富山市茶屋町において
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「富山県立図書館」の記事における「富山市茶屋町において」の解説
上述のごとき富山県立図書館の発展は、一方において従来の館舎の限界を来しつつあり、書庫の狭隘によって1963年(昭和38年)5月10日には新聞閲覧室を閉鎖し、翌1964年(昭和39年)7月1日には第二会議室をも書庫に転用せざるを得なくなった。すでに富山県立図書館は従来の館舎から新設の富山県民会館に移転包摂せらるべしとの意見は出ていたものの、1962年(昭和37年)2月5日に財源不足や県立図書館としての使命を果たしえないとの理由を以て計画は中止されていた。ここにおいて吉田実は明治100年記念事業として富山県立図書館の館舎新設を公約として富山県知事選挙に出馬し、1964年(昭和39年)9月15日に3度目の当選を果した。国道8号沿い、国道41号沿いなど10か所ほどの候補の中から、水火の災害に強く、広大なる敷地を供し得る好条件の土地を探した結果、呉羽山茶屋町地内の富山市有地が適当であるとの結論に至り、1968年(昭和43年)1月13日にボーリング調査に着手、同年8月12日に起工式を挙行した。かくて1969年(昭和44年)7月13日に旧館舎は移転作業のため休館し、同年9月22日に新館舎の開館式を挙行、同年9月24日より一般閲覧の業務を開始した。新館舎はモダンな外観で、ガラス越しに見える打ちっ放しの鉄筋コンクリートや斜め格子の梁構造が評価され、第1回富山県建築賞を受賞した。 茶屋町の新館舎においては表町の時代にあったような参考室や学習室、あるいは児童室や産業資料室といった個室を設けず、閲覧室の一元化を図り、3万冊の開架図書と100席の閲覧席を設備して、閲覧室内のサービスカウンターにおいて調査相談の依頼を受付けることとした。また、中高生らが閲覧室を自習目的で使用することを禁止し、ロビーにあった受付で筆記用具以外の持ち込みを禁じていた。これは富山県立図書館が「調査研究のための図書館」であると位置づけられたための措置であるが、これと共に一般利用の拡充を図るために住所氏名を記入する入館証を廃止し、貸出期間を14日に延長して郵送による返却を認めるなどの改革も行われた。これによって1973年(昭和48年)度に至って貸出登録者及び貸出冊数は市街地に所在していた時代の水準を超過し、調査相談の依頼件数は7倍に増加する実績を挙げた。 館外奉仕活動である移動公民館事業は、1963年(昭和38年)4月25日に移動図書館と改称され、家族ぐるみの読書が行われるように選ばれた本を巡廻させる家庭文庫の普及に重点を置くようになるなど、時代の進展と共に種々の改革が行われていたが、1981年(昭和56年)に東礪波郡平村、同郡上平村、婦負郡山田村、同郡細入村及び中新川郡舟橋村において各々村立図書館が開館したように富山県全域において読書環境が整備されると共に、移動図書館は富山県立図書館から各市町村図書館に移管させるべしとの声が高まりつつあった。かくて移動図書館は1984年(昭和59年)度を以て廃止され、代って1970年(昭和45年)10月7日から運行を開始した各市町村図書館との相互貸借を促進させる目的を有する連絡車事業に重点が置かれるようになった。連絡車はひとり相互貸借書籍を運搬するのみならず、富山県内の書誌情報収集や各市町村図書館間における相互提携に効を奏し、「図書館のための図書館」という市町村立図書館に次ぐ第二線的存在としての富山県立図書館の役割を発揮することとなった。 コンピューター技術の登場と進展と共に進められつつあった図書館における電算技術の導入に対応するため、1983年(昭和58年)9月には金沢工業大学ライブラリーセンター支援の下、北陸3県の公共図書館が協同する北陸公共図書館コンピュータ化推進協議会が発足し、1988年(昭和63年)6月14から図書に対するバーコード貼付作業に着手、1990年(平成2年)4月25日からその本格的稼働を開始させた。1994年(平成6年)10月28日は総合目録編成をコンピュータパッチ処理システムにより自動化した。1997年(平成9年)6月にはホームページを開設、同ホームページにおいては1998年(平成10年)3月より総合目録であるOPACを公開し、2002年(平成14年)10月1日に携帯電話対応ホームページを開設、2005年(平成17年)3月1日に貴重資料の画像提供を開始させ、2009年(平成21年)12月16日からはインターネットからの図書予約に対応するなど、インターネットにおける図書館活動も順次拡充されている。 茶屋町に開館してからも蔵書の増加による狭隘や施設の老朽化によって施設の整備拡充が行われており、1987年(昭和62年)3月26日には書庫増築及び構内環境整備事業が完了し、1998年(平成10年)10月21日には増築棟及び資料センターが竣工している。
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