中期:プログレ時代:『狂気』『ザウォール』の成功とは? わかりやすく解説

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中期:プログレ時代:『狂気』『ザ・ウォール』の成功(1970年 - 1980年)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 22:30 UTC 版)

ピンク・フロイド」の記事における「中期:プログレ時代:『狂気』『ザ・ウォール』の成功(1970年 - 1980年)」の解説

1970年には『原子心母Atom Heart Mother)』を発表本作全英1位を記録し批評家筋からも絶賛されるなど音楽的商業的に成功を収めるタイトル曲収録前衛音楽家のロン・ギーシン招きオーケストラ正確にはブラスアンサンブルにチェロ加えた編成)を全面的に取り入れた23分にわたるロック・シンフォニーである。本作以降フロイドプログレッシヴ・ロック代表するバンドとして認知されるようになる。 続く1971年発表の『おせっかいMeddle)』は、セールス面では前作原子心母』に及ばなかったが、バンド音楽的に大きく飛躍するきっかけとなった作品である。23分を超える大作エコーズEchoes)」が収録されている。バンドはこの「エコーズ」の誕生をもって初めバンドクリエイティビティ獲得した」と認識している。同年8月には初来日し、音楽フェスティバル箱根アフロディーテ」などでコンサート披露した司会糸居五郎亀淵昭信であった。 同1971年11月に『おせっかいツアー終了すると、バンド次のアルバム制作取り掛かった制作先立ちウォーターズ新作アルバムのテーマとして「人間内面潜む狂気」を描くことを提案するバンドはこのアイデア元に組曲作り上げ、それは翌1972年1月コンサートから「A Piece for Assorted Lunatics」というタイトル披露された。これがのちに大ヒットアルバムとなる『狂気The Dark Side of The Moon)』である。バンド同年同月からイギリス皮切りにコンサート・ツアー開始同年3月には2回目来日果たしている。こちらでも『狂気』の組曲披露された。 バンドは『狂気制作並行して同年2月下旬から再びバーベッド・シュローダー監督映画La Vallée』のサウンドトラック担当フランスに赴き、約2週間で『雲の影(Obscured by Clouds)』を完成させた。こちらは全米46位を記録しウォーターズ作の「フリー・フォア(Free Four)」がシングル・カットされている。 明くる1973年3月コンセプト・アルバム狂気The Dark Side of the Moon)』を発表本作ウォーターズ歌詞全面的に担当した初めての作品となったまた、フロイドアルバム歌詞掲載されたのはこの『狂気』が初めであった発売同時にシングル・ヒットした「マネーMoney)」とともに初の全米1位を記録するなど全世界大ヒット記録音楽的に商業的に大成功収める。こうして、ピンク・フロイド一躍スターダムにのし上がったその後、『狂気』はビルボードアルバムTOP100に741週間(約15年間)に亘ってランクイン続けることになるが、この記録は現在(※2022年上半期時点)も破られていない。 これ以後フロイド取り巻く環境一変するコンサート観客数大幅に増え客層変わっていった。このことはバンドのメンバー、特にウォーターズ大い苛立たせることになり、この年コンサートツアー終えるとバンド長期休暇入った1974年入りバンドは『狂気』に続くアルバムレコーディング開始する当初は、楽器一切使わずワイングラス輪ゴムなどの日用品使って演奏する組曲Household Objects」の制作試みたが、結局は断念したその後同年6月フランス11月イギリスコンサートツアー行った新曲Shine on You Crazy Diamond」「You've Gotta be Crazy」「Raving and Drooling」などが披露され次のアルバムではこの3曲を収録することが決まりかけていたが、これらの新曲披露したコンサート収録した海賊盤British Winter tour』なるアルバム大い売れてしまったため、「You've Gotta be Crazy」と「Raving and Drooling」の収録見送られた。この2曲は、のちのアルバムアニマルズ』にタイトル変更されたうえで収録されている。 新たなアルバム作りは困難を極めた。『狂気』の成功注目集めたことによる重圧、『狂気』でやりたいことをやり尽くしたという満足感、そして、メンバー個人的問題など原因であったウォーターズメイスンそれぞれ離婚危機抱えていたのである1975年難産の末の2年ぶりの新作となる『炎〜あなたがここにいてほしいWish You Were Here)』を発表。