起こして、佃達から口々に罵倒されると捨て台詞及び柳原への怒りの忠告を残し去っていった。その後、里見が浪速大学を退職すると同時に共に近畿がんセンターへ転じた。 竹内 雄太(たけうち ゆうた) 演 - 佐々木蔵之介(03年版) 職業 - 浪速大学医学部付属病院第一医局員 2003年版に登場するオリジナルの人物。柳原とは学生時代からの同期。父親は開業医。 第一内科の里見助教授を慕いながらも、学究肌の里見が医学部長の鵜飼教授と度々衝突する事を危惧している。また、里見の政治力のなさや、頑固な性格に呆れているような描写も見られる。 第一外科・財前教授が佐々木家に訴えられた民事訴訟で、原告側証人として出廷した里見が、鵜飼の報復人事を嫌って浪速大学を辞職しようとする際、里見を慰留。この際、「(休日まで実験室に通うような)里見先生のようにはなれない」と涙ながらに訴えた。 同期の柳原とは仲が良く、悩みを相談し合ったり、仕事帰りに柳原のアパートで一緒に食事をしているほどの仲。一方で柳原が医学部内の封建的風潮や、財前と前第一外科教授の東との確執に鈍感な事に対して、何度も苦言を呈している。柳原が裁判で真実を話すべきか煩悶していた際には彼の立場を理解した上で「お前、真実を話したらクビどころか偽証罪に問われるぞ」と釘を刺した。その柳原が真実を証言した事や亀山君子が財前の誤診の決定的な証拠を提出した事で財前は敗訴、結審後肺癌に倒れた財前の手術にも立ち会う。財前の不正に関わった柳原が浪速大学を辞める事を聞いた際には忠告を聞き入れなかった件も含めて「お前も自分で嘘をついたのではないか」と柳原を責めるが、柳原は「(財前に関わった)自分が一番許せないから辞める」と返して去っていった。 特別版でも登場し、贖罪のために外科医師として浪速大学に残留した柳原に対し「お前、成長しないな」とからかいつつも温かい視線を向けている。
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