ボーリング
(ボーリング調査 から転送)
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ボーリング(英語: boring、英語発音: [ˈbɔrɪŋ])とは、円筒状の穴を穿つ(英: bore)こと。またドリルで開けられた穴を大きくする過程のこと。
機械加工の用語としては、日本語では中ぐりとも言う。機械加工では通常、単刃(シングルポイントカッティングツール)が用いられる。一例として大砲の内筒のくりぬきがあげられる。穴の径をより正確にするためや、テーパー状の穴にするため、などといった加工を指す場合もある(en:Boring (manufacturing)。内燃機関のボーリング加工についてはボアアップも参照)。
トンネルや井戸など主に地中に円筒状の穴を掘削する作業を指す用語としては、日本語では試錐(しすい)もしくは鑿井(さくせい)などと言うこともある[1]。地質調査、農業、水文学、土木工学、石油、天然ガスなど産業、学術のさまざまな目的で行われている(en:Boring (earth))。この、土壌の掘削について本項で述べる。
概要
油田や温泉を目的とした掘削、地質やそれに含まれるものの調査を目的とした「ボーリング調査」が広く行われている。その他にも、主に学術調査の目的で、掘削船による深海底(深海掘削計画、ODP)や、極地や高緯度地帯の氷や凍土を対象としたボーリングなども行われている。穴を開けること自体が目的のものもあれば、円筒状のカッターにより円柱状の試料を採取することが目的のものもある。
由来
細長い筒状の掘削機器で大地に錐のように穴(bore)を開けることから、この名がある。一般には、ボーリング調査、ボーリング試掘などという。日本では日下部義太郎が1929年にボーリングマシンの改良発明をして国産化した。
コアの採取

ボーリング調査の際には、地表から到達点までの土壌をまるごと掘削機器内のパイプ(コアバレル、サンプラー、スプリットサンプラー、スプリットバレル、などと言う)に円筒状に取り込むこともできる。そのサンプルをボーリングコアとも言う。土壌サンプルから作られたその地点の地質断面図を、柱状図と呼ぶ。
ボーリングマシン
地面にねじ込む手動式の装置(オーガ)から、無限軌道を装着した大型自走式装置まで多様な機種が存在しているが、原理的には圧力や打撃もしくは回転力により掘削するものである。
- ロータリー・ボーリングマシン
- 主に、地質調査を目的としてコアの採取を行う際に用いる。
- ロッドの先を回転させ、注水を行いながら掘削を行う。
- パーカッション・ボーリングマシン
- 深度が浅く、砂岩や泥岩など比較的柔らかい岩質に用いる。
- 先端にビットが付いたロッドを打撃して掘削するため、コアの採取はできない。主にグラウト注入などの用途に用いられる。
- 打撃音(騒音)が生じるため、都市部や住宅街では避けられることがある。
- ロータリー・パーカッション・ボーリングマシン
- パーカッション・ボーリングマシンのロッドに回転力を加え、より掘削が容易になるよう改良されたマシンである。
- 深部や硬い基岩を掘削する場合に用いる。
脚注
参考文献
- R.P. マルソーフ 著、市場泰男 訳『塩の世界史』平凡社、1989年11月24日、250-281頁。ISBN 4-582-40803-6。
- “ボーリング調査とは?地盤強度を測る目的と調査結果の見方、費用”. 住まいの安心研究所. ジャパンホームシールド株式会社 (2019年3月26日). 2024年3月23日閲覧。
関連項目
- ボーリングマシン運転者
- 検層
- 標準貫入試験 - N値 (ボーリング調査)
- 採掘
- 検土杖
- 上総掘り
- BH工法
- トンネルボーリングマシン
- 地質学
- 地盤調査
- 土質力学
- 油田
- 中ぐり盤(中刳盤、boring machine)
- 削岩機
- 掘削機
- 井戸の掘削(鑿井、さくせい、さく泉)
- ローラーコーンビット、トリコンビット
- ドリルビット (鑿井)
- ケーシング (掘削)
- 噴出防止装置
外部リンク
- 『ボーリング(試錐)』 - コトバンク
- 『ボーリング』 - コトバンク
- 国土地盤情報検索サイト「KuniJiban」
ボーリング調査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 15:37 UTC 版)
「関門トンネル (山陽本線)」の記事における「ボーリング調査」の解説
トンネルの建設前に、関門海峡の海底に対してボーリングにより地質調査を行った。ボーリング作業は、水深が浅い場所では海底に杭を打ち込んで海面上に足場を仮設し、その上にボーリングマシンを据えて実施した。水深が深い場所では、従来は船やポンツーン上にボーリングマシンを据え付け、作業位置に錨を入れて固定して実施していたが、関門海峡の潮流は激しく到底1か所に浮足場を固定することはできなかった。そこで空気タンクを備えた鉄筋コンクリート製の櫓を建造し、タンクに圧縮空気を入れたときは海上に浮きあがって目的地まで船で曳航することができ、タンクから空気を抜くと海底に着底して櫓の上部が作業用の足場となるようにした。高さは約20メートル、重量約480トンある櫓で、1か所でのボーリング作業完了後は海峡の海流が向きを変える(転流する)時間帯を見計らって空気タンクに空気を送り込んで浮上させ、新たな作業地点へ曳航した。櫓は三菱造船彦島工場で製作された。作業に使ったボーリングマシンは、スウェディッシュ・ロック・ドリリング製のクレリウス式A-B型で、当初は日本国外から雇い入れた技術者の指導を仰いでボーリングを行った。 1919年(大正8年)から1920年(大正9年)にかけての調査では、田ノ首 - 新町線の計画経路に沿って4か所のボーリング調査を行った。続いて1927年(昭和2年)3月23日から1929年(昭和4年)7月20日までかけて、大正時代の調査とはやや異なる経路で19か所におよぶボーリング調査を行った。さらに1935年(昭和10年)8月13日から11月28日にかけて、弟子待 - 小森江線の経路を調査するため、下関側陸上2か所、海底7か所、門司側陸上6か所の合計15か所でボーリング調査を行った。この際海底ボーリングには、前回の調査後宇部沖ノ山炭鉱に譲渡されていた櫓を借り受けてきて使用した。この際は、田ノ首 - 新町線との比較であったため、実際の弟子待 - 小森江線経路上での海底ボーリング調査は4か所であった。
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