1999年のF1世界選手権とは? わかりやすく解説

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1999年のF1世界選手権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/05 19:15 UTC 版)

1999年のFIAフォーミュラ1
世界選手権
前年: 1998 翌年: 2000
一覧: 開催国 | 開催レース
1999年のF1世界選手権

1999年のF1世界選手権(1999ねんのエフワンせかいせんしゅけん)は、FIAフォーミュラ1世界選手権の第50回大会である。1999年3月7日オーストラリアで開幕し、10月31日日本で開催される最終戦まで、全16戦で争われた。

シーズン概要

4人のチャンピオン候補

開幕戦オーストラリアGPではフェラーリエディ・アーバインが初優勝し、混戦のシーズンが幕を開けた。

マクラーレンの新車MP4-14は開幕から圧倒的なスピードを誇るものの、信頼性は今ひとつで、前年度チャンピオンのミカ・ハッキネンは5戦連続ポールポジションを獲得しながらその間に2勝しかできなかった。特に信頼性の問題はハッキネンの足を引っ張り、第8戦イギリスGP以外のリタイアはすべてメカニカルトラブル絡みであった。

フェラーリのミハエル・シューマッハも第4戦のモナコGPの勝利でポイントリーダーに一旦立つものの、第6戦カナダGPでトップ走行中にシケインで単独クラッシュするなど波に乗れず、このGPでハッキネンに逆転され、8ポイントリードされた状況でシーズン折り返しの第8戦イギリスGPを迎えた。だが、シューマッハのマシンはブレーキトラブルでクラッシュ。シューマッハ自身は右足を骨折して戦線から離れることになった。

最大のライバル・シューマッハの離脱でハッキネンが絶対有利かと思われたが、ここまでポイントを重ねていたアーバインがチャンピオン争いに名乗りを上げ、フェラーリの「代役エース」となった。第9戦オーストリアGPと第10戦ドイツGPを連勝し、その時点でポイントリーダーに立った。マクラーレンの失速やシューマッハの代わりに起用されたミカ・サロの好アシスト、コースによってはウィリアムズジョーダンスチュワートも上位争いに名前を連ねるようになり、タイトル争いは混乱の様相を呈する。

また、第3のチャンピオン候補として、ジョーダンハインツ=ハラルド・フレンツェンが登場する。第7戦フランスGPでは雨中のタイヤ交換の好判断で優勝。その後もポイントを重ね、ハッキネンがリタイアした第13戦イタリアGPも勝利し、チャンピオン候補となった。さらに第4のチャンピオン候補として、第8戦イギリスGPで勝利したデビッド・クルサードが浮上した。こちらもポイントを重ね、フェラーリとは対照的にマクラーレンはチーム内の序列を決めなかったため、第12戦ベルギーGPでは2位にいたハッキネンに1位を譲らず、そのまま勝利。チャンピオンを射程に捕らえた。

3戦を残してハッキネンとアーバインが60点で並び、フレンツェン50点、クルサード48点という大接戦になった。第14戦ヨーロッパグランプリGPは大荒れのレースとなり、ハッキネンは表彰台には乗れなかったがポイントは獲得。アーバインはノーポイント、フレンツェンとクルサードはリタイア。ハッキネンがチャンピオン争いを一歩先行した。第15戦マレーシアGPでは戦線復帰したシューマッハがブランクの影響を感じさせぬ走りでアーバインをアシストし、チャンピオン候補はアーバイン(70点)とハッキネン(66点)の2名に絞り込まれた。レース後、フェラーリがエアロパーツの寸法違反で失格となり、ハッキネンのチャンピオンが決まるかと思われたが、国際自動車連盟 (FIA) が処分を撤回し、最終戦日本GPを迎えた。日本GPではハッキネンが予選2位からスタートでトップに立ち、他を寄せ付けぬペースで完勝。3位に終わったアーバインを逆転して、2年連続ドライバーズチャンピオンに輝いた。

コンストラクターズ部門は戦略が明確であり、チームの結束力をみせたフェラーリが獲得。1983年以来続いた無冠状態にようやく終止符を打った。ジョーダンがチーム史上最高となるランキング3位を獲得。2位のマクラーレンはコンストラクターズ部門の獲得も十分可能であったが、チーム戦略の不在やマシンの信頼性がこちらのタイトル争いにも影響し、あと一歩のところで逃すこととなった。

