レッドブル・パワートレインズとは? わかりやすく解説

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レッドブル・パワートレインズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/05 04:47 UTC 版)

レッドブル・パワートレインズ(RBPT)
現地語社名
Red Bull Powertrains Ltd.
種類
子会社
業種 自動車産業 
設立 2021年2月16日[1]
創業者 ディートリヒ・マテシッツ
本社 イギリス
ミルトン・キーンズ, レッドブル・テクノロジー・キャンパス,ビルディング 8[2]
主要人物
クリスチャン・ホーナー (CEO)
ベン・ホジキンソン
従業員数
600人以上 (2022年)
親会社 レッドブル GmbH
ウェブサイト www.redbullpowertrains.com
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レッドブル・パワートレインズ
(RBPT / ホンダ・RBPT)

(エンジンサプライヤーとしての記録)
参戦年度
  • 2022(RBPT)
  • 2023 - 2025(ホンダ・RBPT)
F1デビュー戦 2022年バーレーンGP
初勝利 2022年サウジアラビアGP
出走回数
  • 22(RBPT)
  • 46(ホンダ・RBPT)
搭載チーム レッドブルアルファタウリRB / レーシングブルズ
コンストラクターズ
タイトル
2 (2022, 2023)
ドライバーズ
タイトル
3 (2022, 2023, 2024)
優勝回数
  • 17(RBPT)
  • 30(ホンダ・RBPT)
表彰台(3位以内)回数
  • 28(RBPT)
  • 48(ホンダ・RBPT)
通算獲得ポイント
  • 794(RBPT)
  • 1,520(ホンダ・RBPT)
ポールポジション
  • 8(RBPT)
  • 22(ホンダ・RBPT)
ファステストラップ
  • 8(RBPT)
  • 17(ホンダ・RBPT)
(記録は2024年最終戦アブダビGP終了時)
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レッドブル・パワートレインズ: Red Bull Powertrains Ltd、略称RBPT)は、F1パワーユニット(PU)製造会社である[3][4]オーストリアレッドブル社(Red Bull GmbH)の子会社である。

概要

2021年までHRD Sakuraが開発・製造していたPUの供給を、2022年より引き継ぐ目的で2021年2月16日に設立され[1]ホンダF1のイギリス拠点であったHRD UKのスタッフの大部分(現地雇用者の大半)を継承した[5][6][7]。当初はホンダが保有している知的財産権の利用権を購入し、レッドブル・レーシングスクーデリア・アルファタウリにPUを供給する予定であったが、周辺状況の変化により、ホンダは子会社のモータースポーツ専門会社ホンダ・レーシング(HRC)を通じ、2025年まで現行のPUの製造・組み立て・供給を継続する[8][9]。RBPTではPUの調整を行いバッジネームをつけて使用する。また、元々HRD UKで開発・製造していたバッテリー部分については自社製造を行っている[10]。そしてミルトン・キーンズに存在した旧HRD UKの建物もRBPTが使用していたが[11]、2025年にホンダが翌2026年からF1に復帰するための欧州拠点としてHRC UK(HRCの100%子会社として2024年に設立)にリースバックされた[12]

レッドブルでは、2026年のレギュレーション改定のタイミングで独自設計のPUを投入する計画で、元メルセデスAMG F1のPU部門(メルセデスAMG・ハイパフォーマンス・パワートレインズ)のエンジニア、ベン・ホジキンソンをテクニカルディレクターとして迎えたほか、スティーブ・ブレウェット/オミド・モスタギミ/ピップ・クロード/スティーブ・ブロディ/アントン・メイヨ/フィル・プリューなど、元メルセデスのイルモア系エンジニアを多数スカウトしている。これらのエンジニアはガーデニング休暇明けの2022年5月以降に順次RBPTに合流する[13]。一方で元ホンダF1(現: HRC)の日本人スタッフ数名は出張を延長し[14]、副テクニカルディレクターを務めた本橋正充が在英して、エンジン部署の現場責任者(アルファタウリ担当のディレクターを兼任)を継続した[7](2023年4月に離脱[15])。

会社設立直後から、拠点のイギリスミルトン・キーンズで急速な機材設備の調達[16]や建屋建設工事が進行し、2022年8月に建物は完成した。レッドブル・レーシングのファクトリーの東側に隣接した新社屋は、往年の名ドライバーでヘルムート・マルコとも親交のあったヨッヘン・リントにちなみ「リント・ビルディング」と名付けられた[17]

