役割語としての大阪弁とは? わかりやすく解説

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役割語としての大阪弁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 08:42 UTC 版)

大阪弁」の記事における「役割語としての大阪弁」の解説

漫画ドラマなどのフィクションの世界において、大阪弁および関西弁一定のステレオタイプを伴う役割語として描かれることがある。「役割語の提唱者である金水敏は、大阪弁を話す登場人物がいたらほぼ間違いなく、以下のステレオタイプ1つ2つ以上持っている述べている。また、ステレオタイプ役割語表現者意図した、あるいは意図しない偏見差別意識伝え場合があると指摘している。 冗談好き、笑わせ好き、おしゃべり好き けち、守銭奴拝金主義者 食通食いしん坊 派手好き 好色、下品 ど根性逆境強くエネルギッシュにそれを乗り越えていく)なお、大阪では本来、「ど根性」とは悪い根性意味するであった。本来の大阪弁現在のど根性」のニュアンスに近い語は「土性骨」である。 やくざ、暴力団恐い 2から6はいずれも、直感的現実的な快楽欲望なりふり構わず肯定追求しようとする性質と結びついている。それは周囲常識人から顰蹙を買い、嘲笑軽蔑対象となるが、一方で1と結びついて愛すべき道化役となり、また偽善権威理想規範といった縛り笑い飛ばす役回りにもなる。すなわち、ステレオタイプ大阪人関西人トリックスター役どころ与えられていると金指摘する。 1から6のステレオタイプは、江戸時代後期には既に相当完成されていたとされる江戸時代上方では現実的経済性重んじる気風があり、また商交渉円滑にするため饒舌歓迎されていたと考えられる。これは禁欲主義理想主義行動主義的寡黙な人格好まれる江戸とは対照的であった。特に商都大坂から江戸へ金儲けやってくる上方商人達の姿は「宵越しの銭は持たぬ江戸っ子にとって強く印象的だったろうと考えられるまた上方の人形浄瑠璃芸風ステレオタイプ形成影響与えた考えられる十返舎一九東海道中膝栗毛』に登場する喜多八の「惣体上方ものはあたじけねへ。気のしれたべらぼうどもだ」という台詞当時江戸から見た上方者イメージの例と言えよう。 近代になると、大阪ではエンタツ・アチャコを中心に漫才急速に発展しラジオ通じて日本全国人気博した。また戦後テレビにおいても『番頭はんと丁稚どん』や『てなもんや三度笠』などの上喜劇番組盛んに放送された。こうしたマスメディアでの発信大阪弁関西弁浸透日本全国促すとともに、「関西人お笑い」が固定化されていった考えられる。またこの同時期に菊田一夫戯曲がめつい奴』や花登筺の「根性もの」がブームとなり、「関西人=どケチど根性」が固定化されていった考えられる中井精一は「大阪弁面白く大阪お笑いだ。このイメージは、80年代漫才ブーム火付け役になり、90年代になって一般に普及していった。これは見方変えると、90年以降バブルはじけて多く中小企業倒産し大阪凋落決定的になったことと同一線上語られる現象で、成功者激減した大阪は『ど根性』から『どあほう』の街へ全国人々イメージ変容させたとも言えそうである」と記述している。 最後の7は戦後になって形成された、比較新しステレオタイプである。江戸時代・明治時代においてはべらんめえ口調喧嘩っ早い江戸っ子比べて上方者は気が長く柔弱であるとされていた。泉鏡花が「草雙紙現れたる江戸女の性格」で同様に評している。福澤諭吉は「元来大阪町人極めて臆病だ江戸で喧嘩をすると野次馬出て来滅茶苦茶にしてしまうが、大阪では野次馬はとても出てこない。」と福翁自伝にて述べている。 関西言葉について谷崎潤一郎は、1932年昭和7年)に随筆「私の見た大阪及び大阪人」にて、「関西婦人は凡べてそういう風に言葉数少く、婉曲に心持表現する。それが東京比べて品よくも聞え、非常に色気がある。(中略猥談などをしても、上方の女はそれを品よくほのめかしていう術を知っている東京語だとどうしても露骨になる。」と記している。織田作之助1947年昭和22年)「大阪可能性」において「私はかねがね思うのだが、大阪弁ほど文章書きにくい言葉はない。」とし、「大阪弁というものは語り物的に饒舌にそのねちねちした特色発揮するが、やはり瞬間瞬間感覚的な表現を、その人物の動きと共にとらえた方が、大阪弁らしい感覚が出るのではなかろうか大阪弁は、独自的に一人喋っているのを聴いていると案外つまらないが、二人乃至三人の会話のやりとりになると、感覚的に心理的に飛躍して行く面白さ急に発揮されるのは、私たち日常経験している通りである。」と評している。 「関西人暴力的」のイメージは、1950年代から1970年代にかけて、今東光の「河内もの」、『極道シリーズ』に代表される関西舞台やくざ映画、『嗚呼!!花の応援団』や『じゃりン子チエのようなエネルギッシュな漫画作品流行などによって形成されたと考えられるその後1980年代には映画さながら抗争事件グリコ・森永事件などの凶悪犯罪関西多発し新聞ワイドショー連日賑わせるなかで「関西恐い」のイメージがあおり立てられた。 これらの印象付け木津川計は「マスコミでは、ふだん、大阪のことは全国記事になりにくいのに、暴力団の抗争警官不祥事などというとすぐに大き扱いとなる。これでは大阪印象良くならない」「イメージひとり歩きが『文化テロル』に繋がる」と指摘している。また、関西大学副学長黒田勇もスポーツ紙から次第一般化したと、役割語としての関西弁広がり指摘する大阪取り上げ在京マスコミ姿勢そもそも、「あくまで関東人にとってのステレオタイプ大阪」しか求めようとしないという指摘もある。

※この「役割語としての大阪弁」の解説は、「大阪弁」の解説の一部です。
「役割語としての大阪弁」を含む「大阪弁」の記事については、「大阪弁」の概要を参照ください。

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