トピック

開催地及び勝者

ラウンド レース 開催日 開催地 ポールポジション ファステストラップ 優勝者 コンストラクター レポート
1 オーストラリアグランプリ 3月7日 メルボルン ミカ・ハッキネン ミハエル・シューマッハ エディ・アーバイン フェラーリ 詳細
2 ブラジルグランプリ 4月11日 インテルラゴス ミカ・ハッキネン ミカ・ハッキネン ミカ・ハッキネン マクラーレン-メルセデス 詳細
3 サンマリノグランプリ 5月2日 イモラ ミカ・ハッキネン ミハエル・シューマッハ ミハエル・シューマッハ フェラーリ 詳細
4 モナコグランプリ 5月16日 モナコ ミカ・ハッキネン ミカ・ハッキネン ミハエル・シューマッハ フェラーリ 詳細
5 スペイングランプリ 5月30日 バルセロナ ミカ・ハッキネン ミハエル・シューマッハ ミカ・ハッキネン マクラーレン-メルセデス 詳細
6 カナダグランプリ 6月13日 モントリオール ミハエル・シューマッハ エディ・アーバイン ミカ・ハッキネン マクラーレン-メルセデス 詳細
7 フランスグランプリ 6月27日 マニクール ルーベンス・バリチェロ デビッド・クルサード ハインツ=ハラルド・フレンツェン ジョーダン-無限ホンダ 詳細
8 イギリスグランプリ 7月11日 シルバーストン ミカ・ハッキネン ミカ・ハッキネン デビッド・クルサード マクラーレン-メルセデス 詳細
9 オーストリアグランプリ 7月25日 A1リンク ミカ・ハッキネン ミカ・ハッキネン エディ・アーバイン フェラーリ 詳細
10 ドイツグランプリ 8月1日 ホッケンハイムリンク ミカ・ハッキネン デビッド・クルサード エディ・アーバイン フェラーリ 詳細
11 ハンガリーグランプリ 8月15日 ハンガロリンク ミカ・ハッキネン デビッド・クルサード ミカ・ハッキネン マクラーレン-メルセデス 詳細
12 ベルギーグランプリ 8月29日 スパ・フランコルシャン ミカ・ハッキネン ミカ・ハッキネン デビッド・クルサード マクラーレン-メルセデス 詳細
13 イタリアグランプリ 9月12日 モンツァ ミカ・ハッキネン ラルフ・シューマッハ ハインツ=ハラルド・フレンツェン ジョーダン-無限ホンダ 詳細
14 ヨーロッパグランプリ 9月26日 ニュルブルクリンク ハインツ=ハラルド・フレンツェン ミカ・ハッキネン ジョニー・ハーバート スチュワート-フォード 詳細
15 マレーシアグランプリ 10月17日 セパン・インターナショナル・サーキット ミハエル・シューマッハ ミハエル・シューマッハ エディ・アーバイン フェラーリ 詳細
16 日本グランプリ 10月31日 鈴鹿 ミハエル・シューマッハ ミハエル・シューマッハ ミカ・ハッキネン マクラーレン-メルセデス 詳細

新たに追加された選手権の行事

  • マレーシアグランプリ(第15戦・セパン)