2022年12月15日、2023年のF1世界選手権のエントリーリストが発表され、レッドブル・レーシングおよびスクーデリア・アルファタウリに供給されるエンジン名称が「Honda RBPT」となったことが明らかとなった[18]

2023年2月3日、レッドブル・レーシングの新車「RB19」の発表会にて、2026年シーズンよりフォード・モーターと提携することが発表された。RBPTは2026年より「レッドブル・フォード」としてレッドブル・レーシング及びスクーデリア・アルファタウリにPU一式を供給する。既にICE(内燃エンジン)の開発を進めているRBPTに対してフォードは2023年より次世代PU開発において、バッテリーセルや電気モーター技術、パワーユニット制御ソフトウェア、分析などのノウハウ、専門知識を供与していく[19]。なお、2026年以降使用するPUの設計・製造業務も「レッドブル・パワートレインズ」が担当していたが、予算制限がパワーユニットにも課せられるようになったため、次期PU業務担当となる「レッドブル・パワートレインズ2026」を2022年5月に設立[20]、現行PU業務担当と業務が分割されている[21]

記録

 年 シャーシ エンジン   ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 ポイント ランク
2022年 RB18 レッドブル・パワートレインズ RBPTH001 1.6L V6ターボ P BHR SAU AUS EMI MIA ESP MON AZE CAN GBR AUT FRA HUN BEL NED ITA SIN JPN USA MEX SÃO ABU 759 1位
フェルスタッペン  19 1 Ret 1 1 1 3 1 1 7 2 1 1 1 1 1 7 1 1 1 6 1 454
ペレス  18 4 2 2 4 2 1 2 Ret 2 Ret 4 5 2 5 6 1 2 4 3 7 3 305
AT03 レッドブル・パワートレインズ RBPTH001[22] 1.6L V6ターボ P ガスリー Ret 8 9 12 Ret 13 11 5 14 Ret 15 12 12 9 11 8 10 18 14 11 14 14 23 35 9位
角田 8 DNS 15 7 12 10 17 13 Ret 14 16 Ret 19 13 Ret 14 Ret 13 10 Ret 17 11 12
2023年 RB19 ホンダ RBPTH001 1.6L V6ターボ P BHR SAU AUS AZE MIA EMI MON ESP CAN AUT GBR HUN BEL NED ITA SIN JPN QAT USA MEX SÃO LVG ABU 860 1位
フェルスタッペン  1 2 1 2(3) 1 - 1 1 1 1(1) 1 1 1(1) 1 1 5 1 1(2) 1(1) 1 1(1) 1 1 575
ペレス  2 1 5 1(1) 2 - 16 4 6 3(2) 6 3 2(Ret) 4 2 8 Ret 10(Ret) 4(5) Ret 4(3) 3 4 285
AT04 ホンダ RBPTH001 1.6L V6ターボ P デ・フリース 14 14 15 Ret(14) 18 - 12 14 18 17(17) 17 0 25 8位
リカルド 13 16(10) 15(12) 7 13(9) 14 11 6
ローソン 13 11 9 11 17(Ret) 2
角田 11 11 10 10(Ret) 11 - 15 12 14 19(16) 16 15 10(18) 15 DNS Ret 12 15(11) 8(14) 12 9 18 8 17
2024年 RB20 ホンダ RBPTH002 1.6L V6ターボ P BHR SAU AUS JPN CHN MIA EMI MON CAN ESP AUT GBR HUN BEL NED ITA AZE SIN USA MEX SÃO LVG QAT ABU 239* 1位*
フェルスタッペン  1 1 Ret 1 1(1) 2(1) 1 136*
ペレス  2 2 5 2 3(3) 4(3) 103*
VCARB 01 ホンダ RBPTH002 1.6L V6ターボ P リカルド 13 16 12 Ret Ret(11) 15(4) 5* 19* 6位*
角田 14 15 7 10 Ret(16) 7(8) 14*
  • 太字ポールポジション斜字ファステストラップ。(key)
  • † 印はリタイアだが、90%以上の距離を走行したため規定により完走扱い。
  • ‡ ハーフポイント。レース周回数が75%未満で終了したため、得点が半分となる。
  • 括弧内はスプリントの結果
  • * は現時点の暫定

