投資信託 投資信託の概要

投資信託

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 09:35 UTC 版)

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投資信託の商品性

投資信託は、株式債券REITなどの有価証券に投資を行う。日本で飛ばしが流行った時代に行われたような元本保証はない。銀行などの普通預金定期預金よりも良い投資益が期待されるが、これは相当するリスクを取ったことに対するリスク・プレミアムを受取っていると解釈できる。特にペイオフが解禁され、低金利ゼロ金利政策)による預金での利息収入がほぼ見込めない現状では、資産運用のための一手段として注目されている。

どの程度のリスクを取ってどの程度のリターンが得られるかは、投資信託の投資対象によって千差万別である。たとえば、株式は債券よりリスクが大きく、リターンも大きいとされる。また、国内を投資対象としているものよりも、海外を投資対象としているもののほうが為替レートの影響も受けるためリスクやリターンが大きいとされる[注釈 2]

いつでも購入・解約できる追加型投資信託などでは、保有する資産の評価額の変動に対応して、基準価額[注釈 3]が計算されている。運用の利益は、一定期間ごとに払出される分配金の他、基準価額の値上がり益があれば、解約・売却時に受取ることができる。

信託財産の運用により大幅な収益が上がり基準価額が上昇すると、口数単位で購入する場合に購入単価が上昇し購入しづらくなるため、基準価額を下げるために受益権の再分割をすることがある[注釈 4]。1999年-2000年のITバブルの頃に流行した。そこで振替制度が必要になった。すべての投資信託ファンドの受益権は、2007年1月4日より証券保管振替制度[注釈 5]に移行された(有価証券のペーパーレス化)。完全電子化のため、受益証券は発行されていない。

従来は、ある証券会社や銀行にある口座では、その会社系列のファンドしか購入できなかったが、近年の自由化と競争のため、他社のファンドも購入出来るようになっている[2]。たとえば預金供託金庫が、比較的早くから中立的だった。

受益者がファンドを購入すると、販売した金融機関は購入手数料(フロントロード、front load)を得る[注釈 6]。購入者がそのファンドを保有している間も、その投資信託を販売した金融機関は、信託報酬の一部を受託者から間接的に受け取ることができる。受益者がファンドの解約を行うときに、解約部分から信託財産留保額を徴収するものもある。

信託報酬は、一定率(通常年間0.2~3%程度)がファンドの純資産から日々差し引かれている。証券会社以外にも、銀行各社がこぞって投資信託の販売に力を入れるのは、購入手数料と信託報酬間接取得分が、非常に高額なためであると言われる[3]日本の投資信託では、購入額の3%前後が多数だが、アメリカ合衆国のミューチュアルファンドでは、販売手数料を一切徴収しないノーロードファンドが一般的である。この原資も普通、ファンドの純資産である。