開催されなくなった選手権の行事

名称が変更された選手権の行事

エントリーリスト

エントラント コンストラクター シャーシ エンジン タイヤ ドライバー
ウエスト・マクラーレン・メルセデス マクラーレン MP4-14 メルセデスFO110H B 1.ミカ・ハッキネン
2.デビッド・クルサード
スクーデリア・フェラーリ・マールボロ フェラーリ F399 フェラーリTipo048 B 3.ミハエル・シューマッハ
(3.)ミカ・サロ
4.エディ・アーバイン
ウィンフィールド英語版・ウィリアムズ ウィリアムズ FW21 スーパーテックFB01 B 5.アレッサンドロ・ザナルディ
6.ラルフ・シューマッハ
ベンソン&ヘッジス・ジョーダン・無限ホンダ ジョーダン 199 無限MF301HD B 7.デイモン・ヒル
8.ハインツ=ハラルド・フレンツェン
マイルドセブン・ベネトン・プレイライフ ベネトン B199 プレイライフFB01 B 9.ジャンカルロ・フィジケラ
10. アレクサンダー・ヴルツ
レッドブル・ザウバー・ペトロナス ザウバー C18 ペトロナスSPE03A B 11.ジャン・アレジ
12.ペドロ・ディニス
アロウズ アロウズ A20 アロウズT2-F1(ハート1030) B 14.ペドロ・デ・ラ・ロサ
15.高木虎之介
スチュワート・グランプリ スチュワート SF-3 フォードCR-1 B 16.ルーベンス・バリチェロ
17.ジョニー・ハーバート
ゴロワーズ・プロスト・プジョー プロスト AP02 プジョーA18 B 18.オリビエ・パニス
19.ヤルノ・トゥルーリ
テレフォニカ・ミナルディ・フォード ミナルディ M01 フォードZETEC-R B 20.ルカ・バドエル
(20.)ステファン・サラザン
21. マルク・ジェネ
ブリティッシュ・アメリカン・レーシング B・A・R 01 スーパーテックFB01 B 22.ジャック・ヴィルヌーヴ
23.リカルド・ゾンタ
(23.)ミカ・サロ
  • エンジンは全車V10

1999年のドライバーズランキング

順位 ドライバー AUS
BRA
SMR
MON
ESP
CAN
FRA
GBR
AUT
GER
HUN
BEL
ITA
EUR
MAL
JPN
ポイント
1 ミカ・ハッキネン Ret 1 Ret 3 1 1 2 Ret 3 Ret 1 2 Ret 5 3 1 76
2 エディ・アーバイン 1 5 Ret 2 4 3 6 2 1 1 3 4 6 7 1 3 74
3 ハインツ=ハラルド・フレンツェン 2 3 Ret 4 Ret 11 1 4 4 3 4 3 1 Ret 6 4 54
4 デビッド・クルサード Ret Ret 2 Ret 2 7 Ret 1 2 5 2 1 5 Ret Ret Ret 48
5 ミハエル・シューマッハ 8 2 1 1 3 Ret 5 Ret 2 2 44
6 ラルフ・シューマッハ 3 4 Ret Ret 5 4 4 3 Ret 4 9 5 2 4 Ret 5 35
7 ルーベンス・バリチェロ 5 Ret 3 9 DSQ Ret 3 8 Ret Ret 5 10 4 3 5 8 21
8 ジョニー・ハーバート DNS Ret 10 Ret Ret 5 Ret 12 14 11 11 Ret Ret 1 4 7 15
9 ジャンカルロ・フィジケラ 4 Ret 5 5 9 2 Ret 7 12 Ret Ret 11 Ret Ret 11 14 13
10 ミカ・サロ 7 Ret 8 9 2 12 7 3 Ret 10
11 ヤルノ・トゥルーリ Ret Ret Ret 7 6 Ret 7 9 7 Ret 8 12 Ret 2 DNS Ret 7
12 デイモン・ヒル Ret Ret 4 Ret 7 Ret Ret 5 8 Ret 6 6 10 Ret Ret Ret 7
13 アレクサンダー・ヴルツ Ret 7 Ret 6 10 Ret Ret 10 5 7 7 14 Ret Ret 8 10 3
14 ペドロ・ディニス Ret Ret Ret Ret Ret 6 Ret 6 6 Ret Ret Ret Ret Ret Ret 11 3
15 ジャン・アレジ Ret Ret 6 Ret Ret Ret Ret 14 Ret 8 16 9 9 Ret 7 6 2
16 オリビエ・パニス Ret 6 Ret Ret Ret 9 8 13 10 6 10 13 11 9 Ret Ret 2
17 マルク・ジェネ Ret 9 9 Ret Ret 8 Ret 15 11 9 17 16 Ret 6 9 Ret 1
18 ペドロ・デ・ラ・ロサ 6 Ret Ret Ret 11 Ret 11 Ret Ret Ret 15 Ret Ret Ret Ret 13 1
19 アレッサンドロ・ザナルディ Ret Ret 11 8 Ret Ret Ret 11 Ret Ret Ret 8 7 Ret 10 Ret 0
20 高木虎之介 7 8 Ret Ret 12 Ret DSQ 16 Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret 0
21 ジャック・ヴィルヌーヴ Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret 15 8 10 Ret 9 0
22 リカルド・ゾンタ Ret DNQ Ret 9 Ret 15 Ret 13 Ret Ret 8 Ret 12 0
23 ルカ・バドエル Ret 8 Ret Ret 10 10 Ret 13 10 14 Ret Ret Ret Ret Ret 0
- ステファン・サラザン Ret 0
順位 ドライバー AUS
BRA
SMR
MON
ESP
CAN
FRA
GBR
AUT
GER
HUN
BEL
ITA
EUR
MAL
JPN
ポイント
結果
金色 勝者
銀色 2位
銅色 3位
ポイント獲得
完走
完走扱い(全周回数の90%以上走行)
規定周回数不足(NC)
リタイア(Ret)
予選不通過(DNQ)
予備予選不通過(DNPQ)
失格(DSQ)
スタートせず(DNS)
レース中止(C)
水色 プラクティスのみ(PO)
金曜日テストドライバー(TD)
2003年以降
空欄 プラクティス出走せず(DNP)
除外 (EX)
到着せず (DNA)
欠場 (WD)