脚注

  1. ^ a b RED BULL POWERTRAINS LIMITED overview”. find-and-update.company-information.service.gov.uk. 2022年8月24日閲覧。
  2. ^ RBPT 工場の位置”. Google Maps. 2022年8月24日閲覧。
  3. ^ レッドブルは2022年以降ホンダF1パワーユニット技術を引き継ぐ”. redbullracing.com. 2022年8月1日閲覧。
  4. ^ WHO WE ARE”. Red Bull Powertrains Ltd. 2022年12月9日閲覧。
  5. ^ 【分析】レッドブル、“ポストホンダ時代”に向け見通し良好か。新会社設立で柔軟性も確保”. motorsport.com. 2022年9月3日閲覧。
  6. ^ 山本MD会見:ホンダF1最終シーズンに向け、攻めの開発でパワー向上”. AUTO SPORT (2021年3月13日). 2022年8月1日閲覧。
  7. ^ a b レッドブル&HRC密着:ホンダとの新たな第一歩を踏み出したバーレーンGP”. AUTO SPORT (2022年3月19日). 2022年3月28日閲覧。
  8. ^ ”ホンダ製”PU、2025年までF1を戦うことが決定!HRC、技術サポート継続へ”. motorsport. 2022年8月2日閲覧。
  9. ^ ホンダ、レッドブルF1への支援を2025年まで延長---最前線の現場を公開”. レスポンス. 2022年8月2日閲覧。
  10. ^ 元ホンダ浅木泰昭氏「こっそり画策してきた」2026年のF1復帰に向け尽力…現場の技術者は「ホンダでF1を続けたい」撤退発表後の苦悩を明かす|WEDNESDAY F1 TIME - DAZN・2023年5月31日
  11. ^ F1復帰を発表したホンダ。2021年に”カーボンニュートラル燃料”を先行投入したことはアドバンテージになるのか? HRC渡辺社長「燃料は鍵になる」”. motorsport.com (2023年5月24日). 2023年5月24日閲覧。
  12. ^ ホンダ・レーシング、イギリス拠点“HRC UK”はミルトンキーンズに。レッドブルから借り戻し稼働を開始”. motorsport.com (2025年3月4日). 2025年3月27日閲覧。
  13. ^ ”間もなく”稼働…2026年の次世代F1エンジン開発用施設の内部を公開”. Formula1-Data. 2022年9月1日閲覧。
  14. ^ 今後ホンダとレッドブルどうなる?山本雅史,柴田久仁夫,尾張正博座談会”. 中日スポーツ. 2022年3月23日閲覧。
  15. ^ 熱田護のF1インタビュー ホンダF1第4期を支えたテクニカルダイレクター本橋正充さん「びっくりしますよ、うちの会社の底力!」 - Car Watch・2023年4月17日
  16. ^ AVLからテストベンチを調達済み”. Formula1-Data. 2022年8月28日閲覧。
  17. ^ 建物は伝説の王者にちなみ『リント・ビルディング』と命名”. AUTO SPORT (2022年8月7日). 2022年8月15日閲覧。
  18. ^ ホンダ復活!レッドブル、2023年F1エンジン名称を「Honda RBPT」へと変更”. Formula1-Data. 2022年12月15日閲覧。
  19. ^ レッドブルF1、フォードとのエンジン契約および新車「RB19」のリバリーを発表”. Formula1-Data. 2023年2月6日閲覧。
  20. ^ RED BULL POWERTRAINS 2026 LIMITED”. GOV.UK. 2023年11月5日閲覧。
  21. ^ レッドブル、ダブルタイトル獲得の2022年は増収増益。複数の新会社を設立し、”将来”に備えるmotorsports.com、2023年10月12日
  22. ^ AT03 Monoposto Stagione F1 2022 | SCUDERIA ALPHATAURI” (イタリア語) (2022年2月13日). 2022年2月14日閲覧。

関連項目

外部リンク


レッドブル・パワートレインズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 06:21 UTC 版)

レッドブル・レーシング」の記事における「レッドブル・パワートレインズ」の解説

レッドブル・パワートレインズ(Red Bull Powertrains)は、2021年2月設立されたF1用のパワーユニットPU製造会社従来ホンダF1開発・製造していたPU供給2022年シーズンより引き継ぐ目的設立されホンダ保有している知的財産利用権持ち、またホンダF1イギリス拠点である「HRD Milton Keynes」のスタッフ大部分現地雇用者大半)を継承する予定である。

※この「レッドブル・パワートレインズ」の解説は、「レッドブル・レーシング」の解説の一部です。
「レッドブル・パワートレインズ」を含む「レッドブル・レーシング」の記事については、「レッドブル・レーシング」の概要を参照ください。

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