利点・欠点

一般に、投資信託は個別株式などに比べ個人投資家にとって左段以下5点の利点があるといわれる。

損害回避のため投信設定のできない普通の投資家にとっては、右段以下5つの欠点があるといわれる。


注釈

  1. ^ 集団投資スキーム(collective investment scheme)は二項有価証券という、第一項証券とは別物に分類される。投資事業組合や、ファンドないし投資ファンドも多くの場合第二項有価証券である。
  2. ^ リスクとリターンの程度を標準化した尺度の一つに、経済学ノーベル賞を受けたウィリアム・フォーサイス・シャープの開発したシャープ・レシオがある。これは、期待されるリターンから無リスク資産の利回りをマイナスし、引き受けているリスク(標準偏差)で割ったものであり、正で大きな値をもつものほど、運用が効率的であることになる。また、分母をベータリスクとするとトレイナーの測度となる。投資信託の場合、評価指数はシャープ・レシオが使われるケースが多い。
  3. ^ NAV、Net Asset Value、よく価格と誤記される。基準価額は、ファンドに組み入れられている株式や債券などの資産の時価総額を合計した純資産総額(資産-負債)を投資信託の受益権総口数で割り計算される一種の指数であり、純資産に連動しているが、後述のように分配金を配当すれば基準価格は下落し、収益を内部留保すれば上昇するものであり、「高基準価格=成績の良いファンド」と言う判断にはそぐわない。1口1円で設定された投資信託は、1万口あたりで公表されている。追加型投資信託の基準価額については、運用会社・販売会社のウェブサイトや窓口に掲示されている他、日本経済新聞朝刊(1/1-1/4と祝祭日の翌日を除く火-土曜)に全銘柄が、大手全国紙朝刊では一部銘柄が掲載されている。運用会社のサイトでは、一番情報が早く得られ、その日の内に当日の基準価額を知ることが出来る。単位型投資信託の基準価額については、購入した販売窓口(証券会社など)に問い合わせが必要である。
  4. ^ たとえば、基準価額が2万円で1:2の受益権の再分割を行った場合、基準価額が1万円になり保有口数は2倍になる。
  5. ^ ファンドの受益権の発生、消滅、移転をコンピュータシステムにて管理する
  6. ^ 投信購入時に一定割合(1~5%程度)の手数料があらかじめ徴収され、実質的に元金が目減りした状態で始まる制度
  7. ^ 投資にかかわる情報の迅速な入手およびその解析・対応行動に必要な手間隙を肩代わりしてくれる。
  8. ^ 個別株式では原則として売買単位株数が決められており、例えば時価310円の株でも1,000株が売買単位なら31万円ないと投資できない[4]が、オープン型の投資信託では端数の口数を購入(売却)可能で、例えば基準価格が1,200円なら1万円で8.333口、基準価格が1,250円に値上がりしたら同じく1万円で8口,、1,500円なら1万円で6.667口というように柔軟に購入でき、比較的小額の一定金額を定期的に拠出する長期の積立型貯蓄・投資に適しており[5]ドル・コスト平均法による危険低減とも相性が良い。さらに、個人の零細な資金では、単位株数程度を頻繁に売り買いすると証券会社の売買手数料負担が馬鹿にならなくなってくるが、投資信託ではものによっては数十万人の投資家から巨額の資金を集めて大きな単位で投資を行うので、相対的に費用が少なくてすむ。
  9. ^ 日本で上場されていない外国会社の株式などを購入するには原則としてその会社が上場している国の証券会社などに口座を持たねばならない。その口座開設のための手間や資格(居住者・非居住者など)、送金、税務処理等一切をプロへ一任できる。勉強・資金・費用・危険などの負担がなくなるだけでなく、分散投資にもなる。
