Nintendo Entertainment System 廉価版(NES-101)

Nintendo Entertainment System

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 07:15 UTC 版)

廉価版(NES-101)

廉価版(NES-101)
コントローラー

1993年10月15日に廉価版[注 5]としてアメリカ合衆国向けのNTSC出力モデル(NES-101)とオーストラリア向けのPAL出力モデル(NESP-101)が発売された。外観は大幅に見直され、NES-001で起こっていた設計上の欠点(後述)をクリアするために、日本向けのファミリーコンピュータやSuper Nintendo Entertainment System(スーパーファミコン)と同様、上部の挿入口にカセットを挿入するトップローディング方式となった。すなわち日本向けのAV仕様ファミコン(HVC-101)と酷似する外形デザインとなり、NES-001にあったLEDランプは省略された。一方でカセット挿入口部分はNESの大型のカセットを支えるために日本のHVC-101と比べて大きく膨らんだ形状となり、日本のHVC-101はAV出力が付いてRF出力が別売・外付けとなったのに対し、本機はNES-101で装備されていたAV出力が省略されてRF出力のみとなり、映像出力に関しては逆の関係となった。また、HVC-101の側面下部(HVC-001は前面下部)に装備されている拡張端子もない。なお、NES-101のみチャンネル切り替えスイッチ(US3チャンネル - US4チャンネル)があり、NESP-101にはない。

NES-001にて不具合の多かったNES10チップによる認証システム(前述)も本機では省略された。

復刻版

NES Classic Editionのロゴ
Nintendo Classic Miniの本体
Nintendo Classic Miniのコントローラ

2016年11月11日に任天堂公式の復刻版として発売された[15]。商品名は、欧州では「Nintendo Classic Miniニンテンドー・クラシック・ミニ)」、米国では「NES Classic EditionNESクラシック・エディション)」の名前で発売され、パッケージ内に前者は日本版同様USBケーブルが電源用に用意され、別途USBのAコネクタに電源を供給するACアダプタが必要。後者はACアダプタが同梱されている[16][17]。本体は掌に乗る大きさに小型化され、スーパーマリオブラザーズシリーズやゼルダの伝説シリーズなど当時のゲームのうち30種類が標準で内蔵されている[18]。コントローラは本体と分離されており、2コントローラ目はオプションとなっている[16]。画像出力はHDMIになった[15]。商品には前述の電源用アクセサリの他、本体と共にコントローラが一つと、HDMIケーブルが同梱されている[16]。オプションとしても用意されているコントローラは、Wiiリモコンに接続することによってバーチャルコンソールなどのコントローラとしても使用することが可能である[16]。日本国内ではNES版の発売予定はなく[19]、ファミコンを小型化した「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」を発売した。

収録ゲーム

出典:[16]

問題点

純正クリーニングキット

任天堂は、NESの北米市場進出の際にアタリショック以降のゲーム機全般に対する不評を回避すべくデザインの面から競合他機種との差別化を図った。その1つが、家電であるビデオデッキをイメージした本体前面に水平に挿入するZIF方式のカセットスロットである。だが、このカセットスロットは新品状態では特に問題はないが、カセット挿入時の力加減ではピンが折れ曲がったり、抜き差しの繰り返しによって比較的早くピンが摩耗した。これはコネクターに腐食しやすい安価な合金を使用したことが原因のひとつとされ、ゲームジニーなどの非ライセンス品の使用がこの問題を更に悪化させる要因となった。また、NESのコネクタはファミコンで採用されたエッジ・コネクタに比べてもに弱く、これも接触不良の原因となった。さらに、NESに搭載された 10NESと呼ばれる海賊版対策回路がこの問題に拍車をかけた。起動時にゲームソフトが正規品かどうかを確認する 10NESの動作タイミングは非常に厳格で、接触不良によるタイミングのズレから起動されずパワーランプが明滅を繰り返すという誤作動をしばしば引き起こした。これに対してユーザーは、コネクタに息を吹きかける、ゲーム機を叩く等の行為におよび、これらの行為がカセットやゲーム機本体の摩耗や破損につながった。

