副都心線直通に伴う改造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 01:16 UTC 版)
「東武9000系電車」の記事における「副都心線直通に伴う改造」の解説
2006年(平成18年)10月から、2008年(平成20年)6月14日に開業した東京メトロ副都心線への直通に対応させるための改造工事が開始された。 最初に施工されたのは9102Fで、2007年3月28日付けで竣工し、同日より試運転の後、6月11日の有楽町線直通運用から営業運転を再開した。同年度の東武の事業計画で7本を改造するとの発表があり、翌2008年6月7日付けで竣工した9152Fをもって完了した。また、この改造と同時に客室内のリニューアル工事も行われた。改造は森林公園検修区において日立製作所と日本電装が共同で実施しており、車内にはそれぞれの会社名が明記されたプレートが取り付けられている。 2006年(平成18年)度9102F 2007年(平成19年)度9103F(6月 - 8月)・9106F(8月 - 10月)・9107F(9月 - 11月)・9104F(11月 - 12月)・9108F(12月 - 2008年2月)・9151F(1月 - 3月) 2008年(平成20年)度9105F(3月 - 4月)・9152F(4月 - 6月) 主な改造内容は以下のとおり。 外観前照灯のHID化。 前面下部にスカートを設置。 車外幕板部にスピーカー(乗車促進ブザー)を設置(新製時に設置済みの9050型を除く)。 行先表示器はフルカラーLED化を実施した(英字併記付き明朝体表示、前面運行番号表示は黄緑色のゴシック体。地下鉄線内でも西武6000系と同様の種別表示ができるようになり、「副都心線直通 地下鉄線内急行」といった表示も行うようになった)。右画像のように、2013年(平成25年)3月16日に直通運転が開始された東急東横線・みなとみらい線の行き先表示も用意されている。 パンタグラフをシングルアーム式に換装。 基本的な機器類に大きな変更点はないが、先頭車床下では副都心線乗り入れに必要な機器が追設されている。先頭車床下には新たにATO装置と戸閉制御切換装置を、クハ9000形・クハ9050形にはATO送受信装置(トランスポンダ)とATO車上子を搭載した。 車内内装9000型は車内のリニューアル工事も施工された。なお車齢の若い9050型では車内の一部の改修程度となっている。 室内の内張りを50070型同様の白色の高硬度アートテック基板としたものへ全面的に交換(9050型を除く)。 床敷物をグレーの難燃性ゴム材に、出入口部では黄色柄のものへ交換。 側窓のカーテンを、森林をイメージしたものに交換。 客用ドアの交換(9050型を除く)。ドアガラスは複層ガラス化された。 ドア脇の手すりを黄色に着色。 座席モケットを緑系(9050型は茶系)から青系の「キュービックブルー柄」(優先席は青緑色の「コンフォートグリーン」)に交換の上バケットシート化。 7人掛け座席に3+4人で区切るスタンションポールを設置。 座席横の仕切りをパイプ式から大型板(30000系後期車と同一品)に交換。 2号車の1号車側と、9号車の10号車側の車端部には車椅子スペース(他の副都心線車両とは反対の位置)を新設したほか、非常通報器を乗務員と相互通話可能な対話式に変更(9050型は新製時より設置済み)した。 連結面においては貫通扉を50000系と同一品に交換し、ドアクローザ機構を取り付けた。また、ドアストッパーは撤去された。 旅客案内用にLED1段表示の車内旅客案内表示器を客用ドア上部に左右交互に配置(千鳥配置)で新設し、合わせてドアチャイムも新設した。新たに自動放送装置の新設も行われた。 網棚は従来のものを再用している。 ドア付近のつり革の先に黄色いテープを貼り付け、車両番号、禁煙のプレートを新式に交換(9050型は未交換)。 乗務員室は、ワンマン運転対応用にほとんどの機器が更新されている。室内の配色をグリーンからダークグレーに変更。 運転台計器盤周辺は50070型とほぼ同じ設計のデスクタイプに変更し、主幹制御器はワンハンドル化された。マスコンテーブル周囲には各ワンマン運転用機器を、運転台左端にはノッチ位置表示灯などが設置された。また、上部にはホーム監視用の車上CCTVとミリ波画像受信機が新設された。 従来からのモニタ装置更新に合わせて運転台のモニタ表示盤はタッチパネル式の液晶モニター化し、車両状態の表示機能にサービス機器の制御機能を追加した。この表示器は東芝製の「モニタ装置」であり、表示内容は50070型のATIモニターと類似したものとなっている。 乗務員室背面にあった行先表示設定器を撤去(行先設定機能はモニタ表示器に内蔵)し、副都心線対応スイッチ等(ATC切換スイッチ・ATO運転モード(平常 - 回復)・ワンマン - ツーマン切換・仕切開戸操作器(電磁鎖錠用))を新設。 ワイパーを空気式から電動式化のうえアーム形状変更。 フロントガラスの日除け(遮光パネル)を巻き上げカーテン式に変更。 乗務員室仕切開戸を電磁鎖錠に対応させるために交換し、扉上部には通行表示灯を新設。 なお、副都心線への直通対応工事は9102F以降の量産車のみの施工となっている。試作車の9101Fは量産車とドア位置が異なるため、副都心線のホームドアには対応できないことから乗り入れは不可能となり、同線乗り入れ対応改造対象外となっている。そのため、2008年6月のダイヤ改正を控えた6月8日からは、「Y」マーク(有楽町線のみ入線可の車両を示すステッカー)を貼付し、原則として東京地下鉄直通運用に入らない東上線のみで運用されていた。2010年以降有楽町線各駅にもホームドアが設置されたため、「Y」マークを取り外し、東京メトロ直通運用から外れた。 リニューアル後の9050型の車内 LED式車内案内表示器(2021年10月) 副都心線対応改造車の運転台 更新改造車の車内銘板 ただし、リニューアル車の床敷物は本来はアルミ材を敷いた上でゴム製の床敷物を貼り付けるものであるが、現車ではアルミ材が敷かれておらず、鉄道車両の火災対策基準を満たさないことから、国土交通省より改善指示が出された。これに対し、東武鉄道は他系列を含めて2014年(平成26年)度上期までの予定で取り替えを回答している。
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