後退翼モデル
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「セスナ サイテーション」の記事における「後退翼モデル」の解説
サイテーション III(英語版) (Model 650 Citation III) 初飛行1979年。FAA型式証明1982年。引渡し開始1982年。全く新設計された高速中型機。最大の特徴は飛行性能、高々度ではクラス最速(最大運用速度 M0.83)。直線翼のサイテーション・シリーズは、操縦の容易さとファンエンジンの経済性で新たな市場を開拓し、その後も性能向上を続けてきたが、より上位の市場(ギャレット社製TFE731エンジンを装備するクラス)にはゲイツ社製リアジェット35やダッソー社製ファルコン10などの競合機が覇を競っており、これらの高性能機と張り合って市場で一角を担うには全く新しい機体が必要であった。サイテーションIIIは全く新しくゼロから開発された新しいサイテーションであり、狙うクラスにおいては後発機の強みとして、先達ライバル機とは少し異なったアプローチが為されている。新しい技術を採用し、徹底的な主翼効率追求の為のスパークリティカル翼断面や平滑な表面仕上げを採用、その主翼は翼桁(Carry Through)が胴体外部を通るような低い位置にレイアウトし、胴体断面を有効利用することで居住性を追求、誘導抵抗軽減の為の大きなフェアリングが主翼接合部のみならず胴体をも覆うというのはビジネス機としては全く新しい手法であった。こういった諸々が功を奏し、同出力エンジンの装備機に比べて高高度では圧倒的な高速性能を誇った。試験飛行中には軽いダイブでM0.90を記録している。サイテーションIIIは「高性能で高価」な機体であり、それまでの「手軽で安価」というサイテーション・シリーズのブランドイメージを一新した。この高速巡航性能の追求というコンセプトは、後のサイテーションX(後述)に引き継がれていくことになる。初期の顧客にはプロゴルファーのアーノルド・パーマーがおり、この飛行機を「III番アイアン」と称し自ら操縦を楽しんだそうだ。 サイテーション IV (Model 650 Citation IV)はIIIの改良型として提案されたが、セスナ自身によって中止された。 サイテーション VI (Model 650 Citation VI) (Model 650)アビオニクスの変更、内装デザインのカスタム対応を行わないことによる、IIIの低価格版。サイテーションVIは1990年代初めに登場。 サイテーション VII (Model 650 Citation VII) (Model 650)は1992年から2000年までの間に生産された、IIIの改良型。さらに飛行性能を高め、強力なギャレットTFE731-4ターボファン・エンジンを装備し上昇性能と速度性能が良くなった。機体形状は有害抵抗が少なくなり、巡航速度は885km/h。型式証明の取得は1992年3月。 サイテーション X (Model 750 Citation Ten) 初飛行1993年、引渡し1996年、発売当初の価格は1,200万USD。M0.92で巡航可能な高速機、大西洋横断可能な航続距離も誇る。超音速旅客機コンコルドの退役後は、2008年までは世界最速の民間航空機であった。2008年に登場したガルフストリーム社製G650モデルの巡航速度はM0.925である。サイテーションXの高速巡航を可能にしているのは、高出力エンジンと高速性能を追求した後退翼。搭載しているアリソン3007Cターボファンエンジンは、サイテーションIVなどのギャレット社製TFE731と比べて推力は64%増しと高出力であるが、同時に大きさは2倍近くもある巨大エンジン。高々度飛行において高出力・低燃費、低騒音で2,500時間もしくは5年間の保証に耐える信頼性を備える。ボーイング777の主翼設計チームの協力を得て開発されたという主翼は、後退角37°(ビジネスジェットでは最も深くボーイング747に近い)のスーパークリティカル翼で、主翼上面の衝撃波の発生を遅らせるような工夫がされている。胴体も速度を出す為に、抵抗を可能な限り減らす形状をしており、同程度の出力のエンジンを装備する飛行機より明らかに断面が細く、キャビン容量よりも速度性能が重視されたことが分かる。胴体下面フェアリングは主翼の付け根部分でふくれ、機首下面から尾部までつづき、胴体が発生する有害抵抗を抑える複雑な形状、胴体はサイテーションIIIのものを基本とし、キャビン長はやや長くなっている程度であるが機体全長はかなり長くなっており、整流の為にそれだけの長さが必要であったのであろう[独自研究?]。試験飛行では軽いダイブでM0.99の最高速度を記録している。サイテーションXに一度でも乗れば、パイロットも乗客もその性能に魅了されたという。巡航速度が速いことで知られるボーイング747旅客機を見下ろしながら高速で追い抜いて行くと、追いぬかれたパイロットは決まって「いま上を追い抜いて行った飛行機は何か?」と聞くのだそうで、管制官が「サイテーションX」であることを告げると皆黙ってしまうのだとか[要出典]。1997年、サイテーションXの設計チームはコリアー・トロフィー授与(セスナ社2度目の受賞)「理想のビジネスジェットの設計、開発、型式証明取得に成功し、アメリカ航空史上初めてM0.92の高速巡航性能を持つ航空機を実現させた」が受賞理由。 サイテーション・ソヴリン(英語版) (Model 680 Citation Sovereign) サイテーションXの胴体を延長、新設計のスーパークリティカル翼、PW306Cターボファン・エンジンを装備。最大巡航速度822km/h。代表的な巡航は12,500m/M0.75、13,700/M0.70。最大航続巡航M0.68では米大陸横断が可能。このクラスとしては最大のキャビンを誇り、キャビン長はサイテーションXより12cm長く、容積はライバル機との比較で20%~40%増し、手荷物室も拡大されている。ペイロードは最大1,130kg、フルタンク時725kg。価格が割安な点がセールスポイントのひとつであると云われ、「最も安く、最も大きく、最も遠くまで飛べる中型機である」とはセスナ社の弁。 なお宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2011年より導入するジェット飛行実験機の母機としてサイテーション・ソヴリンを導入し、「飛翔」の愛称が公募によって決定された。モデル680Aサイテーション・ラティテュードはモデル680の廉価版として2014年2月18日に初飛行、キャビン容積を縮小し(客席数12→9)航続距離も若干短くなっている。 サイテーション・コロンバス (Citation Columbus) (Model 850) 大陸間横断が可能な航続性能とさらに大型化されたキャビンの快適性を追求した新たなサイテーション。このコロンバスはサイテーションはビジネス機の世界で上から3番目のクラス(1番上のクラスは旅客機を改装したビジネス機、ボーイング社製BBJ機など。2番目のクラスはガルフストリームやグローバルエキスプレスなどの太平洋横断機。その次の3番目のクラスにはダッソー社製ファルコン900やホーカー社製ホリゾンなどの競合機が属する。)への挑戦であったが、2009年に開発中止となった。
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