ゲノム解析とは? わかりやすく解説

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ゲノム‐かいせき【ゲノム解析】

読み方:げのむかいせき

生物DNAがもつ遺伝情報総合的に解明すること。DNA全塩基配列明らかにし、遺伝子の位置機能調べる。

[補説] 「ゲノム」(genome)は、遺伝子意味するgene」と、集合全体意味する「-ome」を合わせた語で、生物がもつ遺伝情報全体意味する


ゲノム解析


ゲノムプロジェクト

同義/類義語:ゲノム計画, ゲノム解析計画, ゲノム解析
英訳・(英)同義/類義語:genome project

ある生物の全ゲノム構造塩基レベル決定し、さらに全遺伝子機能など遺伝情報全体像から生物理解する計画配列決定部分だけをゲノムプロジェクト(ゲノム計画)とよぶことがあるが、誤りである。ポストゲノム計画という用語も同様に正しくない

ゲノム解析

ゲノムとは、ある生物の持つ遺伝情報全体表している概念です。その実体は細胞内にあるDNA分子であり、DNA上には4種類塩基(A,T,G,C)が並んでいてこの配列(AAGCTGCA….のような並び)の中に遺伝子遺伝子の発現制御する情報などが含まれています。RNAタンパク質はこの情報基づいて作られ、それらが働いて細胞作り上げ生命活動行いますゲノムはいわば生命設計図のようなものです。ゲノム解析とは、まず細胞含まれるDNA配列決め、この設計図解読することから始まりますが、大事なのはこの配列含まれる情報引き出して生命活動携わる機能一度にすべて明らかにすることです。そして、その目的は、それらの働き総合的に調べ生物のもつ“生きる仕組み”を理解することです。


遺伝子学、ゲノム解析


ゲノミクス

(ゲノム解析 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/02 14:06 UTC 版)

ゲノミクス: genomics、ジェノミクス)とは、ゲノム遺伝子について研究する生命科学の一分野。ゲノム学(ゲノムがく)、ゲノム科学(ゲノムかがく)とも。

ゲノミクスは1980年代に現れ、1990年代のゲノムプロジェクトの開始とともに発展した。初めて完全長のゲノムが解読されたのはバクテリオファージFX174 (5,368 kb) で1980年のことである。自由生活生物としてはインフルエンザ菌で1995年。以来、猛烈な速さでゲノム解読が進行している。ヒトゲノムのおおまかな配列はヒトゲノムプロジェクトによって2001年前半に解読されている。

ポストゲノムプロジェクトのゲノミクスとして、さまざまな生物種のゲノムを比較することで、進化の解明を試みる比較ゲノミクスや、RNAiなどによる遺伝子阻害から、全体論的な機構解明を行う機能ゲノミクスなどがある。ゲノミクスではバイオインフォマティクス遺伝学分子生物学をツールとして用いるとともに、システム生物学のツールとしても用いられる。またゲノミクスは医療の分野に新たな治療法を提供してきている(ファーマコゲノミクス)。食品(ニュートリゲノミクス)や農業の分野へも応用される。

ゲノム解析

ある生物が対象に選ばれた後、次の三つの段階を経る。:シーケンシング、アセンブリ、アノテーション。[1]

ゲノムプロジェクト概要。初めに、解析対象ゲノムが選ばれる。この選択は、コストや研究の妥当性などの要因を勘案してなされる。第二に、シーケンシングが実行され、アセンブリされる。第三に、アノテーションを様々なレベルでおこなう。: 遺伝子、タンパク質、gene pathways、種間比較

シーケンシング

歴史的に見ると、初め、シーケンシングはシーケンシングセンターという中央集中型の施設(一年に数十テラ塩基の配列決定をおこなうJoint Genome Instituteのような巨大独立行政法人に囲まれた施設)で行われていた。そこには高価な実験器具や技術サポートを必要とする研究室が集まっていた。しかし、塩基配列決定技術が進歩し、十分に高速なベンチトップ型のシーケンサーができると、平均的なアカデミックラボでもシーケンサーを使えるようになってきた。[2][3]

全体的に見て、ゲノムシーケンシングの手法は二つに区分される。ショットガンシーケンシングとハイスループットシーケンシング(いわゆる、次世代シーケンシング)である。 [1]

An ABI PRISM 3100 Genetic Analyzer. このようなキャピラリーシーケンサーによって、初期のゲノムシーケンシング作業が自動化された。
Illumina Genome Analyzer II System. Illumina technologiesは標準的なhigh throughput massively parallel sequencing技術である。

アセンブリ

Overlapping reads form contigs; contigs and gaps of known length form scaffolds.
next generation sequencing data のPaired end reads を reference genome にマップしている。
複数の断片化された sequence reads は、どの領域が重複しているかという情報を基にアセンブリされる。

配列アセンブリは大量のDNA配列断片をアライメントし、繋ぎ合わせ、オリジナルの配列を再構築することである。[1] [4]

アノテーション

アセンブリされたDNA配列は、さらに追加の解析がなされないとほとんどの場合価値はない。[1] ゲノムアノテーションはDNA配列に生物学的情報を付加し、意味付けするプロセスである。

このプロセスは三つのステップからなる。[5]

  1. ゲノムの非コード領域部分を同定する。
  2. タンパク質をコードする遺伝子など、何らかの機能を持つと推測される領域を同定する。(gene prediction)
  3. これらの要素に生物学的情報を付加する。

出典

  1. ^ a b c d Pevsner, Jonathan (2009). Bioinformatics and functional genomics (2nd ed.). Hoboken, N.J: Wiley-Blackwell. ISBN 9780470085851 
  2. ^ Monya Baker (2012年9月14日). “Benchtop sequencers ship off” (Blog). Nature News Blog. 2012年12月22日閲覧。
  3. ^ Quail, M.; Smith, M. E.; Coupland, P.; Otto, T. D.; Harris, S. R.; Connor, T. R.; Bertoni, A.; Swerdlow, H. P. et al. (2012). “A tale of three next generation sequencing platforms: Comparison of Ion torrent, pacific biosciences and illumina MiSeq sequencers”. BMC Genomics 13: 341. doi:10.1186/1471-2164-13-341. PMC 3431227. PMID 22827831. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3431227/. 
  4. ^ 北上 始, 太田 聡史, 斎藤 成也:「ビッグデータ時代のゲノミクス情報処理」、コロナ社、ISBN 978-4339024852(2014年10月)
  5. ^ Stein, L. (2001). “Genome Annotation: From Sequence to Biology”. Nature Reviews Genetics 2 (7): 493–503. doi:10.1038/35080529. PMID 11433356. 

関連項目

外部リンク


ゲノム解析

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 15:16 UTC 版)

ピノ・ノワール」の記事における「ゲノム解析」の解説

2007年8月研究者たち共同事業によってピノ・ノワールゲノム配列発表された。これは果菜類のなかでは初めてのことであり、被子植物のなかではまだ4例目のことであった

※この「ゲノム解析」の解説は、「ピノ・ノワール」の解説の一部です。
「ゲノム解析」を含む「ピノ・ノワール」の記事については、「ピノ・ノワール」の概要を参照ください。

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