「大東亜戦争」を使用する立場とは? わかりやすく解説

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「大東亜戦争」を使用する立場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 08:54 UTC 版)

大東亜戦争」の記事における「「大東亜戦争」を使用する立場」の解説

大東亜戦争呼称使用する立場理由については以下のように様々である。 1953年昭和28年)、参謀本部作戦課長服部卓四郎が『大東亜戦争全史』を刊行戦後初めて「大東亜戦争」を冠した著作である。 歴史認識 哲学者の上山春平は『中央公論1961年1月号で発表した大東亜戦争思想的意味」において「太平洋戦争」は「占領軍によって付与され米国側の見方」とし、そのような考え方慣れた日本人ショック与えるため、大東亜戦争用いた述べた1963年昭和38年)から1964年昭和39年)にかけて林房雄が『大東亜戦争肯定論』を発表し、「大東亜戦争」は薩英戦争馬関戦争ペリー来航以来西欧列強アジア侵略対抗して日本アジア解放目的とした「大東亜百年戦争」の集大成だったという立場から使用された。 上山春平1964年に『大東亜戦争の意味』を刊行、「大東亜戦争」という呼称を「タブーとみなす心情のうちに、太平洋戦争史観のみにする反面大東亜戦争史観には一顧だにたえようとしないという二重の錯誤の根をみとめた」と当時大東亜戦争呼称タブー視する風潮批判し、「太平洋戦争」「抗日戦争」「帝国主義戦争いずれも政治的イデオロギーであるにもかかわらず大東亜戦争」のみ断罪するのはアンバランスであると批判したドナルド・キーン1964年論文日本作家大東亜戦争」を発表した竹内好1964年の「日本アジア観」で「日本対外戦争のほとんど全部は、自衛のほかに東亜安定名目としておこなわれた。その最大、かつ最終のものが大東亜戦争だった」とし、「第二次世界大戦一部」だけにつくされない、「日本人アジア主体的に考えアジア運命打開を、自分プログラムにのせて実行移した」という「大東亜戦争固有の性格があった」とした。竹内敗戦によって日本人アジア主体的に考えアジア一員としてアジア責任を負う姿勢失ったとも述べたまた、個人として時には国家命令そむいてアジア解放運動協力した日本人ビルマインドネシアだけでなく満州にもいたと指摘している。 三島由紀夫は、「大東亜戦争」と呼ぶのが適切であるとし、「大東亜戦争でいいぢやないか。歴史的事実なんだから。太平洋戦争といふ人もあるが、私はゼッタイとらないね。日本の歴史にとつては大東亜戦争だよ。戦争の名前くらゐ自分の国がつけたものを使つていいぢやないか」という意見述べた1977年昭和52年)、元大本営参謀原四郎は「大東亜戦争」は日本の政府正式に決定した名称であり、平和条約によってGHQ指令失効したため、正式名称である「大東亜戦争」は「当然復活すべきもの」で、「歴史的に正確な表現」と述べた左派とされる歴史家信夫清三郎1983年次善の策として「太平洋戦争」の語を「便宜的に用いる家永や歴史学研究会らは「怠惰怯懦」であると批判し、「大東亜戦争使用戦争肯定支持意味するわけではないとし、「戦争歴史的性質を最も的確に表現し戦争実体を最も広く蔽いうるもの」として「大東亜戦争」を用いるべきとし、さらに東南アジアインドの独立運動及ぼした日本積極的な役割などを踏まえれば「大東亜新秩序大東亜共栄圏)を目的とする戦争」という「歴史的意味」も含蓄していると述べた松本健一は「戦争呼び名歴史的であって後の時代に、その呼び名変える(たとえば太平洋戦争)ことによって、歴史的性格変えてしまうことは、意味がない歴史否定するためにこそ、歴史歴史的把握が必要」として「大東亜戦争」を用いた信夫後藤乾一三輪公忠らは、「大東亜戦争」の名の元に示され理念建前であったにしても、その理念自己のアイデンティティ求めた日本人東南アジア各地少なからず存在したと言うことをあげ、そうした人々否定しないためにも「大東亜戦争」の語をあえて用いるとしていた。 1990年平成2年)に中村粲大東亜戦争への道』が刊行。 「大東亜戦争肯定論」の立場立たない倉沢愛子は「大東亜戦争」の語を用いているが、この場合にはカギ括弧付するなどしている。また松浦正隆は、大東亜戦争当時公式名称であり、またアジア主義との関連強調するためにも「大東亜戦争」を使うべきとし、カギ括弧付き使っている。 戦域一致大東亜戦争」の「大東亜」はイデオロギー面とは無関係であり、戦争範囲をあらわす名称であるという立場である。駐米大使外務事務次官務めた村田良平は『村田良平回想録』(ミネルヴァ書房2008)で、「大東亜」の「大は英語に訳せgreater,即ち東亜のみでは主として日中朝鮮モンゴルのみを指すことが多いので、より広義東アジアを指す」ものであり、「中国大陸ビルマまでの戦いなども考えれば米国強制した太平洋戦争の方がおかしい」と主張した評論家村上兵衛は「東アジア行われた大きな戦争の意味で「大東亜戦争」を用いるべきであるとした。原四郎戦争目的は「アジア新秩序建設ではなく、「大東亜において戦われる戦争であるから大東亜戦争」と呼ばれたのであり、GHQ禁止したのは「大東亜戦争をもって大東亜新秩序建設する戦争誤解したからである」と回想している。『失敗の本質』は、「戦場太平洋地域にのみ限定されていなかったという意味で、」「大東亜戦争」の呼称用いる、としている。 アメリカの歴史家ジョン・ステファンは『日本国ハワイ』(恒文社1984)で「第二次世界大戦」はあまりに広い範囲で、「太平洋戦争」は「あまりに狭すぎる」ので不適切であるとし、「いささか決まり悪いものの」やはり「大東亜戦争」という名称が「日本インド洋太平洋東アジアおよび東南アジア繰り広げようとした戦争を最も正確に表現している」と指摘している。 地域呼称として 『アジア太平洋戦争』(1995年岩波書店)を著した岡部牧夫は、「大東亜」を地域名称であると読み替えしまえば、「アジア・太平洋戦争の提唱趣旨と変わらなくなり呼称問題における対立根拠失われるかも知れないとしている。また防衛研究所の庄治潤一郎はイデオロギー性を否定したうえでの「大東亜戦争もしくはアジア・太平洋戦争」が適切ではないかとしている。 斉藤孝信夫主張批判した『「大東亜戦争」と「太平洋戦争」』において、「大」の語は自らを誇示しようとしている語であり、地域名称であるとするならば「東アジア」でもいいとし、「大東亜戦争」の語は「占領軍指令がなくとも、本来日本国自身否定すべきもの」「タブーではなく回避した呼称」と主張した

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