大ヒットアルバム『狂気』に続く作品ということ注目されたが、セールス面では伸び悩んだ。それでも最終的に全米全英ともに1位を記録した。これ以後フロイド発表するスタジオ・アルバムはいずれ大がかりコンセプト・アルバム体裁をとるようになる1970年後半にはパンク・ロック勢が登場しピンク・フロイドレッド・ツェッペリンクイーンなどは「オールド・ウェーヴ」「ダイナソー化石)・ロック」として激しく非難された。 バンド次第ロジャー・ウォーターズイニシアティブ強くなってゆく。1977年発表の『アニマルズAnimals)』はコンセプトアルバムであるが、全5曲中4曲がウォーターズ単独書き下ろしであり、ウォーターズリード・ボーカル担当したサウンド面でもそれまで幻想的な音創りは影を潜め分かりやすいロック・サウンドになっていた。ウォーターズ中流階級出身であるが、左派思想持主で、彼の歌詞には独特の社会風刺がよく表れている。『アニマルズ』の歌詞、そして、のちのアルバム『ザ・ウォール』歌詞には、彼の思想存分に投影されている。 なお、ヒプノシスプロデュースするアニマルズ』のアートワークについては、バタシー発電所豚の形のゴム風船の話が欠かせないテムズ河畔にある旧バタシー発電所のブリックゴシック(英語版)(煉瓦ゴシック/レンガゴシック)の建築物は、『アニマルズ』に採り上げられたことで世界的知名度挙げ観光地化するだけでなく、音楽関係者ばかりではない他分野クリエーターイメージロケ地という形で利用されるようになった後述する豚形のゴム風船表現力相まってアニマルズ』のアートワークパロディ数多く作られている。 詳細は「バタシー発電所#ポップ・カルチャー利用」および「バタシー発電所のポップ・カルチャー利用#アルバム・アートワーク」を参照 また、ウォーターズは「空飛ぶ豚」を表した巨大なゴム風船発案し、これがヒプノシスアートワーク組み込まれた。オーストラリア芸術家デザインしドイツのバローン・ファブリーク社 (en, cf.) が作った豚形の巨大なゴム風船は、これを機にバンド独自のキャラクター「ピンク・フロイド・ピッグ(Pink Floyd pigs)」として定着しライブ使われ続けることになった。これらについては右の画像(■、■)も参照のこと。 詳細は「ピンク・フロイド・ピッグ(英語版)」を参照アニマルズ発表後ツアーPink Floyd : In The Flesh」はヨーロッパ北アメリカを跨ぎ、当時フロイドでは最大級コンサート・ツアーとなった。このツアー最終日である7月6日のカナダ・モントリオール公演で、ウォーターズ前列大騒ぎしていた観客激怒し演奏途中で唾を吐き掛けるという行為及んだ。自らのこの行為発想引き金となってコンサート終了後ウォーターズ次のアルバム制作没頭する一方他のメンバーそれぞれにソロ活動開始しデヴィッド・ギルモア1978年に『デヴィッド・ギルモアDavid Gilmour)』を発表してヒット記録する1979年11月2枚組アルバムザ・ウォールThe Wall)』を発表シングルアナザー・ブリック・イン・ザ・ウォールパート2)(Another Brick in the Wall (PartII))」とともに大ヒット記録したシングルにはディスコ影響見られた。2枚組26曲のうち、数曲を除きウォーターズ単独作詞・作曲行っている。共同プロデューサーとしてアリス・クーパープロデュースなどで知られるボブ・エズリン招かれアルバムレコーディングには多数セッション・ミュージシャン招かれている。 バンド内ではウォーターズ独裁化が進み『ザ・ウォール』セッション途中でウォーターズリチャード・ライト解雇するなど、メンバー間の亀裂深くなる一方であった。ライト1980年から翌1981年にかけて行われたツアーサポート・メンバーとして参加したが、すでに正式なメンバーなくなっていたため、同ツアー発生した莫大な赤字対す支払い被らず済んだ『ザ・ウォール』ツアーでは、演奏途中から観客席舞台の間に実際に巨大な壁(※鉄筋コンクリート造の白い壁になぞらえた大道具舞台装置)を構築し、それがクロジーング・ナンバー「Outside The Wall」の直前で完全に崩れ去るという大規模な演出話題呼んだ。ただし、あまりにも大規模経費手間掛かりすぎ、実際にこの演出が行われたのは全世界で4都市のみの公演に留まった。その一方でアルバムのコンセプト具現化した映画ピンク・フロイド ザ・ウォール』がアラン・パーカー監督の下で製作され1981年公開された。

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