太字ポールポジション
斜体:ファステストラップ

リタイアしたがレース距離の90%以上を走行していたため完走扱い

1999年のコンストラクターズランキング

順位 コンストラクター 車番 AUS
BRA
SMR
MON
ESP
CAN
FRA
GBR
AUT
GER
HUN
BEL
ITA
EUR
MAL
JPN
ポイント
1 フェラーリ 3 8 2 1 1 3 Ret 5 Ret 9 2 12 7 3 Ret 2 2 128
4 1 5 Ret 2 4 3 6 2 1 1 3 4 6 7 1 3
2 マクラーレン-メルセデス 1 Ret 1 Ret 3 1 1 2 Ret 3 Ret 1 2 Ret 5 3 1 124
2 Ret Ret 2 Ret 2 7 Ret 1 2 5 2 1 5 Ret Ret Ret
3 ジョーダン-無限ホンダ 7 Ret Ret 4 Ret 7 Ret Ret 5 8 Ret 6 6 10 Ret Ret Ret 61
8 2 3 Ret 4 Ret 11 1 4 4 3 4 3 1 Ret 6 4
4 スチュワート-フォード 16 5 Ret 3 9 DSQ Ret 3 8 Ret Ret 5 10 4 3 5 8 36
17 DNS Ret 10 Ret Ret 5 Ret 12 14 11 11 Ret Ret 1 4 7
5 ウィリアムズ-スーパーテック 5 Ret Ret 11 8 Ret Ret Ret 11 Ret Ret Ret 8 7 Ret 10 Ret 35
6 3 4 Ret Ret 5 4 4 3 Ret 4 9 5 2 4 Ret 5
6 ベネトン-プレイライフ 9 4 Ret 5 5 9 2 Ret 7 12 Ret Ret 11 Ret Ret 11 14 16
10 Ret 7 Ret 6 10 Ret Ret 10 5 7 7 14 Ret Ret 8 10
7 プロスト-プジョー 18 Ret 6 Ret Ret Ret 9 8 13 10 6 10 13 11 9 Ret Ret 9
19 Ret Ret Ret 7 6 Ret 7 9 7 Ret 8 12 Ret 2 DNS Ret
8 ザウバー-ペトロナス 11 Ret Ret 6 Ret Ret Ret Ret 14 Ret 8 16 9 9 Ret 7 6 5
12 Ret Ret Ret Ret Ret 6 Ret 6 6 Ret Ret Ret Ret Ret Ret 11
9 アロウズ 14 6 Ret Ret Ret 11 Ret 11 Ret Ret Ret 15 Ret Ret Ret Ret 13 1
15 7 8 Ret Ret 12 Ret DSQ 16 Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret
10 ミナルディ-フォード 20 Ret Ret 8 Ret Ret 10 10 Ret 13 10 14 Ret Ret Ret Ret Ret 1
21 Ret 9 9 Ret Ret 8 Ret 15 11 9 17 16 Ret 6 9 Ret
11 BAR-スーパーテック 22 Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret 15 8 10 Ret 9 0
23 Ret DNS 7 Ret 8 Ret 9 Ret 15 Ret 13 Ret Ret 8 Ret 12
順位 コンストラクター 車番 AUS
BRA
SMR
MON
ESP
CAN
FRA
GBR
AUT
GER
HUN
BEL
ITA
EUR
MAL
JPN
ポイント

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