  10. ^ 個別株式などが買った1分後に売れるのとは異なり、オープン型の投資信託でも毎日市場終了後に計算されるその日の基準価格が決定されるまで売買できない。また、多くのオープンエンド型ファンドでは最低保有日数(例えば30日)を定めており、これより少ない期間で売却すると罰金を課せられる。これは、短期間の売買を繰り替えされると、その支払いのための現金を常に確保しておかねばならず、多くの投資家から資金を集めて投資するという本来の目的が損なわれ、またその手続きの費用が投資資金から支払われるために投資資金が無意味に目減りして行くのを防止するためである。
  11. ^ 世の中に「タダめし(free lunch)」は存在せず、金融機関は販売手数料が入るから投資信託を販売し、運営会社・ファンドマネージャは信託報酬が入るから投資信託を運営・運用することは明らかで、これらの費用の源泉は投資家の拠出する投資資金である。投資家は、投資信託の購入に当たって、すべての商品購入と同様、その効果と費用・価格を比べて判断しなければならない。
  12. ^ 通常、投資信託を購入するのは、投資を本業としない一般大衆投資家や年金組合などの団体である(投資家の年齢や投資スタイルを基にして、個別銘柄ではなく推奨する複数の投資信託の組み合わせに投資する「投資信託の投資信託(Fund of Funds)」すなわち「複数の投資信託を組み合わせた定食型投資信託」も存在する[6])が、「プロのファンドマネージャに信託するのだから高収益だろう」と言う期待に反して、例えば市場の状況を分析するための種々のインデックスがあるが、インデックスを上回る高収益を出している投資信託はまれであり、むしろ多くの投資信託はインデックスに届かない収益しか実現できていない[7]。これは過去から証券取引委員会が指摘している事実だが、投信業界は個人投資家の運用成績と比べるべきだと反論している。
  13. ^ 危険分散とは、色々な方面に分散して投資することであり、その中の一つの投資先が大儲けになっても、他の投資先が追従しなければ全体としてその大儲けは薄まってしまうことは明らかであり、その逆に大損も薄めるのが危険分散の目的であるから当然である。
  14. ^ 一般に投資に初心者が投資を始めるときは長期の投資、例えば優良株を買って数年から10年単位で保有することを勧められる。しかし投資信託で働くプロの投資家(ファンドマネージャ)はこれができない。「信託報酬だけ受け取って何もしないでいる」という潜在的または顕在的な批判を避けるため、ファンドマネージャ(運用責任者)はデイトレーディングのような投機的売買を実行する傾向があると言われる。投資対象の売買に関わる費用は投資家から集めた運用資金から拠出され、結果的にその投資信託の基準価格を押し下げる。投資信託の中には、積極的な(短期売買が多い)運用を表明する「アクティブ型」と消極的運用(長期保有傾向)を表明する「パッシブ型」を標榜するものがあり、一見「アクティブ型」の方が高収益を期待できるように感じられるが、実態は同じ分野の投資先を持つ投資信託を比べるとパッシブ型の方が結果的に高収益である例が少なくない(アクティブ型の方が信託報酬も高めの傾向がある)[8]
  15. ^ 広義の投資ファンドには投資事業組合をふくむが、ヘルマン博士がそれを発明したのである。現在、任意組合リミテッド・パートナーシップなどいくつかの形態が存する。
  16. ^ 正確には30日未満の解約には信託財産留保金が必要
  17. ^ 従来、投資信託は、リスク商品の取り扱いを禁じられていた銀行生命保険会社では販売が認められず、事実上証券会社の専売特許であった。
  18. ^ もっとも、投資信託ではないが商品性が投資信託に似た商品(変額保険変額年金保険など)を扱う日本生命のように、投信販売の取り扱いを中止する企業も現れている。
  19. ^ 2006年7月の純資産増加ランキングのうち、毎月分配型が8本、年6回配当型が2本入っている

