フェラーリ・F310とは? わかりやすく解説

フェラーリ・F310

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/06 07:14 UTC 版)

フェラーリ・F310
ミハエル・シューマッハがドライブしたF310(後期型)
カテゴリー F1
コンストラクター フェラーリ
デザイナー ジョン・バーナード
グスタフ・ブルナー
先代 フェラーリ・412T2
後継 フェラーリ・F310B
主要諸元
シャシー カーボンファイバー ハニカム コンポジット
サスペンション(前) プッシュロッド トーションバー
サスペンション(後) プッシュロッド トーションバー
エンジン フェラーリ Tipo 046 2,998cc 75度 V10 縦置き NA
トランスミッション フェラーリ 6速/7速 横置き セミAT
燃料 シェル
タイヤ グッドイヤー
主要成績
チーム スクーデリア・フェラーリ
ドライバー 1. ミハエル・シューマッハ
2. エディ・アーバイン
コンストラクターズタイトル 0
ドライバーズタイトル 0
初戦 1996年オーストラリアグランプリ
初勝利 1996年スペイングランプリ
最終戦 1996年日本グランプリ
出走優勝ポールFラップ
16342
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フェラーリF310 (Ferrari F310) は、スクーデリア・フェラーリ1996年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーで、ジョン・バーナードグスタフ・ブルナーが設計した。1996年の開幕戦から最終戦まで実戦投入された。フェラーリとしてのコードナンバーは648。

F310

F310の呼称は、Ferrari 3リッターV10エンジンに由来する。1996年からエンジンをフェラーリ伝統のV型12気筒からV型10気筒に変更した。また、ガソリンも1973年以来のパートナーシップのアジップから、それ以前に使用していたシェルに変更された。1995年ワールドチャンピオンのミハエル・シューマッハベネトンから移籍してきたため、1990年アラン・プロスト以来のカーナンバー1をフェラーリがつけることになった。

ギアボックスはカーボン製スペーサーを持つチタン製ケーシングを採用したが、度重なるトラブルのため一時旧型に戻された。

フロントノーズはハイノーズ化の時流に逆らい、先端の低い位置でフロントウィングを1点支持する形とした。サイドポンツーンF92Aと似たような戦闘機風の形状となった。インテークが外側に張り出し、サイドポンツーン下端とアンダーパネルの隙間に気流を流しこもうとした。しかし、1996年からドライバー保護のため義務づけられたサイドプロテクターをウィリアムズ・FW18ジョーダン・196はダミープレートを付けることで小型化していたが、フェラーリは規定どおりに設計したため、非常に大型になり、リヤウイングに向かう気流がかなり乱された。また、インダクションポッドの吸気効率も悪く、少しでも改善しようとドライバーがヘルメットを傾けて走行するシーンも見られた。

F310は1994年412T1と同じく、ジョン・バーナードの基本設計にグスタフ・ブルナーが修正を施し、シーズン中に大きく外観が変化した。別体のノーズコーンをやや強引にハイノーズ化し、主流派の2点吊り下げ式フロントウィングを装着した。第8戦カナダGPから投入されたこのバージョンはF310/2とも呼称された。第11戦ベルギーGP以降は7速ギアボックスが導入された。

1996年シーズン

開幕戦はアーバインが3位表彰台を得たものの、これが彼にとってのシーズン最高位となった。第2戦ブラジルではシューマッハが3位表彰台を得たが、優勝したウィリアムズ・ルノーのデーモン・ヒルに周回遅れにされる屈辱を味わった。第4戦ヨーロッパGPではジャック・ヴィルヌーヴにプレッシャーを与え続け、優勝まであと一歩までたどり着いた。さらに翌週の第5戦、フェラーリの地元サンマリノGPではポールポジションを獲得。ティフォシ達のシューマッハに対する期待も大きくなっていった。次戦のモナコGPでもシューマッハはポールを獲得したが、ウェットコンディションの中、1周目のローズヘアピン後の右カーブで縁石でマシンを滑らせ、クラッシュしてしまった。第7戦スペインGPは再び雨。スタートで出遅れて後方集団の中にいたシューマッハは他を圧倒するスピードで一気にトップに躍り出て、フェラーリ移籍後初勝利をものにした。

しかしその後も駆動系の脆弱さが足枷となった。マシン全体を見直した改良型(F310/2)を投入したカナダGPでは、ギヤボックストラブルが発生。フランスGPではポールポジションを獲得したが、フォーメーションラップでエンジンブローに見舞われスタートできなかった。イギリスGPではギヤボックストラブルが再発。アーバインに至っては第7戦スペインGPから第14戦イタリアGPまでサスペンションやギヤボックスのトラブルで8戦連続リタイアと苦戦が続いた。

終盤戦になるとやや復調し、シューマッハはベルギーGPでウィリアムズのピット作業失策にも助けられて久しぶりの勝利、次のイタリアGPもヒルのリタイアやアレジとのマッチレースを制して2連勝を飾る。その後もポルトガルGPと日本GPでそれぞれ2位フィニッシュ。アーバインもポルトガルGPで5位入賞を果たした。

スペック

フロントノーズの低い初期型F310

シャーシ

  • シャーシ名 F310 (648)
  • シャーシ構造 カーボンファイバー/アルミハニカム製モノコック
  • 全長 4,355mm
  • 全幅 1,995mm
  • 全高 970mm
  • ホイールベース 2,900mm
  • 前トレッド 1,690mm
  • 後トレッド 1,605mm
  • クラッチ AP
  • ブレーキキャリパー ブレンボ
  • ブレーキディスク・パッド ブレンボ
  • ダンパー ザックス
  • ホイール BBS
  • タイヤ グッドイヤー
  • ギアボックス 6/7速+リバース1速横置きセミオートマチック/チタン製ケーシング
  • シートベルト サベルト
  • 重量 600kg

エンジン

  • エンジン名 Tipo046
  • 気筒数・角度 V型10気筒・75度
  • 排気量 2,998.1cc
  • 最大馬力 750馬力
  • スパークプラグ NGK
  • 燃料・潤滑油 シェル
  • イグニッション マニエッティ・マレリ
  • インジェクション マニエッティ・マレリ

記録

マシン No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
1996 F310 70 2位
1 ミハエル・シューマッハ Ret 3 Ret 2 2 Ret 1 Ret Ret[1] Ret 4 9 1 1 3 2
2 エディー・アーバイン 3 7 5 Ret 4 7 Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret Ret 5 Ret

脚注

  1. ^ フォーメーションラップ中にエンジンブローしたため、リタイヤではなく出走していないという見方もある。シューマッハの個人記録を扱う資料においては、このレースをカウントするかしないかという解釈の違いにより、通算出場数が異なる場合がある。






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