フェラーリ・F399とは? わかりやすく解説

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フェラーリ・F399

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/27 07:26 UTC 版)

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フェラーリ・F399
1999年のカナダGPエディー・アーバインがドライブするF399
カテゴリー F1
コンストラクター フェラーリ
デザイナー ロリー・バーン
先代 フェラーリ・F300
後継 フェラーリ・F1-2000
主要諸元
シャシー カーボンファイバー ハニカム コンポジット
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン, プッシュロッド
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン, プッシュロッド
エンジン フェラーリ Tipo048/B/C 2997cc 80度 V10 縦置き NA
トランスミッション フェラーリ製 7速 縦置き セミAT シーケンシャル
燃料 シェル
タイヤ ブリヂストン
主要成績
チーム スクーデリア・フェラーリマールボロ
ドライバー 3. ミハエル・シューマッハ
3. ミカ・サロ
4. エディ・アーバイン
出走時期 1999年
コンストラクターズ
タイトル
1 (1999年)
ドライバーズタイトル 0
初戦 1999年オーストラリアグランプリ
初勝利 1999年オーストラリアグランプリ
最終戦 1999年日本グランプリ
出走
回数
優勝
回数
ポール
ポジション
ファステスト
ラップ
16 6 3 6
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フェラーリF399 (Ferrari F399) は、スクーデリア・フェラーリ1999年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーロス・ブラウンロリー・バーンが設計し、1999年の開幕戦から最終戦まで実戦投入された。フェラーリとしてのコードナンバーは650。

F399

F399は、Ferrari 3リッターエンジンを搭載した1999年仕様から取られた。

1998年シーズングッドイヤータイヤを使用していたが、グッドイヤーの撤退に伴ってブリヂストンに変更した。F399はタイヤの変更に対応するように改良された。

F399の設計はF300の影響が大きいものの、リヤサスペンションは新しいトーションバースプリングを組み込んだものとなり、ホイールベースは約100㎜延長された。

しかしエースドライバーのミハエル・シューマッハが第8戦イギリスグランプリで大クラッシュし足を骨折、暫く欠場を余儀なくされたため、チームは1999年のタイトルを早々に諦めてF399の風洞開発を停止、翌年のF1-2000の開発に注力する事を決断する。

また、様々な改良パーツが使用され、真夏のレースで排熱を重視すると空力的に悪くなるという悪循環にはまり、一度投入したパーツを以前の物に変えるなど、その影響なのかどたばたしていた面もあった。だが信頼性と安定性が重視された結果、全レースの決勝ラップの93%を走破する信頼性を発揮。その結果、ライバルのマクラーレン・MP4-14に比べ、優勝した回数では一歩及ばないが、表彰台と入賞した回数では上回っており、コンストラクターズタイトルを獲得したマシンとなった。

ロリー・バーンはF399こそがその後のフェラーリF1の基礎になったと語る。「毎年新しいクルマづくりに取り掛かろうとするたび、私はF399のことを思い返す。すべてのベースはあそこにあるんだ。以降のクルマたちは、その進化型だといっていい。」[1]

1999年シーズン

開幕戦はエディー・アーバインが制した。第3,4戦はミハエル・シューマッハが連勝。第6戦カナダGPではポールポジションからスタートするも、トップ走行中に最終シケイン[2]にクラッシュしてリタイヤ。この時点でシューマッハはミカ・ハッキネンの先行を許し、4点差で選手権2位だった。

第8戦イギリスGPでアクシデントが発生する。スタートするも、グリッド上で立ち往生したマシンがいたため、赤旗によってレース中断となった。しかし、それを知らされなかったシューマッハは高速のハンガーストレートから続くストウコーナーで前方のアーバインのインに入ったが、十分に減速することができずにストウコーナーを飛び出し、タイヤバリアにノーズから一直線に突き刺さった。この事故が元でシューマッハは右足を骨折してしまい、タイトル争いから離脱した。

代わってカーナンバー3のマシンに乗ったのはミカ・サロだった。序盤にB・A・Rから3戦出走していただけだったが、シューマッハが復帰するまでステアリングを握ることとなった。

シューマッハの戦線離脱により代理エースドライバーの立場となったアーバインは第9,10戦と連勝。タイトル争いは白熱していく。ハッキネンのリタイヤの回数はアーバインより多く、第13戦イタリアGP終了時についに60ポイントの同点となった。

F399のディフレクター

そして第15戦から復帰したシューマッハは、同僚アーバインをサポート。ポールポジションを獲得し、レース中にアーバインを先行させた後は、ハッキネンをブロック。フェラーリの1-2を飾った。しかし、レース後の車検でマシンのディフレクターに規定違反との裁定が下り、フェラーリの2台は失格。3位のハッキネンが繰り上がりの優勝で、ハッキネンの1999年ワールドチャンピオン決定と一度は決まった。しかし、ジャン・トッドら首脳陣の抗議によって後日裁定が覆り、該当部分の寸法は誤差の範囲内であったとして元の順位に戻り、最終戦はアーバインの4ポイントリードで臨むことになった。

最終戦日本GPは、ポールにシューマッハ、2位のハッキネンが並んだ。アーバインは5位と出遅れてしまう。スタート時に、シューマッハは痛恨のホイールスピン。結局ハッキネンを捉えることができず、1位ハッキネン2位シューマッハ3位アーバインでチェッカーを受けた。アーバインは2ポイント差でランキング2位でシーズンを終えた。しかし、年間を通してライバルのマクラーレン陣営に対して信頼性に勝ったことで、1983年以来のコンストラクターズチャンピオンを獲得した。

スペック

1999年カナダGPでミハエル・シューマッハがドライブするF399

シャーシ

  • シャーシ名 F399 (650)
  • シャーシ構造 カーボンファイバー/アルミハニカム製モノコック
  • 全長 4,387mm
  • 全幅 1,795mm
  • 全高 961mm
  • ホイールベース 3,052mm
  • 前トレッド 1,450mm
  • 後トレッド 1,405mm
  • クラッチ ザックスAP
  • ブレーキキャリパー ブレンボ
  • ブレーキディスク・パッド ブレンボ・カーボンインダストリー
  • ダンパー ザックス
  • ホイール BBS
  • タイヤ ブリヂストン
  • ギアボックス 7速+リバース1速セミオートマチック/チタン・カーボンファイバー製ケーシング
  • シートベルト サベルト
  • 重量 605kg

エンジン

  • エンジン名 Tipo048
  • 気筒数・角度 V型10気筒・80度
  • 排気量 2,996.6cc
  • 最高回転数 17,100回転(予選時17,500回転)
  • 最大馬力 780馬力(予選時795馬力)
  • 重量 114kg
  • スパークプラグ チャンピオン
  • 燃料・潤滑油 シェル
  • イグニッション マニエッティ・マレリ
  • インジェクション マニエッティ・マレリ

記録

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
AUS
BRA
SMR
MON
ESP
CAN
FRA
GBR
AUT
GER
HUN
BEL
ITA
EUR
MAL
JPN
1999 3 シューマッハ 8 2 1 1 3 Ret 4 Ret INJ INJ INJ INJ INJ INJ 2 2 128 1位
3 サロ 9 2 12 7 3 Ret
4 アーバイン 1 5 Ret 2 4 3 6 2 1 1 3 4 6 7 1 3

脚注

  1. ^ 山海堂刊 Ferrari Formula One Cars 1999-2004 ISBN 4-381-07783-0
  2. ^ ワールドチャンピオン経験者のデイモン・ヒルジャック・ヴィルヌーヴも同レース中にここでクラッシュしたことから後にチャンピオンズウォールと名づけられた。



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