空蝉
別表記:虚蝉
「空蝉」とは、中が空洞になった蝉という意味で「蝉の抜け殻」を意味する言葉である。俳句では夏の季語である。古語においては「空蝉(うつせみ)」は「現身(うつしみ)」に通じ、「この世」や「現世の人々」の意味でも用いられた。
もともと「空蝉」は、「現し臣(うつしおみ)」が転じて「うつしみ」または「うつそみ」となり、さらに「うつせみ」に変じて、これに「空蝉」という漢字が当てられるようになった、という経緯をもつ語彙である。その意味では「現世に生きる人」という語義が最も根源的といえる。
「空蝉」は「虚蝉」と表記されることもある。「空蝉」が「現世」や「現世を生きる人」という意味で用いられる場合にも、「現世は無常である」「現身は儚い」というニュアンスが込められていることが多い。
「源氏物語」の「空蝉」
「源氏物語」における「空蝉」は、第3巻の巻名(タイトル)、および、物語に登場する女性の名である。空蝉は、源氏物語第2巻(「帚木」)ではじめて登場する、空蝉は伊予介の後妻であった。光源氏に興味を持たれ、一度は同衾することになる。が、その後は光源氏の再三の誘惑を頑なに拒んだ。そして第3巻(「空蝉」)では、光源氏が空蝉に近づこうとするも、空蝉は薄衣をひとつ残して逃げ隠れてしまう。光源氏は薄衣を持ち帰り、そして薄衣を空蝉(ここでは「蝉の脱け殻」の意)に見立てて歌を詠んだ。
「空蝉(omoinotakeの曲)」
「空蝉」は、omoinotakeが2022年に配信限定でリリースし曲のタイトルでもある。ソニーミュージックの紹介文によれば「熱いラテンリズムに淡く切ない歌声をのせた、ひと夏のラヴソング」である。うつせみ【▽空×蝉】
読み方:うつせみ
2 《「空蝉」「虚蝉」などの字を当てたところから》蝉の抜け殻。また、蝉。《季 夏》「—を妹が手にせり欲しと思ふ/誓子」
うつせみ【空蝉】
うつせみ
作者樋口一葉
収載図書ちくま日本文学全集 041 樋口一葉
出版社筑摩書房
刊行年月1992.10
収載図書全集 樋口一葉 2 小説編 2 新装復刻版
出版社小学館
刊行年月1996.11
収載図書現代語訳 樋口一葉「闇桜・ゆく雲他」
出版社河出書房新社
刊行年月1997.2
収載図書樋口一葉
出版社筑摩書房
刊行年月2000.9
シリーズ名明治の文学
収載図書樋口一葉集
出版社岩波書店
刊行年月2001.10
シリーズ名新日本古典文学大系 明治編
収載図書愛蔵版 ザ・一葉―樋口一葉全作品・日記全一冊
出版社第三書館
刊行年月2002.11
シリーズ名第三書館ザ・作家シリーズ
収載図書にごりえ・たけくらべ
出版社新潮社
刊行年月2003.1
シリーズ名新潮文庫
収載図書にごりえ・たけくらべ 他
出版社日本文学館
刊行年月2004.3
シリーズ名日本名作選
収載図書大つごもり・十三夜 他五篇
出版社岩波書店
刊行年月2004.10
シリーズ名ワイド版岩波文庫
収載図書にごりえ―現代語訳・樋口一葉
出版社河出書房新社
刊行年月2004.12
シリーズ名河出文庫
収載図書たけくらべ にごりえ
出版社フロンティアニセン
刊行年月2005.2
シリーズ名第2刷 (フロンティア文庫)
うつせみ
うつせみ
空蝉
うつせみ
出典:『Wiktionary』 (2021/08/15 04:25 UTC 版)
名詞
- 現に存在する人間。生きている人間。
- この世。現世。
- 世間の人々。世人。
- 蝉の抜け殻。夏の季語。
- 蝉。
- 魂が抜けたような、放心した身。
- 『源氏物語』の巻名(第3帖)。また、同帖の中心的登場人物である女性の通称。
語源
名詞「うつしおみ(現臣)」の約まった表現「うつそみ」の転訛。「空蝉」「虚蝉」は当て字で、ここから語義4以降が生まれた。
発音(?)
う↘つせみ
関連語
翻訳
(語義2)
- ドイツ語: diese Welt
- 英語: this world, the present life
- フランス語: ce monde
- スペイン語: este mundo
- イタリア語: questo mondo
- 朝鮮語: 이승 (ko)
- 中国語: 人世 (zh)
(語義3)
(語義4)
(語義5)
うつせみと同じ種類の言葉
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