報酬・診療時の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 03:27 UTC 版)
「ブラック・ジャック (架空の人物)」の記事における「報酬・診療時の対応」の解説
ほとんどの場合、患者に高額の手術料を請求するため、無免許であることと合わせて医学界では評判が悪いが、公然と大学病院で患者の指名、あるいは病院の依頼により執刀をしているエピソードも描かれていることから、他の医師から頼られている部分もあるようである。 高額な治療費を請求するのは金持ちに限らず、患者が貧乏であってもほぼ同じである。その理由については、ある依頼主が「金額が高すぎて、私たち普通のサラリーマンじゃ払えない」と愚痴をこぼしたとき、「私は人の命を助けるための覚悟を確認しているんだよ。お前さんにはその覚悟はあるのか? 命が助かるならこんな金も安いもんだ」と発言している。また、高額な治療費を請求する一方で支払期限は一切設けず、長々と待ってくれることも多い。ただし、治療費を払おうとしない患者には借金取りのように付きまとうことも多い。 患者の置かれた状況によっては周囲に冗談と思われるほど低額の手術料しか受け取らなかったり、まったくの無償で手術を行ったこともある。また、患者の負傷・発症の原因が明確であれば、その原因を作った企業や団体に直接請求する。何らかの価値(金銭価値に限らず)を認めた物品を受け取ったり、無理難題を突き付けて手術料代わりにすることもあった。一旦受け取った高額の手術料のほとんどを、患者に返却することもある。ただし、慈善行為として困った人には低額、ないし無料で診療する旨を本人が明言したことは一度も無く、気まぐれで免除したかのように振る舞っている。妻の手術代を払えない夫と息子に対して、本人の申し出によるとはいえ容赦なく臓器を摘出させる誓約書を書かせたうえ、それを故意に紛失して紛失届を警察に提出したこともある。一度低額で治療を約束した後は徹底し、ラーメン1杯分代だけを請求した一文無しの患者が、後に裕福になって「望むだけの手術料を払う」と言ったにもかかわらずそれを断り、最後までラーメン1杯分にこだわった。 無免許であることを理由に警察に捕まった場合、釈放を条件に無料で手術することが多い。これを逆手にとり、ブラック・ジャックに何度も無料で手術させている刑事もおり、その刑事の一言でブラック・ジャックは嫌々ながらも毎回動くので、彼だけはどうしようもないと思っているようである。 また、完治した直後に何らかの事故などによって患者が死亡してしまった際は全額返却するか、治療費の受け取りを拒否する。例えば、銃殺刑にされた患者について治療費が用意されていたにもかかわらず、受け取りを拒否して立ち去っている。 少年時代に苦労した経験から子供には優しく、手紙を送ってきた子供の相談に無償で応じたりもしている。また、非常に義理堅くもあり、世話になった人物や恩人、その肉親、ピノコと親しい人物などに対しては無償あるいは低額で治療する。自分の無実を証言してくれた会社員を救うため、自動車、モーターボート、さらには病院までそのまま買い取ったことがある。動物に対しても同様で自分の命を救ってくれた熊のために数千万の金を惜しげもなく出したこともある。患者に対しても一度引き受けたからには献身的に治療し、回復後に家族のもとへ戻る途中に交通事故で患者が死亡してしまった際には事故を起こした人物を執拗に追いかけ続け、遺族に謝罪させたことがある。また、現代医療技術では治療の見込みのない若い夫婦のため、ソ連の極秘研究の冷凍睡眠装置の使用権を獲得してきたり、大富豪の老人が報酬とは別になんでも言うことを聴くといった際には、遺産目当ての若妻との離婚を勧めたりするなど、術後の経過や治療の過程はもちろんのこと、患者のプライベート面にもそれなりに思いやりを見せることもある。 生に対する醜い欲求などの利己的な動機に基づく依頼には、容赦なく高額な料金を即支払うよう請求する傾向がある。患者や周りの人物があまりにも悪質であった場合、最後まで治療する意志を見せなかったこともあり(第81話『宝島』、第88話『報復』)、第1話『医者はどこだ!』では不当に死刑宣告を受けた少年を救うため、本来の患者である非行少年を一切治療せず、結果的に見殺しにしている。 基本的に自殺を嫌う傾向にあり、勤務先の経費を男に貢いだために自殺しようとした見ず知らずの女性から、自殺用の毒薬を騙し取られた金額と同じ3000万円(同じ場に居合わせた患者の治療費)で買い取ったり、愛着のあるケヤキが切られることになった老人の自殺を察知して張り込み、自殺に踏み切ったところをすぐに助けて手術したり、目の前で飛び降り自殺を図った少年を本人の意思に反して手術したり、作り話を使って何人も自殺を思いとどまらせたりと、かなり徹底している。中には自分の患者(金貸し)の取り立てによって自殺に追い込まれた家族を救った際、治療費をほとんど請求しないどころか、金貸しの治療費として受け取った一家の財産に関する書類を「予防薬」として一家に返還したうえ、自身の取り分も返還させられて落胆する金貸しに対しても、今後の発病の際に無料同然で治療することを確約したことすらある。なお、自殺を嫌うといっても無条件で自殺志願者に優しいわけではなく、「助からないと言われて自殺するやつは生きてたって生きがいを持とうとしない」という叱咤を行なったこともある(第94話「侵略者(インベーダー)」)。その一方、自分が関知しない場での自殺、あるいは完遂済みの自殺については割り切っているようであり、一家心中した家族の遺体の皮膚を「誰も文句を言わないから」と手術に使ったこともある。 美容整形に関しては、有名アイドルの替え玉作りを頼まれた際、替え玉の方に「健康な人の顔をいじくるのは気が進まない」と諭すことが多いが、金さえもらえれば行うようである。また冤罪を着せられた看護婦の復讐のために、整形手術を本人の事前の承諾なしで行なった事もある(118話「きみのミスだ」)。 安楽死を商売とするドクター・キリコとはたびたび衝突しているが、彼自身も医者であることに加え、共通の目的のためには手を組むこともあり、お互いの腕は認め合っている(ドクター・キリコも決して安易な気持ちで安楽死を行っているわけではなく、安楽死はあくまで手の施しようのない重傷患者を苦痛から解放するために行う最終手段であって、通常は「治せる患者は治す」のが彼の基本方針である)。ドクター・キリコが謎の伝染病「グマ」に感染した際には、肝臓を半分切除する手術で彼の命を助けている。 以上のようにブラック・ジャックは膨大な金を稼いでいるように見え、ある闇組織は100億ドル稼いだと推測している。しかし、空き巣がブラック・ジャックの家に入った時は大量の現金や預金通帳を見つけられず、ある闇組織が金融機関口座を調べた時には1000万円程度しか確認されなかった。その一方、現金で20億円を即座に用意した場面もある(第211話「助け合い」)。金の使用方法は自然保護や老人ホームなどへの援助(第25話「灰とダイヤモンド」)、そして後述の不発弾処理の関係者に対する復讐用の資金などである。また、上記のように医療技術の研究についても使っているようでもある。作中に請求した最も多額の治療費は150億円であり、詐欺めいた方法ではあったが、話の流れからこれはしっかり受け取ったようである(第73話「こっぱみじん」)。
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