任天堂は、接触不良への対策として1989年に NES用のクリーニングキットを発売。1993年に発売されたNES2では海賊版対策チップを搭載せず、カセットスロットも垂直挿入方式のエッジ・コネクタとした。また、ゲーム機の不具合に対応するためアメリカ中に任天堂の認可を受けた修理センターが作られた。


注釈

  1. ^ コレコは自社の家庭用ゲーム機(コレコビジョン)への『ドンキーコング』の移植については任天堂から正規ライセンスを取得していたが、パソコンへの移植については任天堂の許可を受けずに行なっていたため、このパソコン版『ドンキーコング』の発売は断念された(コレコビジョン移植版は発売)。
  2. ^ ファミコン互換機の一部は、日本で販売されている商品であってもコスト削減等のために海外向けを流用したことでコネクターがNES用の機種もあり、そうした機種ではファミコン用カセットをNESコネクターに変換するアダプターが標準添付されているケースもある。
  3. ^ つまりファミコンとは違い、マイク付きのIIコンは無い
  4. ^ 光線銃相当品
  5. ^ 米国では発売時の価格でNES-001の89.99ドルから49.99ドルへ値下げ。

出典

  1. ^ Classic Systems—Nintendo Entertainment System” (http). 任天堂アメリカ法人. 2007年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年2月11日閲覧。
  2. ^ a b Liedholm, Marcus and Mattias. “The History of the Nintendo Entertainment System or Famicom” (http). Nintendo Land. 2009年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年2月12日閲覧。
  3. ^ 滝田誠一郎『ゲーム大国日本 神々の興亡』青春出版社、2000年、143-144頁。 
  4. ^ 任天堂「ファミコン」、海外へも意欲 米国用CESで発表 冬のCESでイメージ出品、夏には本格的な出荷」『ゲームマシン』第255号(アミューズメント通信社)、1985年3月1日、2面。
  5. ^ 米国では9月発売 任天堂「ファミコン」、北米仕様「NES」で」『ゲームマシン』第265号(アミューズメント通信社)、1985年8月1日、2面。
  6. ^ "ファミコン"の米国版"NES" 全米で本格展開 米国任天堂がいよいよ9月から開始」『ゲームマシン』第291号(アミューズメント通信社)、1986年9月1日、1面。
  7. ^ Burnham, Van (2001) (英語). Supercade: A Visual History of the Videogame Age, 1971-1984. Cambridge, Massachusetts: MIT Press. pp. p. 375. ISBN 0-262-52420-1 
  8. ^ a b European information” (http). Nintendo Database. 2006年5月4日閲覧。[リンク切れ]
  9. ^ Nielsen, Martin (1997年). “The Nintendo Entertainment System (NES) FAQ v3.0A” (http). ClassicGaming.com's Museum. 2006年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2005年1月5日閲覧。
  10. ^ Hernandez, Christopher. “Nintendo NES / Famicom” (http). Dark Watcher's Console History. 2007年10月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2005年1月5日閲覧。
  11. ^ CIC (Nintendo)
  12. ^ Horton, Kevin. “The Infamous Lockout Chip” (http). BlueTech. 2005年1月5日閲覧。 [リンク切れ]
  13. ^ ニンテンドードリーム vol254. 徳間書店. p. 81 
  14. ^ 海外の話題」『ゲームマシン』第380号、1990年5月15日、19面。2023年4月15日閲覧。
  15. ^ a b 「スーパマリオブラザーズ」など30種類のゲームソフトを収録 GAME Watch 2016年7月15日
  16. ^ a b c d e Nintendo Entertainment System: NES Classic Edition - Official Site Nintendo
  17. ^ Nintendo Classic Mini Nintendo UK
  18. ^ 任天堂の新ハードは手乗りファミコン、マリオなど30本入りの『NES Classic Edition』を60ドルで11月発売, オリジナルの2019-11-20時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20191120085743/http://japanese.engadget.com/2016/07/14/30-nes-classic-edition-60-11/ 
  19. ^ 小型ファミコン“Nintendo Classic Mini”が発表!! ファミコンタイトル30種類を内蔵し、11月11日に発売【海外ニュース】 ファミ通.com 2016年7月15日
  20. ^ 任天堂の激レアファミコンゲーム、ネットオークションで約1000万円に ねとらぼ 2014年1月27日20時5分


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