出典

  1. ^ 金融広報中央委員会 - 投資信託とは、2008年5月11日閲覧。
  2. ^ 日本経済新聞 なぜ投信だけが購入時手数料を払うのか2012年2月26日記事 2014年1月10日閲覧
  3. ^ インデックス投資でラクラク投資信託生活 銀行は信用するなという話 2014年1月9日閲覧
  4. ^ 株初心者のためのやさしい用語集 売買単位とは(ばいばいたんい)2014年1月9日閲覧
  5. ^ 日本経済新聞 投信積み立てのメリット8カ条 2012年4月29日記事 2014年1月9日閲覧
  6. ^ 日本経済新聞 「幕の内弁当」バランス型投信でお任せ投資もアリ2014年1月15日閲覧
  7. ^ インデックス投資でラクラク投資信託生活 市場平均に勝ち続けることは難しい 2014年1月9日閲覧
  8. ^ 日本経済新聞 投信が売買し過ぎていないか、チェックしよう2013年4月7日記事 2014年1月10日閲覧
  9. ^ Diana B. Henriques, Fidelity’s World: The Secret Life and Public Power of the Mutual Fund Giant, Scribners, 1995.
  10. ^ 投信に学ぶ タダでも喜んではいけない費用あり 投資教育アドバイザー 大江英樹2014年11月25日 2014年11月25日閲覧
  11. ^ 投信の落とし穴 「分配金=もうけ」とは限らない、2012年12月15日記事、2014年1月3日閲覧
  12. ^ インデックス投資でラクラク投資信託生活 毎月分配型投資信託の落とし穴 2014年1月9日閲覧
  13. ^ a b 投資信託│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券”. www.smbcnikko.co.jp. 2021年10月25日閲覧。
  14. ^ 代田純 『ロンドンの機関投資家と証券市場』 法律文化社 1995年 20-25頁
  15. ^ a b c 『世界の投資信託 主要国の制度研究』 投資信託協会 2002年 フランス・ドイツ各章
  16. ^ 代田純 『ロンドンの機関投資家と証券市場』 法律文化社 1995年 112、118頁
  17. ^ 杉田浩治 米国投信4分の3世紀の歴史から何を学ぶか 日本証券経済研究所 p.3. 図表1
  18. ^ 杉田浩治 発足から満60年を迎える日本の投資信託 日本証券経済研究所 平成23年5月28日 p.3. 図表1
  19. ^ 福光寛 公社債投資信託の元本割れをめぐって 成城大学経済研究所研究報告第31巻 2002年3月
  20. ^ 井上武 世界第二の規模を誇るフランス投資信託市場 資本市場クォータリー 2008年4月
  21. ^ 天尾久夫 「信金中央金庫の研究―信用金庫と信金中央金庫の抱える諸問題―」 作新学院大学 『作大論集』 7号, p.163-194, 2017年3月15日、(図1-19 全信用金庫の国債と投資信託の資産運用の動向)。
  22. ^ 女性自身 保険・投信…“郵便局のサービス”拡大も専門家が注意点指摘 2017年6月29日
  23. ^ 日経新聞電子版 米SECビットコインETFを認可せず投資家保護が不十分として 2017年3月11日
  24. ^ 有沢広巳監修 『日本証券史 1』 日本経済新聞社 1995年 216-218頁
  25. ^ 『日本証券史資料 戦前編 第八巻 公社債・投資信託・税制』 日本証券経済研究所 2011年 35頁
  26. ^ 有沢広巳監修 『日本証券史 2』 日本経済新聞社 1995年 89、92頁
  27. ^ a b c d e 『日本証券史 2』 89-91頁
  28. ^ a b c d e f g h 『日本証券史 2』 142-146頁
  29. ^ 「貯蓄から投資へ」の今昔 日向野幹也・立教大学経営学部教授
  30. ^ a b c d e f 『日本証券史 2』 298-299頁
  31. ^ 伊奈健二 「国際化時代にはいった証券市場」 証券経済 第110号 1970年5月 24-25頁
  32. ^ a b c 川合一郎 『日本の証券市場』 東洋経済新報社 1979年 246-254頁
  33. ^ 日興リサーチセンター株式会社 『日本経済と資本市場 企業と投資家のガバナンスがもたらす変化』 東洋経済新報社 2016年 21頁
  34. ^ a b c d 『日本証券史資料 戦後編 別巻二 証券年表(明治・大正・昭和)』 日本証券経済研究所 1989年
  35. ^ 奥村宏 『日本の株式会社』 東洋経済新報社 1986年 199頁
  36. ^ わが国の資産保有の実態と資産活性化プラン中央三井トラスト・ホールディングス 2008年夏調査報告 2014年1月8日閲覧
  37. ^ まとまったお金があると発病!?「退職金運用病」に要注意! 2014年1月3日閲覧
  38. ^ 退職貧乏父さんにならない方法日本経済新聞 2012年5月16日記事 2014年1月8日閲覧
  39. ^ 山崎元 退職金が振り込まれた銀行では資産運用しない! 2014年1月3日閲覧






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